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15.それなんていう死亡フラグ?

ようやっとホラー部分までやってきた!

 それなんていう死亡フラグ?


 シャワーを浴びる前に洗濯機に放りこんでおいたジャージと汚れた下着類を乾燥機にかけ、神倉(かみくら)を待つ間に髪を乾かす―ドライヤーが一つしかなかったので交代で髪を乾かした―間にぼんやりとこれから待つはずのチュートリアル冒頭を思い起こす。


 若干描写が悪役令嬢(繕林永環)よりなのは仕方が無い、だって繕林永環(わたし)の事だし、この後繕林永環は館をうろうろしてちょろちょろ出てくるゾンビラットやらゾンビバッドやらを撃退しながら裏口まで到達するも『お守り』を何処かで落としている事に気付き正面玄関ロビーまで引き返した所で中ボスゾンビに殺されるのだ。

 主人公達の居るリビングルームの目と鼻の先で殺されるという非常に後味の悪い終わり方をする割にはその後繕林永環の詳しい描写は無く物語のところどころで執拗にヒロインを狙う制服を着た首なし死体が襲ってくるのみである。頭を潰せないので倒せないが(倒しても一定時間で起き上がってくる)噛み付けないのでいまいち攻撃力の低いめんどくさいモブ敵になる。敵キャラになるならなるでもうちょっと格あげてくれよ!不遇すぎる!



 思ったより早く出てきた神倉(かみくら)と一緒に居間に戻り、朝食を食べた。

 朝食は昨日料理当番を免除された神倉(かみくら)と大東(とうだい)が調理した、オムレツとゆう名の塩辛いスクランブルエッグを焦げが多めのトーストに薄く伸ばして片付けた。

 朝から食パンを三枚も食べてしまった。胃が重い。


 各々荷物を確認すると玄関前に集まる。


 「じゃあ皆忘れ物は無いな?」


 大東(とうだい)が皆を見回して言った。全員きちんと制服に着替えて鞄も背負っている、大神未輪(おおがみみわ)の制服ももう汚れていないし羽黒(はくろ)もいつの間にか眼帯を着けて耳にはピアスをぶら下げていた。合宿の荷物に入れておいたようだが寺の合宿中に教師に見つかっていたら流石に没収されていただろう。見つからなくてよかったね。


 「あのセイレさんとやらに挨拶はしなくて良いのか?」

 「さっき僕と委員長で探して見たけど居なかったよー」

 「今日ここを出てくのは知っているはずだしメモも残してきたし、別に構わないでしょう」


 チュートリアル展開にならない様に多少の小細工はしておく。


 「それもどうかと思うけど今はしょうがないか、山を降りられたら後日ご挨拶に来よう」


 ゲーム内と私の言ってる事は大差無いが大東(とうだい)の反応は随分違う。別にゲームの繕林永環(ぜんりんえいか)と現実の私で大東(とうだい)の関係性が違うということは無い、東大光明(とうだいこうめい)は良くも悪くも公平な男だがやはりそこは高校生だ。反対意見には反感を持つし肯定意見には好感を持つ。自分の意見を通したいのなら反対しない程度に相手の意見の軌道をそらせばいい。とっとと出発したいのは誰もが同じなのだ。


 大東(とうだい)は私達に背を向け玄関のドアノブに手を掛けて-ガチャンとドアが鳴った。

 大東(とうだい)はドアを暫し見回した後、またドアノブを押した。

 ガチャン、ガチャン、ガチャン。


 「何やってんのー?」


 ドアをガチャガチャする大東(とうだい)の横に並び羽黒(はくろ)も同じ様にドアを見回す、右から左、上から下。大東(とうだい)よりもしっかりドアを見回した羽黒(はくろ)は困ったように隣で腕組みしている大東(とうだい)を振り返り言う。


 「鍵かかってるなー」

 「ああ」

 「鍵無いよなー」

 「…ああ」


 互いだけでしか分からない会話をする二人に大神未輪(おおがみみわ)が話しかける。


 「どっどうしたの?」

 「鍵がかかってるみたいなんだけど鍵を開けるものが何もないんだ」

 「普通ドアって内側から空けられるようになってるよなー」

 「つまみも鍵穴も無いみたいだ」


 神倉(かみくら)の言葉に大東(とうだい)が振り返って答える。


 「じゃぁこのドアには鍵はついてないって事?」


 あ、選択肢外した。

 大神未輪(おおがみみわ)の言葉に私は思わずそう思った。ここも地味に好感度操作ポイントだったのだが、もう言ってしまったのなら、しょうがない、ほって置いても結論へ遠回りをするだけなのでさくさく解答をだす事にする。


 「電子キーなんじゃないかしら?」

 「電子キー?」

 「車とかであるでしょう?リモコンやスマホで開鍵するやつ、ああいったものなんじゃないかしら」

 「見た目に反して随分最新鋭の扉だな」

 「太陽パネルもついていたし建物は古めかしくても結構手をいれているのかもしれないね」


 眉を顰める大東(とうだい)に神倉(かみくら)が答える。まあ、確かに色々と手を加えられてはいる、この建物は。


 「じゃぁ出発するには彼に玄関を開けて貰うしかないな」

 「もう一度探すしかないわね」

 「さい先悪いなー」

 「建物の中に居るはずだから直ぐに出てきてくれるだろ」

 「どこに居るのかな?」

 「一階には居なかったわ」

 「それじゃあ多分2階じゃないか?」


 一乗(いちじょう)の声に神倉(かみくら)が玄関脇にある階段に視線をやる。

 

 「だろうね、昨日も入るなと言っていたし」

 「じゃぁ行ってみるかー」


 階段付近から2階を覗いていた羽黒(はくろ)と大東(とうだい)を先頭に階段を上り始める。


 私は集団の最後尾に並びながらほっと息をついた。

 ゲーム展開なら鍵が開かないことを確認すると直ぐに居間でセイレを待つ事になり、2階へは本編開始直後何者か(私)の悲鳴を聞いてロビーから続く血の跡を辿り2階の廊下で何者か(私)の死体を発見する。

 という流れになっている。どうやら上手くチュートリアルをスキップできたようである。

これを書いていて当時はマミられたという一文を書きたくてしょうがなかったが結局書けずじまいに終わってしまいました。

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