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「ただまぁ、水だもんな、あとやっぱ水辺のには効き悪そうな気はするよなぁ~。確かにあれで、しかも相手の属性も考えないとかよ」

「うぅん? どうやらねぇ、これって属性じゃないらしいんよー」


「はぁ? え? そう……なのか」「うんそう、そうよ。さっきのも水っぽいけど水じゃないんよね、宮廷にいる偉い人たちからそう言われたん~」

 はぁ~……。そういうのあるんだな。それはさすがに分からなかったぞ、でも確かにアレか? じゃあ物理なのかもな。

 車は電気であろうがガスであろうが進むは進む、その進むって部分だけを使用するスキルなのか。推進、面白いなと。


 あぁ、え――? むしろ馬鹿程強くなってないか、え? これって「魔物は気づかねぇじゃねえかよ」

 降りていく、そのトモオ・ダンジョンを美少女が。一度のぴるぴるぽーを乗り超えた先、4階の猛者たちを超えた後。

 ここはこの場所はなんとなく、形になってってる気がする。



 無機質な壁と少しだけ崩れた場所があっても、それでも綺麗な感じだ。俺もここは深くは来てないから構造は分からない、でも妙な事を言ってたな、あの顔は――。


「あぁ、それでだ。強いなカヌヤ、コイツは絶対にな」

 顔を見合わせた。炎が灯る、5階層への入り口で。その前に仁王立ちする姿に頭を抱えるんだ。ともおダンジョンがどうなってるかは知らないが結構なバケモンであると。

 2つの頭を持ちて蛇をカラダへと纏う、それは犬のモンスター。


「でもだけどコッチも気合が違うな……」「フゥ……フゥ……、行くよ、もうすぐなんだから邪魔しないで――」

 2回目のぴるぴるポーを前にして、この集中力、彼女は必死になってそのケモノを叩くんだ。すぐに開戦。俺も彼女で教えられたがこのスキルたる『異世界』を使うのは2回までにした方が良い事。

 そうしてその切っ先を向けて、斬り込んだ!

「でぇえええい!」

「どんくらいかは分からんが、本気でヤバいのきてそうだな」



 受けて立つ2つの頭。兄貴の資料曰くオルトロスらしい、オールド・オルトロスという種とされた。

 強いな、オオカミの癖にすさまじい大きさだ、軽く縦で2m半はあるぞ、そうして素早い。まぁまだ全然格違いだろうがフェンリルとオーディンの戦いにすら見えるな、そんな威圧感だ。あ、やっぱオーディンじゃなくてヴィーザルでね、そのキバでのどデカい一撃でヒヤリとし。丸呑みされかねない美少女を。

 通常攻撃ではやっぱり上達したとは言え。


「はぁ……はぁ……、やっぱこういうの燃えるじゃんねぇ」

 ほとばしる殺気は鋭く、その牙へと返す一閃は強くて、それでも効かないか。攻撃力は育ってってるのだがな。オールド・オルトロスは双頭を使い巧みに攻守して連撃して来るんだわ。

 攻撃しようとしたらもう一匹がドヤ顔で横へ行く、この圧だけで躊躇するだろう。そこを。



「でもさ、風のフォース・微塵の紫塵――」

 そこへブッコミ上等のスキル、でもだけどモンスターもペチパン迎撃だが、しかしだ、それ以上に強くて驚かれてる。肉球を弾いて腕の後ろから影で血が飛んだ。

 この大きな相手でも相当イケてるわ、ただそれでも体力負けは。

 土や光を使うがそれでも反応が良いモンスターには迎撃される。何よりも頭が2つあるしえている、そもそも。


「ダメだこいつ、ともっち直伝の横移動がマジで意味ない、横とか正面じゃん――!?」

 視野角が広すぎて全くもって効かないのだ、むしろステップが無効とすら思える。頭がナナメ向いてるんだわ常に。あとおかしいな、なんとなくだが水の効きが弱いぞ確かに。

 追いつめるように歩いて来るから、自信ありげに犬。それならと美少女が気合いの直進、もう一つ教えておいた突進の流儀。



「地のセカンド――脈拍の黄拍、からの……光の残影ぇえ!」

 あえて途中で途切れるやつを打って2段階推進を、しかも視界不良の2つ、これはかなり見づらいハズだ。緩急も30キロ差があり、小さくなってから直後に分身する等という、正直必殺と言えた、ただその前ですらも――。


