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VIOLETlazward 〜辺境伯令嬢シャルロットの奮闘記〜  作者: 和霞


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19/23

1-19.儘ならず

 お兄様の執務補佐を始めて早数ヶ月。

私、シャルロットは本日もバリバリと頑張っております。

 

 領地の運営方法は見直し整理されました。


 歴々の辺境伯は力も威厳も、そして後ろ盾も根回しできる期間があったのでトップダウンが上手くいっていたの。

 

 それがない今、別の方法で奮起するしかない。


 ある時お兄様は働いている皆を庭園に集めバルコニー立った。


 そして組織改革する事や現状を伝え実直に協力を仰いだのだった。

 

 バルコニーを見上げていた人々は、次期領主アルフレッドのその堂々たる姿に安心し真摯な姿に心を打たれていた。

 

 その後ろ姿を見てシャルロットは、そっと胸を撫で下ろした。


 数日前からお兄様は皆の前に立つ練習をし、念入りに皆でスピーチの内容を練り言葉の抑揚や大きさ、そして身振り態度を修正した。

 威厳を感じさせるため正装服を着用し、日の光の向きで時折ピカリと光る装飾品を身につけた。


 アルフレッドの言葉は練習を重ねる毎に説得力が増し、その言動に引き込まれていった。

 

 お兄様はスピーチ終了後、私達に向かって微笑した。震える手を袖に引っ込めたのは視界にとらえない。

 お兄様、お疲れ様でした。


 残念ながら国境へ赴いているレッチフィル騎士団は領地へ戻れてはいない。

 

 長期化するにつれ団員達は、一定の時期に国境で戦う団員と領地を守る団員とが少しずつ入れ替わるようになった。

 しかし、団長であるお父様や副団長など団の要職者は一度も帰還できていない。

 もう、何年になるのだろう。

 

 バッカラ公国は執拗に攻めてくる。深追いせず、防衛の一手だとばれている。

 いつ攻めいられるのか分からずに守っている陣営のほうが心身共に疲弊する。

 相変わらず国は増援などの対処してくれず、守りに徹しろと口だけは出してくる。


 幸い国境付近からの悪い知らせは届いていない。領民皆は戦ってくれる者達の無事を祈りながら暮らしている現状だった。


 お兄様は、まだ何かがきっかけで不安定になってしまう事がある。対人関係が顕著であった。


 それも踏まえ、屋敷の外に各部署をまとめた館を作り、仕事が回りやすいように整えた。研修施設、教育施設も併設したの。


 指示系統を改善させ、誰でも分かるように仕事を振り分ける。適材適所に人員を配置し人数も増員した。


 条件付きの権限も与え責任を持たせる。仕事内容の再確認及び教育にも力をいれた。


 多少の混乱はあったが、各部長が率先して協力的に動いてくれたおかげで予想以上に成果が早く出たの。

 それに伴い給料面にも反映され、働いている者達の士気が上がったのを感じれた。


 おかげで、我が領地はかつて無いくらいに上手く回っているのよ。皆に感謝。


 仕事の関係上、屋敷を出入りする者や従者、侍女も増えた。

警備の関係上関係、執務室やお兄様と私の部屋などの生活スペースを屋敷の奥にあるフロア移動したの。


 そのフロアには限られた者しか入れない。

 フロアに上がる階段前には、騎士が24時間体制の警備で控えており防犯面でも抜かりはない。

 

 安心できる環境を整えたせいか、お兄様の元来の優秀さをメキメキ発揮されて領地の業績が鰻登りになりました。


 さすが、お兄様です。


 執務に余裕ができた私達は、自由な時間が確保できるようになったの。

短時間で効率よく勉強や剣の鍛錬する方法を、お兄様と模索し実行する。

 ながらで騎士団の柔軟体操をし体を動かし続ける。肩回し大事。ちょっとアレンジしたらお兄様が笑ってくれた。嬉しい。毎日笑顔にしてあげよう。

 

 剣技の時間になると、指導者の騎士達が引くほど、お兄様と共に集中し鍛え上げまくる。

 二人でハイテンションになり頑張りまくるのは、没入感もあり、すごく楽しい。


 従業員の中で教育を受けたい希望者には、勉強や剣術など学ぶ機会を与えている。

 それぞれの得意分野を伸ばすべく頑張っているようだ。


 その中に、将来我が家の騎士団所属を希望する女の子がいるらしい。私と同い年だそうだ。剣技だけでなく座学も優秀らしい。

 かつての自分を見ているようだと母はこっそり期待をかけている。

 

