episode13 『夜勤からそのまま早朝勤務に?』
episode13
『夜勤からそのまま早朝勤務に?』
[part1]
22:00。王立魔法学園は警備員以外、全員退勤に。ミゾレは配信しないで学園内をフラフラしている。
ミゾレ「(あくびをしながら)魔力回復させないとー」
彼女は休憩や睡眠等で魔力を回復させている。魔力が無くなれば《ソウルジャック》などの有力スキルが使えなくなってしまう。
ミゾレ「あーと9日かぁー」
なんか良い感じの所を探索中。すると仮眠室が。
ミゾレ「入りまーす」
ウキウキでドアをすり抜けて入室。ベッドへ直行。
ミゾレ「寝るまで雑談配信すか」
『配信前待機画面』
『タイトル、まだ起きてる人いる?深夜の雑談配信』
<やるのか>
<くる!>
<たいき>
<待機>
<雑談くる>
<ミゾレちゃんの寝顔が見れるのか!?>
ブチ
ミゾレ「いるー?」
<いるよー>
<(手のアイコン)>
<(あくびアイコン)>
<雑談楽しみ>
<何するん?>
ミゾレ「テキトーな会話」
<ミゾレちゃん、かわいいね>
<会話かよ>
<てかその服で寝るのか>
ミゾレ「汚れの概念ないしー。服だって身体の一部」
ミゾレは寝ながらボソボソ呟く。
<ミゾレちゃん、服見せて?>
ミゾレ「通報するねー」
<ちょ!ごめん!冗談!>
<↑お前言い訳するな>
ミゾレ「てかさー……日蝕、自認無性別なんだよねー」
<かわいい>
<日蝕かわいい>
<無性……?>
<うそ……だろ?>
<いやいや女の子だろ?女神だろ!?>
ミゾレ「それはガワ。ガワ……うーん。本当の姿があるってゆうかー……ないっていうかー」
<本当の姿見たいー>
<気になる!>
<見せろ。俺も見せる>
ミゾレ「はい、アウトー……まあ、冗談だけど」
ミゾレ「姿なんて……まーないかな」
<ミゾレちゃん?少年風にして!>
<見たい!>
ミゾレ「ヤダ。メンドイ」
<ミゾレは男と女……どっちもいけるの?>
<↑草>
<↑あのさぁ>
<↑ため息>
ミゾレ「だから興味ないし。恋愛とかどーでもいいから」
<いやよ。もし付き合うならどんなタイプ?>
ミゾレ「えー?」
<仮によ?仮に>
ミゾレ「自分」
<は?>
<は>
<お?>
<なる……しすと?>
ミゾレ「自分が一番」
<ほえー>
<あいたたたた>
<イキるのやめろw>
ミゾレは「うーん」と長考し、口を開く。
ミゾレ「前言撤退……自分、嫌いだわ」
<おい>
<情緒不安定>
<コロコロ気分が変わるな>
<じゃあ、どんなタイプが好き?>
ミゾレ「(声を高くして)みんなが好き(はーと)!」
<…………>
<キッショ>
<嘘つけwww>
<急に媚び始めたな>
<なんか心地良いな>
<気持ちよくなってる人いてワロタ>
<てかなんで一人称日蝕なの?>
ミゾレ「一人称?あー『僕』『私』はなんか違う」
<一人称ミゾレでいーじゃん>
ミゾレ「なんかイタくない?」
<今更>
<今更……>
<日蝕の時点で……>
<ミゾレちゃんが無性別なら恥じらいとかないよね!?>
ミゾレ「アウトー」
ミゾレは続ける。
ミゾレ「まぁぶっちゃけた話、ちゃんと短パン履いてるから……残念!」
ミゾレは不敵な笑みを浮かべる。
<それはそれで>
<……マジ……か>
<そんな……>
<オオカミサマ寝てるよな?>
ミゾレ「ん?」
<実際どうなの?やっぱ辞めたい?>
ミゾレ「辞めるよ」
<草>
<草>
<秒で草>
<少しは迷えよwww>
<俺もオオカミサマは好きじゃない。なんかミゾレを奴隷みたいにされててキツいわ>
ミゾレ「ふーん」
ミゾレ「君さ?神界来て何年?」
まさかのとあるリスナー直撃。
<まだ1年>
ミゾレ「そー。根性あるじゃん。日蝕は半年」
<半年!?>
<半年かよ!?>
<俺だって10年のペーペーなのに……>
<半年でお役目とかヤベーなこの界隈>
