57
ただ戦闘ってのはヤルべき時にやってない奴を見つけられるのがマズイんだよ。
俺はだからこそ、俺自身を異世界化するぞ。全力で全開。
「じゃあ俺が守るわ、次にカヌヤ――っ、またお前に任せて良いか!? 振り切って来れないかよっ!?」
「ふぅ……、ふぅ……、師匠、あんたやっぱりヤル男だねーっ?」
手に汗を握る、その言葉にでも本気かと。ただ俺はうなずいた。振り向いて欲しい男がいても彼女ならば信頼できるだろう。トモっち、アンタここでぴるぴるする気なんだーって言葉に。
「限界を超える、それで良いだろうが、それで生きれるぜ、生きるって大事だろう――」
あぁでも、見たところ正直俺の異世界とそう変わらないんだよな、あの上定とカヌヤを合わさればさ? デメリットが無い分だけ使いやすいハズで。
それでもアイツはうなずいてくれたし。
えとなを中心にして俺は上定の後ろを指示だ。それと同時に身体能力プラスで腕を補正、その上から属性魔法を照射させ。ただし、「くぅう!? 俺じゃ、限界は早い――」
堅い感触、そのドラゴリザードとかいう鎧ヤモリを殴ったがやはり相当なレベル、しかし殴る殴る、急旋回ステップしてボディ! だがこの……、3分交代でなんとか特A級カヌヤをぶん回すしかないが、ただそんな事をして能力として後遺症が出ないとは限らないがな。
そうだ、かなり厳しいんだよな、脳を破壊されてイクから。アレを2巡目を……しかもすぐに繰り返させるのは最悪俺自身も……。
「はぁ……、はぁ……!? 待ってぇ――待ってよ、ともぉ君、私も行くからぁ!」
その時強烈な魔法が穿つ、えとなだ、なんとか彼女が動けそうだった。属性を撒いて相手へと砲撃しにかかる、それが結構アリで他のも前へ出るしかなくて。
一時的におしくら饅頭は緩くなった、最悪を超えればあとは俺が――。
「このコアを守る守護者が排出しました!」「魔力反応が強くなります、天が……っ、空がここに落ちてきます!」
その言葉と共に新たなる空から、新実なる天の守護者が舞い降りる。
女神のあまねく空から切り取られて茶色く歪むモノクロームの天には血のカタマリと浮腫が這い回り、どんどん這って、血豆のようなのが湧いて来るんだ。爆発的な増殖、伸縮を繰り返して空の血管のようにうごめく、ヒクつく。
しかも早急に広がったと思えば次の瞬間には収縮し、カビの複合体のような大きな大きなイボのような。
腐臭を空から降らせて内から突き破られて雨を降らせ。
「ダンジョン・ボス。そうか……、わしは帰らせてもらおうか」
幾人かの後援会が消えて行く、脂汗を滲ませて。そうしてその数体の化け物が……、現れたそれは確かにケモノだが人間臭いんだよ。
やって来たのは似たような3体。
緑のカラダをもって頭には黒の走査線が引かれたような、体にもいくつか走ってるわキーポイントとでも言いたいような。それでも普通のニンゲンと言えば人間っぽい、180センチくらい、右から普通・普通・デブでの3匹。
そのまま一番ノーマルの1体はどっかりと腰を落とし、その背負っていた血脈ヒクつく生きた円柱みたいなのの前で瞑想へ入れば。
「お先にどうぞ――?」
するとイカツイ1匹が自身があるのか、唯一ツノがあるのが堂々とやってくるのだ。
ヤギのような様子だが毛のない足がゴン太になってて2足歩行していて、それは悪魔を思い起こすかもだがコイツはホントに二足のヤギだ。比較的カンガルーの亜種に見えるか。
ケモノの瞳を爛と漂わせ。
迎撃魔法の中を蹄をもって余裕で、全てをヤってしまって構わんのだなと顔で語る。あからさまに力が強そうで走査線が泡立って腕へ移行し集まり。
「ウォオオオオオオ!」
