episode12 『奇跡を燃やせ!』
episode12
『奇跡を燃やせ!』
[part1]
ベンチに座り一方的に熱弁する令嬢。外見は水色髪のツインテ。
令嬢「就職先は?龍考古学者?研究者?どーするのよ?」
アヤ「ど、ドラゴンマスター目指します!龍に出会って仲良く……」
令嬢「龍なんて貴族どころか公爵、王族ですら一生涯目撃すらないのに……!」
アヤ「……いるって!多分……心がそう言って」
令嬢「空想家にも程がある!」
ミゾレ「(スマホで撮影)おー!揉め事ーやってるやってる」
<アヤぁぁ!>
<んだよコイツ>
<はやくざまぁさせよーぜ?>
<わからせてーなァ>
令嬢「あなたの成績は中の下、この様子じゃ遺跡調査班とかが妥当じゃないかしら?」
アヤ「ぜぇったい会うから〜」
令嬢は更にヒートアップ。
令嬢「ドラゴンマスター?あなたはその言葉を何度も発しているけど、歴史上では龍を統べる人間は一度も観測されてないの。あなたが言うその力に根拠や証拠は?」
アヤ「あるのに〜」
令嬢「悪魔の証明よ。龍がいなければ力を証明できない」
するとアヤは立ち上がる。
アヤ「じゃあ……何度もー失敗してるけど試すよ!この場で!」
令嬢「はぁ!?」
アヤ「龍様!ケェモン!」
ミゾレ「おう……」
<アヤちゃん、がんばれ!>
<アヤちゃん健気>
<ミゾレも応援しろよ?>
<ワンチャン、龍やってくるかもな>
屋上庭園に照らされる橙色は失われていく。夕日が……沈む。
アヤ「…………」
令嬢「……」
沈黙。
<ミゾレ!アレ!因果のマグネットでリズズちゃんを!>
ミゾレ「ちょと待って」
令嬢はため息をしてアヤから背を向ける。
令嬢「夢から覚めなさい……」
そう呟いて屋上から離れた。
アヤ「…………」
アヤはベンチに座り、俯く。
<これ失敗?>
<あーあ>
<アヤちゃん(涙)>
ミゾレ「や、違う。能力……ドラゴンマスターは発動してる」
<え?>
<え>
<え>
ミゾレ「あー射程からちょっと遠かったみたいだねー」
アヤは立ち上がり外の地平線を眺める。夕暮れが美しい。
アヤ「心の中で聞こえたから……龍と仲良く……」
アヤ「会える!絶対!」
ミゾレ「《因果のマグネット》、
図書室にいる高魔力者を屋上庭園に運命的に引き寄せる」
<ここで!?>
<悪役令嬢がいるタイミングで使えば!?>
<ここ?>
<今か!>
<きた!>
アヤは夕暮れの仄かな光を浴びながら、奇跡を望んだ。絶対に出会えると信じて。
アヤは振り返る。
目の前に黒髪セミロング、メガネの文学少女が佇んでいた。
[part2]
ミゾレはスマホを浮かせて丁度夕闇が見える地平線をバッグにアヤとリズズを撮影。
アヤ「……リズズ?……なんで?」
アヤは目を擦り、リズズを見つめる。まだ現実を認識していないようだ。
リズズはため息をする。
リズズ「君……来るの……遅い」
アヤ「くるの?」
リズズ「図書室」
アヤとリズズは沈黙。地平線は既に青くなっていた。
アヤはまだそわそわしている。
アヤ「えっと……なんで……ここだと……?」
リズズは目線を逸らして地平線を見つめる。
リズズ「……勘」
アヤ「……勘?」
リズズ「……長年の」
アヤ「……?」
リズズ「……いや、なんでもない」
ミゾレ。現在同接121。
ミゾレ「うっひょー」←やっぱり同接伸びると嬉しい
<勘か>
<勘じゃ、ないんだよな>
<奇跡だよ>
<奇跡は実在した!>
<あー(溶ける脳)>
<よかった……アヤが元気そうで>
<(涙目アイコン)>
<うっひょー草www>
リズズは手を差し伸べる。
リズズ「帰ろう……寒い」
アヤは……ゆっくりとリズズの手を握った。
<ミゾレ!?アヤの内面をソウルジャックしろ!!頼む!!>
<草>
<草>
<百合ガチ勢きた>
ミゾレ「むり。情報は覗けても心は見れませーん」
<くっそ!もうアヤ×リズズで妄想するしかないのか!!>
<↑終わってて草>
<諦めろ。夢から覚めろ>
<奇跡を!奇跡が来るはず!!>
アヤとリズズは手を握りながら屋上から離れた。その光景を見届けるミゾレ。
ミゾレ「残念。神様はサイコロを振らない」
<……>
<あー>
<……なんか……な>
<ミゾレ?どんな気分だ?今。正直に答えろ>
ミゾレ「んー」
ミゾレは空を見上げる。既に漆黒の闇。
ミゾレ「……運が……悪かった……ね」
ミゾレ「彼女……達は」
episode12
END




