潜入6
催涙ガスのなかを駆け抜ける。
「王女落ちないで下さいね」
「しっかり捕まっておるから大丈夫なのじゃ」
「そうですか」
催涙ガスの効果で多くの人が倒れこんでおり、咳き込んだりしている。こちらに気づくと武器を向けようとするがそんな余裕は無さそうであった。
「急げ、換気装置でガスが消えたら囲まれるだけだぞ」
「わかってる」
そうこうしている内に階段までたどり着きかけ上る。止まっている余裕はない。5階にたどり着いても同じく、催涙ガスを投げ込み駆け抜ける。
「換気装置が動いてるっすから消えるの早いっすよ」
「こっちはもう残ってないから、危なくなったらもう1つ投入しとけ」
「わかってるっすよ」
5階も駆け抜けていくのだが言われたように、ガスが消えるのが早い、消えてしまってもすぐには建て直せないだろうが念には念を入れて起きたい。流れ弾1発でも当たり処が悪ければ死ぬだけなのだ。
「あと半分」
「了解」
あと半分だ、何が待っているかは知らないがたどり着くべき所がわかると言うのは気が楽だ。だんだんとガスが消えかかっていた。
「階段までは」
「あと少しだ」
「……G3ガス追加」
「了解っす」
最後のガスが投げられる。これで目的地までたどり着かなければならない、全力疾走だ。階段をかけ上る。
「7階には何があるんだ」
「1部屋あるだけだ」
「つまりここが最後か」
「ああ」
「なら急ぐっすよ」
最後の階である6階を駆ける、ガスがだんだんと薄くなっていくのがかなり怖い。その為かいつもより早く走れているような気がする。
「ここを曲がれば階段だ」
言われた角を曲がる。だがそのとき、銃声が響く。後ろで誰かが倒れた音が聞こえる。振り返るとサトウが倒れていた。
「G3」
「隊長、大丈夫っすから…先に行ってください」
「行けるかよ、王女降りて」
「分かったのじゃ」
王女が背から降りるとサトウに駆け寄りベストをつかみ引っ張る。
「G1無事か」
「ああ、カバー頼む」
もうガスは消えておりいつ襲ってくるか分かったものではなかった。
「ひとりで行けるっすよ」
「黙ってろばか」
曲がり角までつれて来て、その場に寝かせる。傷を確認すると足が打たれていた。その為ベストの下に仕舞われているメディカルキットを取り出しながら王女に声をかける。
「王女、光らないライトを折り曲げてから、振ってくれ、早く」
「分かったのじゃ」
「G3モルヒネ打つぞ」
そう言うと注射器を足に打つ。
「っ」
「これで大丈夫だ」
そう言いながら撃たれている所に包帯を巻いていく。
「ナカイ振ってるのじゃ」
「G2聞こえるか」
『どうしました』
「支援射撃を要請、サトウが撃たれた場所はIRで示してる道を塞いでくれ」
左右どちらからも来れるT字路な為に怪我人1人を抱えたまま守るのは不可能に思えて援護を要請する。
「早く」
『了解、耳を塞いで下さい』
耳を塞ぐと同時にここに来るための通路が吹き飛ぶ、撃ち抜いたようであった。これで少しは時間が稼げるはずだ。
「ライラあとは頼んだ」
「私か」
「他国の兵士の俺達よりこの国の岸の方がいいだろう」
「……わかっ」
「いやナカイ一緒に来るのじゃ」
「はぁ何で俺が」
「一緒に来るのじゃ」
「王女がこうおっしゃておられる、ナカイ行け、ここは私が守り抜くさ」
「隊長早くいくっすよ」
「分かった」
そう言うとハンドガンとマガジンだけを持ち、王女と共に最上階へと登っていった。