走る化け物、そうしてそのコブシの一撃はすぐに勇者を穿ち。
「つっよい、えぇ。私でもこれはさすがに――」
勇者がよどむ。土を削って削って、ボスクラスともなるとさすがにか。一撃したのをなんとかズラすことで精一杯で、しかしその2撃目はさすがに。
「私も負けませんよ、ていっ――!」
軽い声だけどしっかりヒット、化け物クラスの一撃をかいくぐりコチラも化け物勇者の一撃を。しかし捉えたのに何か変に堅いのだ、それは見た目からも想像に難くない堅さ、明らかに何らかの防御壁が阻んでおり。
ATフィールドもどきのたわみ、筋肉ヤギが防御力を活かしてのワンツー、リューク阿佐ヶ谷が飛び。
「コッチもだ? こいつらナニよ、これって全員が共通してぇ――?」「え、アタシでも効かないっすよ、なんか感触違うーー!?」
その特徴がデブのも同じか、いや、ボスの3体全てがそうならまぁ……。
ただでも明らかにその円柱への攻撃にはな、座る一体へは到達する前に魔法が弾かれているんだよな、むしろ反射して来るんだよ。
アレは絶対――。
「そいつが恐らくはシールド発生装置……? ならばヤラしてもらおうかぁ!」
走り込む部隊が。それは勇者の一行だ、一気に1人除いた全員が飛び込んで。
「くくく、その程度か貴様らぁ――」
しかしてそれがどうやら最強らしいのだ、回転ラリアット一発。血の雨が降るんだ。動きが素人目にも分かるぜ、何せ胴体がキレイに引き千切れて飛んで俺の班から声が上がるから。イケメンだけが生き残り、いや……郵便屋もな。でも青筋立ててて腕を折られてて。
それで3体、そのポータルを堅持するのと殺意のカタマリのようなヤギ。あと鼻ほじデブが並びたって。
「アレが最強とは……、最強だ。遠距離も無効です、どうしましょうか、ここに来てすっごく難しいのでは?」「えぇ、そうですわね。何かありますか、このままでは」
「オィそこのぉ……、人間の姫だなぁ?」
「えぇ――? そうよ」
突然の魔物からの言葉、毅然と答えてしまう姫が。
まっずい……、最強は、あの肉弾持っててコイツ遠距離でスピードタイプかよ。この動きづらそうなポータル中央陣形でも素早く攻撃できるような布陣なんだわ。口から出た魔法陣を見せつけてきて飛行しながら3Dの動きで何発も何発も撃って来る最強は。
「おぃ、全員避けるだけにしろ、あいつ本気でなんも考えねえな――」「勇者放って来てたモンスターを、アイツ仲間モンスターも巻き込むわ、急げーー!」
俺らは姿勢を低くして逃げ回るんだ、防災訓練はトモオ・ユニオンの日課ぁ!
ただそれを目の前にしても姫様は何か特殊な盾を以て穿ったな、割られたビームのほとばしりが地を削る、パン――パンと、白銀の何かを振り回してさばいているんだ。盾が行うとは思えないような動きでキビキビと雑魚をも蹴散らして。
「わたくしは良いわよ、行きなさいな、早く――」「は、はい。ご命令通りに。ならば我らが行かねばならないだろう、強いと言えど全員でなら、再度――」
剣を掲げた騎士団は、それら全てがシールドのヤギへと向かう。次は必勝を期して包囲するんだよ、最強だろうが武を見せねばならない。
あぁしかしな……、俺は気づく、さっきから目立たないデブが妙に膨れるのだ、それってあの――。
まさか自爆技が無効とかいう――。
「おぃ全員退避だよ退避ぃいい!?」
叫ぶ俺は、それは罠にかかれば一瞬で塵へと返される、そういう作戦であり。
デブが……光り、爆発、揺れと揺れと風と小粒の何かが無限に顔に、揺れて「はぁ……、はぁ……!?」すんごいヤバいぃ――自分の自爆すらも無効にすんのぉ? いや何それ……、ホントどうなってんのよぉ。
森ごと吹き飛ばすクレーターが――――――。