「これって何――」

 中央をキメようとした瞬間だった、何故か両隣から狼が発生した。正確には白き狼2匹がワキをすり抜けて走るような感覚が。

 いやな幻視だ、だが実際それは2匹に食われるような迎撃が――。



「がはぁあ!? 首に、重圧がぁ――」先に重圧が、くる、素人では噛まれたと、そうしてその突進を突き破って一撃。二撃「はぁ……はぁ……!? 無限に――」

 なんでか後ろからも来る、牙がどっからでも襲って来るよ。こいつ接近戦が強い滅茶苦茶に。なんだろ、どれがダメージなのって……? 震える脳、幻想を体現し始めるヤツは初めて、確かにでもそういうレベルだって聞いてはいたんだけど。

 なんとか光をまとってたから良かったけどさ……。肩から血を吐きながら回転、逃げる私。

 むしろやり返された。隙がなさすぎで押され続けるって、コイツは180度。前は幻想領域で危ない、普通なら複数でスキを作れるんだろうけど今は頼れる者がいないし。

 でも……、だけど。


「俺が出るわけにもいかないからなー! もうじゃあ、この3分でキメないと逃げるしかなくなるぞカヌヤぁっ」

 うなずく。良い位置とってくれてるわ、そうして発動する異世界を。

 深く抱かれる、熱い吐息が響く、心臓が激しく打ちあって、その下へ入って来るんだ、ワタシ触られる。引き締まったお腹からアツくアツく。



「んぅぅゥ……――」ビクンっと。

 最近ちょっと、なんでか恥ずかしさ増した。

 声を漏らさないようにしたいのに、なんでかトモっち、コイツ。

 やっぱでも、動きは的確に変わるなと。特にゴリゴリの前衛系は俺もあんまり見てこなかったけどさ、ココまで変わるのかよと。

 見た感じもう子供と吉田沙保里だ。

「さ、せい! コイツ早い……けどねッ」

 一撃で違いを理解させられてる、すさまじい身体能力であり一気に超一流の動きへと変わるんだ。剣が変わるよ、目の横こすられ驚いて予想外、後ろへ下がれば激烈なる突進、風の力を得た。

「真・風のフォース・微塵の紫塵――」かち上げられてひるんだら来てる、もう沙保里来てる――。


 2撃目がほぼ同時に感じるくらい、壁に打ち付けられた戦いの仕手たるモンスターが大焦りして。まだしっかりと視えている、2頭のワンツーバイトにこっちも合わせての突き――突きと全迎撃。

 狼のカオが歪んで、それでも大きい癖に素早いな、その壁を駆けて跳んで直上からドスン。避けてもその下から衝撃が走ってたまねぎみたいに舞い上がる空気波が、さすがに無理か。かぬやが切り裂かれながらもそこからも畳みかける1匹のキバ。



「くっそーー、2対1とか卑怯なんよ。コイツぅ!?」

 逃げの突進でなんとか。ただ高速の逃げでも直線だと弱いか、相手のしなやかなる狼ハンティングには若干だが負けている。壁走りしても相手が応じて来るし。

 突進での空中戦は安牌だと踏んだがそれすらヤツは手ごわいときた、もう完全に2という多数に迎合する感じの戦い。

 群れでの生き物だからな……コイツらは、一心同体、連携は既にMaxで。



「ぐぅう!? ここまで来ると幻想的だよね、まじで幻想の生き物――」

 一匹下から来てコッチを引き留めててもう一匹が真上からの丸呑み来る、視界の範囲外からの奇襲、というのを2つの頭でやってくるんだって。足は並みの4足なのにねぇ、変だと思うけど本気でこいつ等。


「かぬやの動きがおかしいな、多分なんかあるけど俺には分からねえか……」

 明らかに防御すらも反応しきれてないんだ、こんな大きな狼なのに逃げる事すら怪しい。一つ一つの動作が緩慢のようにも。鋼が鳴き叫ぶんだよ弾かれた上に追撃も来たから、思いっきり来られたので尻もちついたわ、肩のパーツが外れる程に。

 アイツのは勇者枠の外に近くても王家の騎士とかが使ってる奴のハズ、それがここまでかと。


「ダメならまだ逃げれる、様子見もありだぜカヌヤ!」

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