異世界第12話
誤字脱字報告ありがとうございます!!助かりました!!
「うっ…」
頭がズキズキする。ビールとワインのチャンポンが効いたのか、3歳の若さで二日酔いに襲われる。
私の寝相は結構悪い。今日は頭と足が180度反対に回転していて、枕に足が載っていた。
頭痛いし気持ち悪いし、この最悪の気分を癒すためにそのままクロードに抱きつこうとしたけど、私の顔がクロードの抱きついてはいけない場所にあると認識した瞬間、ガバッと慌てて起きた。
うおおお!ちょっ‥やだ!私ったらはしたない‥。
ポッ
ここはクロードの部屋だ。お父様がクロードに部屋を与えて別々になってからも、夜になったら私が瞬間移動してクロードの部屋に潜り込み一緒に寝てる。
やばい!そういえば今何時だろう?!自分の部屋に戻らなきゃ!
急いで瞬間移動をして自分のベットの中に潜り込む。
コンコンッ。ガチャ‥
「お嬢様、おはようございます」
セーーーーフ!!!
頭がズキズキするし冷や汗がツーっと背中を流れたけど、爽やかな顔を演出して侍女に返事を返す。
「おはよう。今日も爽やかな天気ですね。おほほほ…。あの〜、お水を一杯いただけるかしら?大きめのカップで、むしろポットごと」
アルコールは恐ろしい、喉が乾いてしかたがない。そして私は若干酒臭い。
急いで侍女に水を持ってきてもらいポットにある分全てグビグビ飲み干すと、ちょっと引き気味の侍女におほほほ〜と笑いながらカップを渡す。
そしていつもの流れるような手つきの侍女に、水色の上品なワンピースに着替えさせてもらった。髪の毛は編み込みのハーフアップスタイルにしてもらい、とても二日酔いには見えない爽やかな令嬢に早変わりする。
侍女にされるがままになっている間、エヴァは酒はほどほどにしようと反省し、ジョルジュについて考えていた。
ジョルジュ・アダムズ、エヴァの10歳年上で現在13歳の綺麗な男の子。
髪の毛は紺色のストレートで、前髪が少し長めな気はするが全体的に肩より短い長さだ。
瞳はまるで血のような赤黒い色をしている。この世界の人はいろんな色の目をしているけど、ジョルジュの様な赤い瞳は他に見た事が無い。
私はジョルジュの正体に気づく前、前世でやってたヴァンパイアの乙女ゲームにでてくる攻略キャラみたいだな〜(みんな赤い瞳だったから)って思いながら、まじまじとジョルジュの目を見ていた。
そうしたら、気味が悪いだろ?ってジョルジュが言ってきたので、私は赤い目がどれ程美しいかを分からせる為に力説した。更にはヴァンパイアの話にまで発展して、その格好良さと人間ともがき合う恋愛について熱を込めて語ってしまった。
ジョルジュがもし八重歯だったなら、私の熱は留まるところを知らなかっただろう。
もちろん、ジョルジュは引いていた。おほほほ。
そして彼の父親は魔王だ。9年前、国ひとつを一瞬で滅ぼした後、勇者に倒されてしまった。
魔王の奥さんは行方が分からなく、ジョルジュは魔王のお父さん(お店のマスター)の家に引き取られて育つ。
そしてそのマスターは今から3年前に奥さんを亡くしている。彼の本職であった国の密偵を辞めて、たまに手伝っていた奥さんの飲食店を引き継いだ。
国の密偵って‥。だから自分の本当の心を隠していたのかしら、乙女という名の心を‥。
そして奥さんは素晴らしい人だった。お店が休みの日には店の余り物でご飯を作って、辺境の貧しい土地の人に無償で支援していたのだ。
マスターもそれを引き継いだが、ジョルジュが15歳の年に事件は起こる。支援していたのとは別の土地に住む貧しい人達が食料を奪いに2人を襲って来たのだ。その時にジョルジュを庇ったマスターは殺害されてしまう。
ついにジョルジュは天涯孤独になってしまった。
マスターは死に際に、ジョルジュのお父さんが契約していた精霊の話をした。その精霊ならジョルジュを助けてくれるはずと。
ジョルジュはその言葉に従って精霊のいる場所までなんとかたどり着き、契約をする。
そして強力な魔法をつかえるようになったジョルジュはウィンチェスター魔法学園へ編入し、その後教師となるのだ。
……マスターーーーー!!!!
や、ほんとこのゲーム死に過ぎだよ‥。
あと2年後、マスターを助ける為にも行動しなくては!!
そもそも国の状況が酷い‥。前世を思い出さなかったら、この優雅な生活の裏で苦しんでいる人がいるなんて何も知らずにいたよ。
マスターにお願いして、私も支援の手伝いとかできないかな‥。
ついでにジョルジュといっぱい話して、彼のコミュ障も治してしまいたい!コミュ障だから色々抱え込んで溜め込んで、最後には爆発して魔王になってしまうんだよ!!
よし、次お店行ったら土下座する勢いで頼み込もう!!
侍女に完璧に整えてもらった後朝食に向かう。
お母様も無事に体力が回復して、お父様とクロードと私との4人で朝食を囲んだ。因みにルークは乳母さんが見ててくれている。
「エヴァ、ルイス殿下と手紙のやり取りをしているのかい?」
「‥ええ、お父様。でも返信がなかなかこなくて。私、ルイス殿下に嫌われてしまったのかしら‥?」
「いや、‥今朝殿下から手紙が届いていたよ」
「えっ、本当に?良かった‥!」
「その事なんだが‥エヴァに言うか悩んだが、殿下から手紙が届いたし伝えることにするよ」
「??」
「実は王妃様が10日前に倒れられてしまってね、何のご病気なのか判明するまで殿下ですら会うことが出来ない状態だったんだ」
……え、まさか!!
「まぁ‥大変!!あなた、それで王妃様はご無事なのでしょうか??」
「エターリア、王妃様は残念ながら不治の病と医師が診断したんだ。後1ヶ月の命だと‥」
「‥そんな!!」
「そして、それを偶然聞いてしまった殿下は王妃様に会うため力尽くで部屋に押し入り、その時に護衛が何人か怪我をする事態になってしまったんだ」
「‥ルイス!ルイス殿下は大丈夫なんですか?!」
「殿下は、王妃様のご病気や人を傷つけてしまった事で大層落ち込んでいて、2日前から部屋で塞ぎ込んでしまって出てこられないんだ」
「……!!」
「しかし、エヴァに手紙を送っている。エヴァには心を開くかもしれない。こんな事を頼むのはエヴァの重荷になるかもしれないが、どうか殿下に会ってくれないかい?」
「‥ええ、もちろんよ、お父様!!私、すぐにでもルイス殿下の元へ向かうわ!!」
私は決意に燃える中、クロードを見た。
彼はまるでリスのように口いっぱいにアップルパイを詰め込んだまま、私と目が合いゆっくりと頷いた。
ごめんねルイス王子‥こんな時に。
私の決意が萌えてしもーたわ!!萌え萌え〜〜




