第十話 サイキックインパルス
急いで涼たちは宿泊旅館に帰ってきた。玄関口でカナとバッタリ偶然に会った。
「あッ、カナちゃん若菜は?」
「大変なんすよ」
涼たち二人は急いで旅館に駆け込み、慌てふためき声を上げた。
カナが素っ頓狂な顔つきをして、指をくわえた。
「せんぱい、若菜先輩ならさっきホテルの庭園を見に行くって、出て行きましたよ」
涼がカナの言葉を聞き、旅館の外に出ようとした、その時だった。
「キャぁ!」
何やら遠くの方で女の人の悲鳴がした。
「あの声は若菜! 無事でいてくれぇ!」
涼は庭園の方に全力で走った。続いて翔も走っていく。
☆☆ ☆☆
「生贄だ! 地獄へ堕ちろ」
頭に謎の覆面をした男が庭園の隅っこの方で若菜を捕まえ、ナイフを手に持っている。
「んぅんぅ。(声が出ない。もうダメぇ、殺されるわ)」
若菜は口を抑えられ声が出ないものの、必死に抵抗した。しかし、相手の力が強く手に負えなかった。とても女の子の力では、逃げれそうにないくらい強く抑えられていた。
「死ねぇ」
謎の覆面は、若菜の首元にナイフを振り翳す!
その時だった。
「ベリアルか、このぉ!」
瞬間的に涼が割って入りナイフを手で叩いて、地面に上手いことナイフを落とすのに成功した。その反動で二人とも転んだ。
「畜生、邪魔が入ったか。く、俺の殺人プランを阻みおって」
ナイフを落とし痛そうに謎の覆面は立ち上がりながら憤った声で声音を上げた。
ベリアルが言うと同時に涼の髪の色と瞳の色が青に変わっていた。まるで伝説のブルードラゴンのように。
「ベリアルか? お前の殺人プラン俺が全て阻止してやる」
口調が変わり挑戦的になった。何もかも見透かしたような蒼い眼光を照らし、RYOはいう。
「ふはは、サイキックトランスか? 面白い。蒼き竜よ、我らインフェルノに逆らうとどうなるかその身を持って教えてやる!」
ベリアルは落ちていたナイフを拾い、何を思ったか、ニヤリと不敵な笑みを見せて後ろに飛びのいた。
「涼?(違う、この感じは涼じゃない。もう一人の涼)」
若菜は涙目で嬉しそうな顔をし、変身した涼を近くで見遣った。
涼は別人格のブルードラゴンに変身している。それを見計らうと、ベリアルは立ち去った。
RYOはベリアルの後を追いかけた。だが、ベリアルの姿は一瞬で消えていた。
そして、見失った直後に唸りを上げて後ろからワゴン車が出てきた!
「車ッ!」
前方からワゴン車はそのままRYO達の方にスピードを上げて突っ込んでいく!
「わぁあ車が突っ込んでくる」
翔が慌てふためく。それは若菜も同じだった。その場で呆然としていた。
「ちぃ、仕方ねぇ」
別人格のRYOは舌打ちすると、すぐさま腕を地面と水平に上げ何やら構えた。蒼い眼光が同時に光った。車は真正面から、更に加速して凄い速さで向かってくる!
「(みんなを守らねぇと)」
手に何らかのエネルギーが青白い光を上げて収束していく。
「吹っ飛べ!」
涼の手に収束したエネルギーが腕から発せられ見事に当たり車を吹っ飛ばした!
「そ、そんな車が吹っ飛んだ!」
翔が口をポカンと開けたまま塞がらなかった。車は吹っ飛び、横転した。
「覚醒したRYOの特殊能力、サイキック・インパルスよ!」
野志穂警視が駆けつけ口を開いた。手に拳銃を持っていた。
「サイキック・インパルス?」
若菜は頓狂な声を上げる。
「サイキック捜査官には五つの特殊能力があるの。それらの能力を総称してGVICTと呼ばれているわ。『サイキックインパルス』はサイキックパワーを波動として飛ばすことで障害物などを吹っ飛ばす能力よ」
セクシーな胸元が開いた格好で野志穂警視は顔色を変えることなく説明していった。
「野志穂警視、きたんだな、少し遅いぞ」
RYOが振り返った。
「まぁ、犯人は逃げたのね。あらら、拳銃がからぶりだわ。惜しいことをしたわ。私がもう少し早く来ていれば……」
悔しそうに舌打ちし野志穂警視は横転した車に目線を向けた。
「警視、済まない、覆面をかぶっていて顔が特定出来なかった」
「それより師匠、車に乗ってる人は大丈夫スか?」
翔はそういい横転した車に駆け出した。
「便宜上は、正当防衛ね。衝撃で車が横転してへこんでいるわね。相変わらず、凄いわね」
「とりあえず、やってしまったが、こっちのドアを抉じ開けて中にいる人を助けるぞ」
☆☆ ☆☆
第十一話につづく。
こんにちは。
久しぶりの連載再開です。
折を見て、時間の都合でいけそうならアップしたいと思います。
今まで見てくださっていた読者様ほんとにありがとうございます。
作者ずっと毎日みておりました。
これからも応援してくださいね。
涼と野志穂警視応援してくださいね。
現実にいたらかなりのかっこかわいいひとたちでしょうね。(笑)
また更新します。




