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「僕は……何者にもなれない。」
ドンドンドン! 上定さまーー! わくわくの勇者イベントがありますよ、一緒に行きましょーー! 五月蠅い。勇者サマへとアピールする絶好の機会ですーー。是非是非ッ、光栄な事この上ないんだー!
異世界の声が聞こえる……。
異世界だよ。
イセカイ。
毎日なんだからな。
常にアイツらの世話を申し付けられてワケ分からない言葉を発すると僕が聞き取りさせられるし。いつもいつも異世界の組っていう枠で押し込められてて疎外感すごいし。
相手は言う事聞かないから僕がしっかりとだよ……? ちゃんと通じる言葉で話してても、通じてないって顔で癇癪起こして。僕だけはその為に下位貴族あつかいなんだ、もう金持ち構ってちゃんが発動すると地獄だ。
一人で残されて異世界なお小言言われるのは僕なんだよ。体育では毎日毎日ペアに苦心させられるんだ、本音を言うと殺されるし。親もいないし友達も無理。
勉強もなんか置いてかれ始めてる。
明日も同じだ。明日も同じだ。明日も同じだ。
この城では一人だ――――――。
小さな事が、嫉妬とかじゃないんだ、一人で良い、でも仲間が欲しい。
そうして始まる夜の強者徘徊は――。
「フゥ……、フゥ……、王子様……どこですか?」「さぁ、お姿を、お城で何気なく徘徊する王子様……」「どこだよ、異世界無双は、ワタシの攻略対象は。スキルがあれば良いよね? ねぇ良いんだよねぇえ 」
はぁ……はぁ……、僕は一体この一日……、何をしていた。
今日も乙女ゲームの主人公気取りさんたちは自然な感じでエレガントに話し合いを求める、森三とがんばれるーにゃと阿佐ヶ谷リュークうごめく夜。それを受けて立つ城も、選択肢の用意は良いな? アンリミテッド・乙女ゲー、ワークス――。
そうだな、そう。
ワンダーランドだよ、もうなんか台所にしか出現しない奴いるけどな。そこな、貴族でイケメンへの襲撃阻止してあわよくばしようとしてるのか、でも明らかにお前がヤル側なんよな。その重い本持ってんのさぁ……、きゃーゴメンナサイ作戦かよ、でも明らかに殺意なんよ、分かれよ、おめーの体重だけでウデいくんよ。
闇の角待ちは、それ、リトルナイトメアなら投げてるぞ。
いやだからぁ、おま……、お前、子供を城の中で迷子にしようとすな――共に遊ぶな、寝るな!
イケメンたちのベッドを一夜にして全て壊すなよ、たった一つのベッドにしようと画策すんな、そこに並ぶなよ――ッ!?
だから僕は毛布をかぶさり震えて眠るしかない。城に来てからという物ずっとこれだ、星を見た記憶がない。満天なんだろうが、それがなんだって感じだよ。誰と見ろって言うんだよ。
でもいや、僕の条件にぴったりと来る物があと一つだけあったのに。こんな状態だからこそ欲しい温もり、分かち合えるその。
「君は……、何故だ、何故なんだ――」
枕を濡らす。信じてたのに。
別に何か二人でやれるって訳じゃない、でもいるだけで心の支えだった。しかし理由は分からないが走って行ってしまう美少女の後ろ姿が見える。どうしてもあのクソのニヤついた顔が浮かぶ。まさか……、なんでだと、この俺が。えとなさんもがあんなゴミとナゼ――。
こっちは恋愛強者の一軍トップの僕だぞ? 昔ならあのゲームしか取り柄の無いゴミがよォ。意識すらしなかった……、ただ僕にいじられて面白くされて薄らわらってりゃ良いものをなんで今頃――。
今僕に必要なのは相談できる相手だ、少しばかりの天使の微笑みなんだってェ。
「ではではー、発表しまーす。今日は水の日ぃ!」
ばばーん!元気いっぱい可愛いギャルが手を上げて。しっかり見ててと自信のある、一気集中か、良いと思う。とりあえずその動きを見守るんだわ、俺は強化の前後を見定める大事な役。
「どっせい! 圧縮の蒼縮、水の……ファーストぉ、はぁ……はぁ……、どうかなトモっち。言われて頑張って使ってるよー?」
「うんうん、使い勝手は良さそうだよな、ただこれ苦手なんだったかカヌヤは。直行とか絶対強いのにそんな使ってないんだよな」
「そうそ、これさー、相手次第だから怖いんよねぇ……? めっちゃ弱くてハッキリしないんよー」
とりあえず水を連打するが、申し訳ないが目がしばしばする、すっごい違和感でまるで眼球すりガラスのよう。動きもしにくくなるしこれをMPなしの回数制限なしは驚きだよ。
その俺の様子にかぬやが提案を。
「ねぇ? もしかしてそうだ、あのさトモッちぃ、いっぺんどんなのかやってみるー?」
そう言うと笑っておいでと気軽に呼ぶから、行ってみて、手を取られて美少女に乗って見てそれは「おぅ――、良いのか」「うんうん、師匠さんだもんねー? ただしっかり掴まっててよトモっち、そーら、じゃあまずは」
風の一撃を。ワワワ――すっごく早い滑り出しだが、まぁ、予定通りというか素早いんだ。突発の時速100キロ越えは想像以上で、その次は光の残像だ、それは少し速度は劣るが早めだし光ってて結構イケイケで面白いぞ。
「どうよーー、私良いでしょー」「あぁそうだな、これは強いわな」
思った以上に快適で、向かい風とかはあんま無いからゲームみたいですごい。重力も関係ないし自由自在、ウサイン・ボルトの倍以上の速度のが体力無限でビュンビュン、相手が右往左往してる所を見るのは楽し過ぎるよ。
ただ、すっごい手の置き場所に困るがな、一応装備の硬いの持ってるがオッパイが……、でも掴まないと早くて怖い時あるし。ただ――。
「おぅ」それは、何もないのに走り出すから、下を見てると足を踏ん張ってるが勝手に前進してるようで、そのまま武装したモンスターが素で近づき。なんとか切り裂いて。血が舞って。
見えたのは一瞬だけ、なんか、あ? 目にゴミでも?って感じの様子だけ。確かに効いた感じがない、手ごたえがないな。いつでもナイフ振り上げて来そう。
「あー……、確かになぁ? いや、まじでこれは厳しいな、なんかデバフと同時に前進入るとか、それ、連撃狙えてラッキーってくらいに思ってたのに」
「でしょでしょ? 分かったかー?」
うなずく。少しかぬやへの指導を考えると言うとお願いしますー?って、耳元。恥ずかしくておんぶから崩れて、普通に俺の膝の上でしゃべってるが、うんまぁ可愛いので良いだろう。ある意味美少女なら自分で抜けれるしな。
あぁ、せっかくだし全部乗ってみるー?って誘いにも考えてだ。2人っきりでダンジョンの中。水の音。
こういう細かい事や駆け引きを考えるのは好きで、その見れば見るほど良いカラダの。




