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その言葉にはやっぱり、心動く、はにかむ。相性も良いらしい、かなり良いのか「すごいすごい……っ、こういうのもありなんだー!? 私知らなくて、上定くんの全然っ……」「そうだね……。僕の守りたいという気持ちは本気だからだな、行くぞ、カヌヤ――!」
そのまま背中を預け戦いあっていく僕らは。あまり試した事のないスキルだったがドンピシャの力だよ。本番に強いんだよぉ、良い男はさぁ?
その突進ならば問題ないな、僕がサポートしてからパワー重視の一撃で斬り込んでの。2撃目の追撃は僕が。
AクラスとAクラスが手を合わせればそうだぞ、負ける道理がない。所詮はBクラス以下どもだ、薄汚れた制服、それに対してどうだ、この王子たる僕はさ――。
「クソ、まじぃな。俺達は生き残れるかどうかか、いやこれどうすりゃ」
戸惑う。逃げる事だけを考えなければならない俺らでは、それとは真逆の威風堂々を。森の中で群がる悪鬼の行進へと突進し続けての駆け引き無しで一方的に蹴散らす圧巻。
たった二人だけで俺ら全員よりも戦果を上げるだろう事、悔しいが。
「そんで本番って事は、アッチもすごいんだわ」
「うぉおお、アタシのパワーを見ろぉお! おりゃああ!」
それは組まれると最悪、もはや狼の複数突進ですら効かない。
簡単に勢いを殺され頭を持たれる、ガッチリと肉弾、放り投げられて。可愛そうとも思えるなと、ヤリを突いて来たその蛇顔を軽く折り曲げて放り投げ。チョップ! 破裂!
アイツ……、大島はマジかよ。
「でも気になるな」
大島こと真田の能力は確かパーティーの中で最強のストレングス、要は力が最も強いという事になるはず。
いや――。どうなってる。
ただ他のはさすがに動きが鈍いか。練習にはないレベルが湧いているから。実際俺らは動き回らないで欲しいんだよ、後ろに逃げたいからさ。
「あ、あのあのぉ……、姫様ぁ? 勇者部の私達はどうすれば」「存分に戦って下さいな。アナタ達の力は女神が保証していますわ」
「め、女神……」
女神っつったってぇェ……。
結構来るワーズなんだよね。
村上こと篠崎がまごまごと、まぁ分からんでもない、ウチもそうだぜ。そうだ――「おぃ向こうをしっかり見ろよ! 必ず3人一組だぞ、お前の後ろには人がいるからな!」
「おぃだからソッチぃ……だから後退してくるなってっ、良いからしっかり見張ってろォ!?」
てんやわんやしてる俺らの方もしっかりといさめねばならない、正直他人の事をとやかく言ってる暇なんてないんだ。死ぬかもしれないんだ、いや死んで当然だからダンジョンなんだ。
とりあえずバラけず集合しすぎず、位置取りは的確に、利用できるものはなんでも頼んでやらないと、なんとか俺は激戦の中で指揮をして。
「そっち……、大丈夫か。少しぴるぴるしかないか、どうだ!」「や、やだやだ、まだ私はヤダぁ!?」「良いだろ、しょうがないだろう我慢しろッ!」
あぁ――うぅぅ!?「ちょっと……、こっちトモオくん!? 先生が倒れましたーー!」「ほぉっておけーー!」
「オィ早いのから倒したいけど無理だよなぁ、もう良いよなぁトモオ!?」「いやまぁ、そうだな、そうしよう。あんま気負うな、適当で良いよ! おぃバックアップお前行け!」
えぇぇエ!? まじでぇ!?「な、なぁじゃあ魔法よりもスキルか、どうだリーダー」「構わん、行けるほう行け!」「わっかんねえよ、指示してくれぇ!」
チッ――「あぁええと――とりあえず前に行くんだよ、後ろ行っても何もねえんだ! 俺の言う事を聞け、今はスキルだけを使えーー!」
必死に俺は戦わせようとするがなかなか難しい、自然と後ろへ下がってきてしまう。かなり初手から右往左往させられてて、まぁ俺の異世界を使って優勢を導く事も可能だがな。ただそれは一時的だ、その後のブランクで命が危なくなる、全く動けねえから今のクラスの子もほぼ防御力0。負債が増えてしまう、全員が助かるにはこの負債をコントロールして――。
「トモオ先生が……先生が間違ってポーション飲んだー!?」「しょうがない、諦めろ!」「トモオ先生がやっぱり……、帰りたいって。俺も帰りてぇえエ!?」
「良いからもうほぉっておけーー!?」
あととりあえず先生が重しになってる、仕方なく先生シフトも引くしかなく。
ヤバいー、ヤバいー。おしくらまんじゅうしてるぅう!? 思った以上に早いんだよ狙いやすい団子になってしまった、爆発起きたら終わりだ。でも動けないんだよ、どうしよーー!?