ミゾレ「まあ日蝕の話は置いといて。オオカミサマについてだよね?多分、新参の下位神には話してないと思うケド」
ミゾレ「ここ最近、ガチで神界が有事」
ミゾレは少し表情を固める。
ミゾレ「『来訪者』が神界に侵略したりでさー、神様総力戦で防衛したりさー」
ミゾレ「まーオオカミサマ、ストレス溜まるっしょ?」
コメント欄は賛否両論。
ミゾレ「防衛してたらそりゃあドパガキになるでしょー?だから責めてもねー」
<そうか>
<……>
ミゾレ「ま、辞めるけど」
<草>
<結局辞めるのかよwww>
<やっぱ辞めんじゃねーかよ>
ミゾレは眠そうにスマホを覗く。
ミゾレ「でも今は……つかず、離れず……かな?」
ミゾレ「オオカミサマ……見てるー?」
コメント欄に反応はない。
ミゾレ「見ててもコメントしないか」
[part2]
ミゾレは配信を切り、仮眠を取っていたらソレは発生した。
『プィーン!プィーン!プィーン!』
『来訪者が侵入しました』
『推定レベル1』
ミゾレはすぐに目を覚まし、スマホのスクリーンを確認。緑色……つまり安全だが『周囲に来訪者が確実にいる』
ミゾレ「うわー睡眠が……」
スマホを浮遊させて探知機として使用。色は変わってない。
ミゾレ「『サーチ&デストロイ』やめてねー。警備員さん死んじゃうから」
仮眠室を出ると暗闇の廊下。校舎内である。
ミゾレ「音かなー」
すると窓から一瞬、光が。
ミゾレは外を眺める。中庭や敷地内には誰もいない。
ミゾレ「流石に屋内待機かな?警備員は」
すると再び雷鳴。嵐の前触れを感じるミゾレ。スマホ画面は緑色。
ミゾレ「んーー!」
ミゾレは屋上庭園に向かった。彼女は原因は空にあると読む。
屋上庭園に着く頃には既に地面はびしょびしょに濡れており、空から大粒の雨が叩きつけてくる。
ミゾレ「『ディザスター』かなぁ」
ラクガキメモ
『ディザスター』
来訪者の行動パターンの1つ。存在そのものが世界を破壊や汚染へと導く危険度が高いタイプ。しかし、不可視ではないことが多く、尚且つ巨大なので探知は容易。
ミゾレは漆黒の闇の空をよく凝視する。
ミゾレ「あー」
存在に気づいた彼女。
ミゾレ「黒龍」
全長500m級の翼の無い蛇のような形態。その巨大すぎる身体で空を泳いでいる。
ミゾレ「リズズ……じゃない……」
ミゾレ「……確実に来訪者」
土砂降りの雷雨を浴びながら漆黒の龍を視認するミゾレ。スマホは緑色。
ミゾレ「近づいてないから、気づかないみたい……」
ミゾレ「じゃあ」
ミゾレは左手に刀の鞘、右手に刀を生成。一旦、刀で腹部を突き刺し、血液を吸わせる。刀は赤黒く変色する。
そして納刀。嵐になった空を見つめる。
ミゾレ「龍のコスプレ?ハロウィンはもう終わったけど」
ミゾレ「《居合・雪起こし》」
刀に念を込めて不可視な速度で抜刀!!
シュ!!
すると龍が泳いでいる上から白い線が出現!線は地上へと垂直に降り注ぐ!!
斬撃には音すら無かった。
空ごと斬りつけて……龍は真っ二つに。直ぐにBNとなり、ミゾレはノイズを吸収、回収。
ミゾレ「BNゲーット!」
ずぶ濡れになりながら楽しそうに笑う彼女。もし彼女を今、観測するなら限りなく無邪気かつ無垢に見えるだろう。
スマホを確認すると画面が真っ暗に。
そして先程、夕方に佇んでいたアヤとリズズのその場所は……雨水と赤い液体が混じり合い、排水溝へと流れていく。
勿論、赤い液体はミゾレから溢れる血液。その血を認識できる人はいない。
白いパーカー風のローブが水と血に濡れており、ミゾレは夕方の甘い出来事との落差に笑みを浮かべた。
ミゾレ「あーあ、明日の朝……魔力枯渇状態になるんだろーなー」
ミゾレはもうどうでもよくなって屋上庭園で仰向けに寝転がった。
容赦の無い雨は明け方まで続いた。
episode13
END




