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24 Who are you?

手を離すことはできたが、このまま松田を家に返したら不登校になりそうだ、と真柴は思った。


ここでちょっと気がまぎれるものはないかと、辺りをキョロキョロした。

上を見ると、大きなポスターが天井からつり下げられていた。


どうやら今日は、デパートの出入り口付近で男性アーティストのライブをやるらしい。


そのせいなのか、いつもより女性の割合が多かった。


「ねえねえ、ちょっと見てみようよ、松田君!」


「もう、何でもいいや……」


松田はすっかりいじけていた。

そんな中、イベントは行われようとしていた。


「はーいみなさん! 本日のゲストはあの有名なロックバンド、black five のみなさんだす!」


二人は、司会者のなまりの方が気になったが、五人のロックバンドが出て来た途端に、周囲は歓声で満ちた。


「はーい! みなさんこんばんは! Black five でーす! さっそく歌わせてもらいます! いくぞー!」


そして、ライブが始まった。


演奏の技術、ボーカロの甘い歌声、そして男二人からしても納得の美形ぞろい。


これは人気が出るはずだ。


しかし、松田にはどうでもいいことであった。


最後はメンバーの雑談タイムになったので、二人は帰ることにした。


しかし北条さんに勘違いされて、大ダメージを受けた松田は、注意力が散漫していたため、ドン! と人にぶつかり、


「すみません! って、晶子か!? 何でここに?」


「何でって……、このバンド結構有名だから、見に行こうと思ったのよ。それより、どうしてあんたたちがここにいるの? そっちのほうが不自然じゃない?」


確かに周りを見ると女性ばかりで、男子は二人だけであった。


「別にいいだろ! 俺たちがここにいても!」


松田は意中の相手、北条さんに勘違いされて自暴自棄になっていた。


その間にも、バンドのメンバーの雑談が続いていたので晶子は、


「ちょっと、松田うるさい! 雑談が聞けないじゃない!」


と言って、パチーン! 松田をひっぱたいた。


「痛って!」


すると、松田はイケメンバージョンに顔が変化した。


***


「えええ!? 君は誰だい?」


真柴は困惑していた。


「え? 俺だよ俺!」


そういわれるが、真柴は今までこんなイケメンと話したことが無い。


「もしかして、新手のオレオレ詐欺ってやつなのか……?」


真柴は疑惑のまなざしで松田を見る。


「だから俺だよ俺! 松田だ!」


「えっ? 顔が全然違うけど、どうなってるの?」


「それはね……」


晶子が事情を説明した。


「へえー、不思議なこともあるんだね?」


結局三人で話をしていると、見覚えのある人物が三人の前に現れた。


「あれ、晶子先輩も来てたのですね?」


なんと、さっき勘違いされた、北条さんであった。

北条さんは松田と視線が合った瞬間、目を見開いた。


北条さんはあわてて、視線を晶子と真柴に戻し、二人に、


「さっき会った真柴先輩と……あれ? 松田先輩は?」


とっさに真柴が、


「松田は先に帰ったから、ここにはいないよ」


「そうだったのですねー。案外、二人の関係はもろいのですね」


クスッと北条さんは笑い、上目使いでイケメン松田に視線を向けた。


「それで、ええと、あなたは?」


「お、俺は……」


松田が名前を言う前に晶子が、


「彼は浜松はままつ りょうよ。私の友人(下僕)よ」


松田は内心、


(ええー! 誰だよそれ! あ、そうか。俺が松田 良 だということは、言わないほうがいいからか)


納得したようだ。


(よし、とりあえずここは美羅の時にやったように演じてみるか。俺だっていうことがばれたら、立ち直れる気がしないからな……)


「よろしく、北条さん!」


「こ、こちらこそっ!」


(あれ? 北条さん、なんだか様子がおかしいな?)


疑問に思い、松田は北条さんの顔に近づき、


「北条さん? 顔が赤いけど、大丈夫?」


「だだ、大丈夫です! じゃあ、私はこれで!」


浜松のイケメン顔に耐えられなくなった北条さんは、その場を去ってしまった。


「?」


松田は何故、北条さんがおかしな行動をしていたのかが、分からなかったようなので晶子が、


「松田、北条は面食いだから」


そう言って、スタスタと行ってしまった。


***


松田と真柴は帰りの途中、愚痴をこぼしていた。


「なあ真柴、やっぱり顔って大事なんだな……」


「そうだね。松田君だって、美少女の北条さんに惚れてるじゃないか」


「確かにな……」


これからはもう少し、見た目に気を使ってみようかな、と美容に興味を持ち始めた松田であった。


こうして、松田は呪いの一日から解放された。



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