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「では、本格的なダンジョンへと参りますわよ」
「オィここはァ……、絶対に侮れんからな。私も行くぞ、心して挑めよォ!」
その一団の目の前には少し茶色がかった光が降りている森が。
それは屈折か、何も無い所から突然光が色づいてるんだよ。
ダンジョンコアの加護というその、あまねく降り注ぐ光すらも穢す、女神の力をも歪めうるそれは地上の悪魔の揺り籠。空を睨むその恐怖の目が開く。
川や湖から反射した光すらも力を失い果てるのは。
森に映した自分は黒いガイコツと替えられ走って行き。その音はまるで自分の足元から響いていて。聞いた事のない声で誘う森。
汗を拭いて、襟首を正させる騎士団長。
そこは鬱蒼とした森だった。もう騎士団でも面倒を見切れないので市民は帰しておいての、後援会に属する者達だけが残されていて。
ハイタッチを求めてくる、そこをくぐり抜けて行く。光輝くスポットライトが徘徊してて。英雄たる不滅のリューク阿佐ヶ谷と力自慢の森三中、荒ぶるジャスティス・ブルーム、マットではまだ負けなし、問われるファイティング・アイデンティティ。32連勝なるか、がんばれるーやが続く。
威風堂々。いつでも鼻がすすれる感じで気合十分。ヴィラン以外はつつがなく大人しく行進、騎士見習いの股から肩を使っての、開かれた木々をくぐり、悪意住まう聖域へと入って行く。一番最初の一声はホントーに聞こえにくい。ゅぅしゃぶ、ふぁぁぃ――。
おっしゃおらぁ。
「じゃあこっちも行こうぜ」
「はぁ……はぁ……、俺らも、行くんだな?」「えぇそれでなんとかよ、きぞく権はもう良いからお米1俵分を確保しようね!」
そうなぁ、やっぱり上手いんだよあの姫様よぉ――。少し食わせてから景品にしやがったわ、エサで釣る気なんだ、くっそーーー……。
日本の心をなんだと思ってるんだ、気合入れるしかねえんだわっ……!
その化け物の巣の中へと突っ込む俺ら、ダンジョンへと。
「あれは、上位モンスター……?」「クソ。すっげぇ嫌な感じ、やっぱ町では全く見ないんだな、そんなのばっかか」
俺ら5組が入ったのは。
なんというか、それは自然の悪意だろうか、それとも自然にすらも悪意なんだろうか。
ぺったぺったと何事もなく歩き回るウロコの塊や、ギョロギョロと見やる小人は透けるような木々の間から、虎視眈々、臭気のしそうな8足モンスターがぐにゅっと泥へと潜り。
他人の分まで笑ってやるとばかりに笑顔の心臓が、木に張り付いて。粘液でまみれノタくる虹色の汚い蛇が上を行き、その上をアリが歩くんだ。アギトが開いて鋭い牙が覗いた。
あまた異形が当てどもなく、ひた……、ひた……、と彷徨い歩いてる様子は。この臭気は……、交わるのだろうか。ただならぬ異形の物たちが。女神の加護が届かないとは言え、しかして奴らは決して、そう決してだ。
分かるんだ、ここに人間だけは入る余地などはない事を。
「炎よ――!」
あちらでは開戦した、そうなれば荒れ狂うのが森。音が変わったんだ、臭いが流れてくる、風の魔法で荒れ狂って草が切り裂き炎の光が差し込んだ、大地が崩れて火花を散らす。
団体戦は激烈なる現象変化が起こるらしいとは聞いていたが、でも殺意で森が揺れて、その1滴が落ちればもうあとは洪水のような……。
「お、俺らも、スキルを用意しろ!」「落ち着けー、落ち着けーーっ! とりあえず連携だけはしっかりしろーーッ!?」
音と空気に飲まれないよう。こっちは特有のスキルと属性付与で戦いへ出るが、そこはケモノ独特の間合いだ、強い魔物が群れてるってマズイんだわ。奴らは体と思考そのものが違っていて……。
「じゃ、弱点でしょ……? 炎をあっさり突破だよ、強いよきっとやっぱりぃい!?」「見透かされてんだよ、弱点は変わらないってっ!」
「でもお城で何度か戦わされたけれどもね……、これ、雰囲気が全然違う」
素早くないのが先に来た、それで警戒すべきは狼が後から来てしまう。それだけで動きが制限されていてその、睨みを利かす森という戦場。どこからでも畳み込む構えの魔物たちをなんとかする必要。
木の上から突如響く枝の蹴られた音は、もう。
「でぇえい!」
そこへ果敢に割り込む女騎士が、貴族だろうか、他を鼓舞して美しい赤髪を揺らながら見事に斬りはらう。揺れる白の高潔なる装備。そうして次の魔物を既に魔法隊が仕留めていた、気にせず爆炎へと走り込むんだ。力強く木々を踏みしめる音。爆発、絶叫。
動揺。クソ、やっぱ甘くねぇか。
道中よりもさらに激化して進めない。ダンジョンの中はもはや天国にも地獄にも属さぬ領域であり、だがそれをも切り裂くは―――。
「パワーアップも、してってるんだね」
勇者は勇者として順当にレベルアップして行っているな。同じクラスだったとはもう言い難い、異様。地道な積み重ねを万の可能性へと替えて勇者は、今の阿佐ヶ谷には全てが備わる――。
「見えています、見えていますともぉ」
荒れ狂う中で一匹目はもう寄せ付けないで覇気のみ、その次は横へ振り抜いた両断、そうしてソレを更に振り切れば木の後ろにいた魔物は骨だけが飛ぶんだ、それは肉が裂かれずに突然骨が吹き飛ぶ。木々へと白が突き刺さって、更に更に一匹撃破で4匹目5匹目……。
今は何をやってるか分かってるがもうすぐ俺では分からないようになるだろう事を。
「ともっちお願い、行くよ……、また行かないとだ」
俺はその第一次ぴるぴる強化へと手を伸ばすから、彼女は抵抗なく抱かれ。「おぃ、そこの! 何をしている!?」
ん――!? あぁ異世界が解かれちまった、いきなり引きはがされるから、妙な状態で行ってしまいカヌヤ――。
「さぁ、お前たちはもう別の部隊だろう? コッチは王国軍だぞ、変な事は今後一切ヤメてもらおうかよ、ふふん」
おぃ面倒な……この野郎ぉお。しかしその言葉は睨まれるから、確かにそういうのは五月蠅い。しかし彼女を失ってはトモオユニオンの戦力では――。連れてかれては。
「え!? あぁ、嘘ぉ――。でも私はもっと仕事しなきゃだし……っ、ねぇ、今クラスメイト放っておいたら、ねぇ上定くん!?」
「良いかい……屋舎陣さん、あれらはもう城に戻ることはないんだ、じゃあキミがやれる事はなんだい? 一緒に道を開こうか、良いからもうキミはそばにいろ――」
強引な言葉、ただムカつく事にその顔は明らかに反応しているんだ、そうだけ言うと連れて行ってしまう。しかも「お、俺らもさ、上定くん俺らも頼むってぇえ!?」
数少ない戦闘職が消えて行くんだ中山田たちまで。くそ――、ただし確かにヤツは強いよ、スキルがかなり強いんだよ「でぇぇえ、やぁああ! はぁ……はぁ……、よし、合わせるよ、僕らは僕らでやるべきだ、君は勇者の一部なんだろう!? だったら活躍した分だけあまねく人が助かる――ッ」




