潜入7
階段を上りきると高級そうなでかい扉がある。
「ここ」
「ライラの言う通りならここなのじゃ」
「なら入るか」
扉に体を押し付けて銃口を扉の先に向ける。
「のうナカイ蹴破ったりしないのか」
「でかくて無理です、あっ背中に隠れててください」
「分かったのじゃ」
体に力を込めて扉を少しずつ開いていく。銃口はずっと部屋の中を向け続ける。人1人がギリギリ通れる位開いたらそこから中を覗き込む。中には男が1人しかいなかった。
「中に入ってきたらどうかね、伏兵などはいないよ」
「ナカイ中に入るのじゃ」
「…了解」
中に入る。
「遅かったなシルビア、それにそこの男はナカイかサトウあたりか」
「兄上そんなことはどうでもいいのじゃ、戦争をやめるのじゃ」
「どうでもよくないさ、私は先にそこの男と話がしたい、ヘルメットをとってくれ」
ヘルメットを外す。
「ナカイの方か、報告書には使えない隊長とあったが、あの報告書は役に立たないな。本当に使えない隊長なら妹を殺そうとした際のトラップで死んでるはずだ」
「死んでなくて予想外だったか」
「予想外ではないさ、ただ可能性としては低いと思っていたよ」
「それも報告書での判断か」
「ああ、あの報告書には実技、座学最低評価、初の星間戦争ではなんの活躍もなく終わったとあるのだが」
「初めのは本当さ、後半はちょっと違う、多少は役になったはずだ」
「そうか、ならこの報告書はあってるな。まあそんなことはどうでもいい、せっかく来たんだ聞きたいことがある」
「なんだ」
「1兵士に対して聞きたい、平和を作るためには武力と交渉どちらが大事だと思う」
「どっちも大事だろ、と言うかなんで俺に聞くんだ、俺がなんと言ってもなにも変わらねえだろ」
「嫌そうでもないさ、君の言葉で誰かが動けば」
「そんなに簡単に動くようなやつが世界を変えられるわけがないじゃない」
「だが、そんなやつでも変に権力があれば変えられてしまう。この国の王政のような」
そう言うとシルビア王女の方を向く。
「だそうだよ、お前の考えを変え、ここまで連れてきた男はこう思ってるようだよ」
「妾の考えは変わってないのじゃ、それにナカイは背中を押してくれただけなのじゃ」
「ここまで来るのに武力に頼っておきながらか」
「それは」
「お前の考えは言葉だけだろう、武力に頼るのはいけないんだろう」
「 」
シルビア王女は何を言っていいのかわからなくなっているようだ。
「それに何をしにここまで来た、私を言葉で止めに来たのかそれとも隣の男に引き金を引いてもらうつもりなのか。まあそんなことはどうでもいい、私の目的はシルビア、君を殺すことだ」
懐から拳銃を取り出す。
「まだ撃つ気はないさ、さあシルビア君にチャンスをやろう、最後のチャンスだ、言葉で止めるなら止めて見せろ」
俺にできそうなことはなさそうだ、見ていることしか。
「考える時間をやろう、時間はたっぷりあるさ。さてナカイ暇潰しに話をしないか」
「ならあんたはどうやって平和作るんだ」
「武力により他2国を圧倒し停戦を結ぶ、そうした上で王政に関わるものすべてを殺すさ、まあもうシルビアしかいないが」
「父上はどうしたのじゃ」
「戦場で殺したさ、お前が来る前にな」
「そんな、どうしてなのじゃ」
「武力により内外の害となるものは排除する、その一環だよ。それに弟、妹達の敵でもある。あれも似たようなこと考えててな」
「なら兄上も変わらないのじゃ」
「いや弟妹達が生きていたら、他の方法もあったさ。だが今はお前しかいない、ならもっとも効率がいい方法をとるさ、どんなに辛くてもな」
「辛いんだったらやめればいいのじゃ」
「民の平和を考えれば、自分が辛いのは耐えるよ。そして感情論じゃ、覚悟を決めた者は止められないよ」
「なら」
シルビア王女は涙目だ。
「そして泣き落としもこういった状況では役に立たない、言いたいことはそれだけか」
「………それだけじゃないのじゃ」
「そうか、他に何が言いたい」
「言葉だじゃ変えられないそれは分かったのじゃ」
「趣旨がえか」
「それでも言葉を信じたいのじゃ」
シルビア王女は彼女に向けられている銃に頭を押し付ける。
「ナカイ妾が撃たれたら兄上を撃つのじゃ」




