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22 もう、はなせない

晶子が恐ろしくて部室から抜け出した松田は、学校の通路を歩きながら、別のことに恐怖を抱いていた。


「俺、死ぬのか……?」


瑠璃のタロットカードの呪いのことだ。


「いやいや、あれは俺をからかっただけだろう。そうに違いない。でもな……」


松田は、テニスをするよりも、顔から汗をかいていた。


そんな時だった。


「あ、松田君? 今日も様子がおかしそうだね」


穏やかな笑みで松田に話しかける人物が現れた。


「なんだと? いつも失礼なやつだな……真柴」


「松田君、また何かやらかしたんだろ」


「べ、別に!」


「君、面白いほど、わかりやすいからね。見てて飽きないよ」


彼は、裏研のメンバーの真柴 純太 ましば じゅんただ。


髪は少し茶色の入った黒髪で、黒縁の四角い眼鏡をかけている、普通の男子だ。

身長は、松田と同じくらいだ。


「急なんだけどさ、松田君に手伝って欲しいことがあるんだよね」


「えっ! 今日はちょっとな……」


いつもなら、引き受けるのだが、今日はそんな気にはならなかった。


なんだか、とても嫌な予感がするからである。


真柴は小声で、


「じゃあ仕方ない、晶子あのことを言いふらしても……」


「やりますやります! ぜひやらせて下さい!」


「よしよし」


こうして、松田は真柴の手伝いをすることになった。


***


松田は、真柴のあとについていくと、占い部屋にたどり着いた。


「でさ、今日は、占い部屋の道具を整理したいなあって思って、今、収納する入れ物を作る作業してるんだけど、手伝って欲しいんだ」


「何だ、思ってたよりも普通だな」


松田はちょっと安心した。


「君はいったい何を想像してるんだ? 普段からよほどひどい目に合っているんだね。ははっ!」


真柴は楽しそうに松田を見る。


「おい、何笑ってんだよ!」


松田は真柴をにらんだ後、はあ……、とため息をついた。


「本当に何でだろうな……。まあ、早くやろうぜ」


とにかく松田は早く作業を終わらせることにした。


しかし、案の定この後、想像もしない出来事が松田を襲うのである。


***


松田と真柴は黙々と作業を進めていた。


材料はすでに真柴が調達していたため、後はそれを組み立てるだけなのだが、どれも、女子が好みそうなデザインであった。


「これ、真柴の趣味なのか?」


「そうなの! 僕、こういう可愛いデザインのもの好きなの!」


「お前、もしかしてそっちの世界の人なのか……?」


「冗談だよ、裏研の女の子の達は、こういうデザインの方が好きなんじゃないのかな、って思って」


「お前……、すごいな」


松田には考えつかない発想である。しかし、松田はそもそも裏研の女子メンバーは、変わり者が多く、女子扱いしなくてもいいんじゃないのか、と失礼なことも考えていた。


松田は、床に座り、再び製作に取り掛かかることにした。


今は物を置くための入れ物を工作していて、やはりこれも女の子が好きそうなデザインであった。


「あれ? どこいった?」


さっきまで近くに置いてあった接着剤が見当たらなかったので、


「なあ真柴、ここにあった接着剤知らないか?」


「ちょっと待って、今返すよ」 


真柴は立ち上がり、松田に接着剤を渡そうとした。


「うわっ!」


真柴は、下に置いてあった材料に引っかかり、バランスを崩しかけた。


慌てて、松田が真柴の左手を掴んで、何とか転倒するのは

免れた。


「ごめん、松田君。怪我してない?」


「別に大丈夫だけど。手、放してくれないか?」


松田は手を放そうとするが、びくともしない。


「いやあ……、ごめん、本当にごめん。実はさっき、この接着剤を手に付けちゃってさ。これ、瞬間接着剤だから……」


真柴が申し訳なさそうに言う。


「ま、まさか!」


「うん。僕たちの手、接着されちゃったみたいだ」


「おいー!! 」


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