 そんなこんなで皆で力を合わせ良い感じになってきたと安心していたところで、やっぱり何かが起こるんだよね。


 人生は儘ならないって、本当に、よく言ったものだった。




 日差しが暖かくなり目に映る花々が華やぎ始めたころ、我が家に1通の手紙が届いた。


 レッチフィル領主宛であった。

 

 お母様とブルイが私達の執務室へ手紙を持ってきた。


 お兄様は手紙を受け取るとソファーへ移動し、スーッとペーパーナイフで開封する。


 私はお兄様の隣に座り、グリードは私達の後ろに立つ。お母様は私達の前に座りブルイがその後ろに控えた。

 メイテアはお茶の準備をしている。


 手紙の内容を要約するとこうだ。


 ゲラン領でのお茶会で領主同士を繋いでくれ感謝している。お陰で、すでにいくつかの問題が解決され、辺境地内での問題共有の重要性を再認識した。

 この際久しぶりに辺境付近の貴族会を開催しようと考えている。開催希望の要望もかなり届いている。

 開催にあたり、従来通りにレッチフィル領ドゥゴールウォール内中央にある迎賓館を使わせていただきたい。

 領主代理のアルフレッド様には、先の功績を称賛し、是非とも出席してもらいたい。

 開催日については、隣接六家の領主皆、アルフレッド様の都合に合わせる事を了承している。


 そのような内容が丁寧に回りくどく装飾された貴族特有の文章でしたためられていた。

 なんとも分厚く重い手紙である。


 差出人は先のお茶会でいくつかの事業を支援していた、オデュッセイ伯爵からであった。

 シャルロットは、バンバン背中を叩かれたから記憶に新しい。


 それでなくても、小さいころ何かにつけお祖父様に会いに来て、お兄様と私をぐるぐる回して遊んでくれた。お母様も仲良しみたいだし。


 オデュッセイ伯爵領はドゥゴールウォールの中央付近に隣接している。

 伯爵はフロライト学院長の我が家のお祖父様とは、幼少のころからの盟友であり、また、オデュッセイ伯爵領内にあるブレナ学園分校の校長をしているのは周知の事実である。

 紺の髪に白髪が美しく混ざり、顎髭がモサモサしている。

 体も大きく、なかなかに豪快なイケオジである。


 

 読み終えたアルフレッドは大きな息を吐いた。


「私の都合に合わせるとなると、出席しない訳にはいかないね。」


 辺境伯領に加え隣接している六領地。更にその六領地に隣接する十一領地の地帯が辺境の地である。

 おそらく、すでに概要情報は回っていることだろう。


「聞きつけた王家には参加してもらいたくないわね。リュシオール第二王子辺りがいらしたら事だわ。」


 フランシカの眉間にしわが寄る。


「先のお茶会でアルフレッド様が活躍したのも、国王は相当悔しがっていたと報告をおります。」


 ブルイその情報はどこで。


「リュシオール第二皇子がいらしたとすれば…。滞在中は本邸で対応しなければならないでしょうね。

 アルフレッドやシャルロットも一切会わない訳にはいかなくなります。」


「リュシオール様ならば仲良くなったし大丈夫ですよ!」


 シャルロットは、にっこり微笑む。


「アルフレッドとしてね。

 シャルロットとしては会わせるわけにはいけません。万が一にも婚約者などと王命が出たら、断るのに、こちらも相当に痛手を負うことになりかねないわ。」


 お母様が強張った声をだした。


「王家が来られない日程で、開催するしかないわ。」


「アルフレッド。会議の出席はできそうかしら。」

 お母様は一転して柔らかいものいいでアルフレッドに問うた。


「はい。」


 お兄様は短く答えたが、手が細かく震えている。見逃すことはできない。


 無理はいけない絶対。頑張れない事だってあるんだ。


 それならば、ここは、やっぱり。


「私が、お兄様として参りましょう!」


 シャルロットは、立ち上がりながら拳を突き上げた。



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