篠崎とかがもっと活躍して惹いてくれれば良いが、クソ、もっと動かず頑張れよぉ。
「ねぇ騎士さまーー!? 強い騎士サマ助けて……っ、俺ら接近戦は駄目なんですー」
「」「」チッ――。今舌打ちしたな? 昇格かかった仕事中だしな。あと顔か……、やっぱ顔なんか?
だったらコイツだろうマフ太郎だよォ!
あ、早い――、早いぞ――!? 肉食のおぜうサマに嫌な顔されるご褒美をもらいつつも助けてもらう、時折マフ賄賂だ、俺らは下町スキルなんだよ、そんな上手い事やれないって!
「だ、大丈夫か、えとなは問題ないか!」「はい!? はい、大丈夫だよ、はぁ……はぁ……、私はぁ、守らないとで……」
震える手で石を。未だ縮こまってる少女をかばい、俺はなんとか守りを強くするんだ。投石が主力とはいえ、いやはや情けないが、それでも広がって行く必要があるし。俺が前へ出れば少しはついて来るから。
今の状態でもし一か所でも抜かれれば爆散、血みどろコースまっしぐらで。
実際目の前ではフルプレートの騎士がデカブツに吹き飛ばされてて木に打ち付けられて白目剥いてるし。
いざとなったら俺は――、じゃあエトナを離さねばならないかとも。えとなならアイツも助けに来るんだよ絶対に。いや、それは最終手段でも、だが俺は考えないとで。
「おっし、そうだ……、良いぞカヌヤ……っ、良い! 良いかぁ、倒れてた幼少のオマエを拾ってやったのを忘れるなよ、お前には師匠を守る権利をやるぅーーゥ!?」
「師匠師匠、それくそダサいーー、あハハハハハ!」
カヌヤは分かっているのか、こちらを守ろうとしてくれるんだ。ヘイト買いまくりの水のファースト連射。こっすい擦り方を伝授してやった甲斐があるってもんよォ!
トモオの擦りは女子すら呆れる擦りだよっ。
ひたすらスキルメイト達への指示でこの地獄を守り切らないとで、誰かの後ろを探して彷徨う俺らは。
まずは全体を見るべきだ。一番はやはり……「お前らスキル使え、なに止まってんだ。俺らは所詮スキルありきだ、今すぐ使え!」「す、スキルったって、アレ使うとマジで睨まれるだろうよ、ナァ!?」
ヘイトを買うその一手が恐怖というのは分かるよ、確かにココで注意を引くような行動を起こすと睨まれるし。騎士団とかもいるから他人任せになるのは仕方ないか。
それでもだ……「全員が戦ってるんだよ、こんな程度で変わらねえよ!」「ってもよぉ、一匹でも来たらもう……っ」
もうあんなに――。
あぁ溶かされたな。酸が煙をあげてアバラが見えたわ、ばっくりと開く胸。でも血の匂いは慣れたハズ、ただなんでか分からんが胃液とともに恐怖が湧く。しかも柱が決まらないのがモロにパニックを誘う。こんな時に頼れる人間はほぼおらず、おしくらまんじゅうも限界で。
それでコッチを見たな、そのドラゴンが。
散り散りになれば終わりで。
「そうか、そうかよ――」




