23 これからの二人
「で、どうするんだよ、真柴」
「うーん、そうだね……」
真柴が言うには、瞬間接着剤をはがすには除光液を使うか、瞬間接着剤専用のはがし液ではがせるらしい。
「あとはそのまま放置して、皮膚がむけるまで待つ方法もあるけど」
「それは絶対に嫌だ! いつになった取れるんだよ! 取れるまでずっと手をつないでいるのか? ホモだと思われるぞ!」
「それはそれで面白そうじゃないか!」
「はあ!? 何でそうなるんだよ! ここの部員、みんな発想がおかしいだろ!!」
「まあ、それは冗談。松田君、とりあえず一番近いあそこのコンビニに行こうか?」
「もういい……、そうだな……」
正直、占い部屋から一歩も外に出たくないのだが、ここにいてもしょうがない。
二人はここから一番近いコンビニ向かうことにした。
***
コンビニに向かう最中、妙に人の視線を感じ、松田は気が気ではなかった。
「着いたよ。松田君」
「よし! これで手が解放される!」
コンビニに入ると、思ってたよりも人がいて、手をつなぐ二人をじろじろと見てくる。
松田は小声で真柴に、
(おいっ、早く除光液を買おうぜ真柴! この視線から早く解放されたいんだよ!)
(分かってるって)
二人は除光液が置いてある場所を見つけたが、棚は空っぽであった。
コンビニの店員にも除光液があるか聞いたが、在庫は無いということだ。
「仕方ない、次はあそこに行こう、松田君」
「ついてないな……」
二人は別の店で探すことにした。
しかし、どの店に行っても除光液や、はがし液は売り切れていた。
「くそっ! 嫌がらせのように売れ切れているじゃねーか!」
「松田君。これは、もしかしたら……」
「真柴? 何か分かったのか?」
真柴は確信を得たような表情で、
「僕たち、結ばれる運命だったんだよ!」
「マジでそのノリやめろ!」
***
探し求め続けて、ついに二人はこの場所にたどり着いた。二人は目の前にある建物を見つめていた。
「なあ真柴……。マジでここに入るのか? ここに入ったら、間違いなく同じ高校の人がいると思うぞ?」
そう言って松田は、真柴に視線を向ける。
「ああ、わかってるさ……」
真柴はこぶしを強く握り締める。
「僕だってここには来たくはなかった。でも……」
松田をまっすぐ見つめて、
「でも、男だったら、ここで腹をくくるのが男だろ!」
「真柴……」
「松田君! 行こう!」
「おう!」
こうして、二人はデパートの中へと歩き出した。
***
中に入ると、やはり多くの人でにぎわっていた。
「よし! 真柴、ここなら絶対にはがし液と、除光液があるはずだ!」
「あっ! あそこの化粧品売り場、除光液を売ってるよ!」
「よくやった真柴! これで開放されるぞ!」
二人は走って化粧品売り場に向かった。
***
「「あっった!!」」
ついに、念願の除光液を発見した。
二人は喜びのあまり、その場でピョンピョン跳ねていた。
それは、まるでとても仲の良いホモのようにも見えた。
ふと、二人の前に、除光液を買うためにやってきた女子高生がいた。
「あれ? 見覚えのある顔だなーって思ったら、真柴先輩と、松田先輩ですね?」
「ほ、北条さん!?」
松田は思わぬ意中の相手に出会い、急に心臓がバクバクしだした。
これは北条さんと話せる、なかなかいい出会いなのでは? と松田は内心ガッツポーズをしていた。
「二人って、すごく仲がいいんですね……。えーと、その、いつも手をつないでいるのですか?」
「いやいやいや! 違うんだ!これは……」
松田が説明する前に、
「ごめんなさい。お邪魔しましたね……。私、急いでいるので! それじゃあ二人で楽しんでください!」
北条さんは苦笑いを浮かべて、勘違いしたままその場を去ってしまった。
「うわぁぁ!! 北条さんに勘違いされた!! 俺は、明日からどうやって生きていけばいいんだぁぁー!!」
松田はその場に崩れた。
「松田君! とりあえず早くこれ取ろう! ね!?」
「うわぁぁぁ!! 俺はもうだめだー!!」
叫ぶ松田をなだめながら、真柴は除光液を使って、瞬間接着剤をはがすことには成功した。




