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昼間、僕は優雅に、疲れが取れるまで存分に休む。まぁこの程度当然か、前の世界とそう変わりはないさ、メイドがいることを除いてな。そうして起きたらその日の気分で服を選び取れば……、ふふ、既にもう働いているという城下の下民を見やるんだ。朝の5時からもう働くというな。僕らの為にお疲れさん。
そうして美しくびしょびしょの宮殿を歩いて行き、過ぎる貴族の少女と会釈をするが、こんなに上品だと心が洗われるよ。ではとりあえず勇者サマたちとの会食を。
その阿佐ヶ谷姉妹たるその姉は至福の表情を浮かべ、老人特有の妙にホホだけが丸いのを浮かべ頬張る。僕の鼻先30センチでソレを見続ける地獄を、ヒザを突き合わせてる物理としてだよ。ただ思った以上に阿佐ヶ谷の目は座っている、それだけだ。
「ではでは、次は3時のティータイムですわ~」
手を叩く。
たくさんの使用人が忙しく動き。でもそれでも静かであり丁寧で、待ち構えた貴き者たちへと手早く迅速に供えられる様。
僕はその地平までピンクのバラの園を見ながら、ホールケーキを食べる大島を横目に、時に虹色をみせる、女神の祝福が映えたるこの異世界の空を見やり、心身を整え。そうして慎ましく食べ終えたならばその姫様の歌のレッスンを手慰みで。
この頃はレオタードが普及し始めており美しいその姿は妖精のよう。特にブラジャーという物を持ち込んでだ、そうしてあえて全てを隠すようなスカートで。風で舞う美少女、激しい動きも、もうそれは妖艶過ぎるんだ、上半身が美しくて清らかで下の憂いを下品とさえ思いつつも相乗効果で心が動くものさ。
これが本当のヒトの魅力。随一の美貌がアツく火照ってくよその横で始まる金髪まる子の踊り、姫は美しい……、美しいんだ、他国からも求愛がもう来ているという。
だが正直彼女は他へやりたくはないな、決してだ。
銀色の姫が華麗に飛んで踊る、壮大なバラ園を前にして麗しのキミが汗と憂いの表情を。太陽すらも霞ん、だからまたァ―――。お前は少しだけは可愛いが、そのアクが強くて目立ちたがりなのが、このクソが黒沢ァ!?
「あのあの、それでこちら……ご命令でしたがぁ、やっぱり無理でしたぁ。申し訳ございませ~ん」
はぁ……はぁ……、ア? そのきったない、ホント小汚い顔から密かに郵便物を貰いうけ。僕は心からの舌打ちを、「駄目だっただと……?」「はい、やはり駄目でしたぁ……」
「オマエでも、郵便屋だろうに、こんな仕事ができないのか。しっかりと宛名と人相とぉ……、特別金までやったのにな。どういう事だ、何年やってる、辞めた方が良いんじゃないか? 迷惑だろうよ、どんな判断能力してるんだよ――」「し、しかし私のせいではぁ~……」
だがこれは人目を忍んでいかねばならない事。
貴族どもの手前イライラしながら握りつぶす。僕は足の汚れを取る為に裾を踏んで転がしておくよ、それでもなんとかエトナさんを取り返さねば――。
ここですらゴミ溜めと似たような物なのにもう下なんて汚物の集まりだろ、少し……憂慮が。洗脳に染まらぬうちにな。
「よし、では食べたな、あと全ては演習に費やすぞ――」
いやいや、君ら……本気かい。こんな優雅なひと時をさぁ……。
まぁでも、仕方無いか。僕はこう見えてもスキルが強い、世界を救わねばならない。正直異世界から来たばっかりなのにもはや特異点並み。困るよ――。
それで驚くのはこの世界は男女平等だな、平等体育なんだよ。向こうでは仲良さそうに女の子をかつぎ、男もが担がれて背を伸ばしていて。
おっほ、力強いなーロザンナぁ。そうでしょう? えーーい。なんてさ……。新しい形だな、僕は一人ぼっちで組める相手もいないさ。ねぇ……、誰か。
「誰か組に入れてもらえませんか、あの……、誰でも良いんで」声で出さないとね、全く反応してくれないんだよ。
うわ、まただ。ねぇ組んであげたらぁ? あれ余ってるんでしょう?
えーーッ、無理だよぉ、ねぇあの人アレでしょう? あの……。
ふふふ――あのね、そういうのは僕に聞こえないようにね。
まぁぶっちゃけ……劣ってるしねぇ。このクラスで相手する子いないでしょう。先生とだけやってれば良いのに……なんでいるのかなぁ?
触られるのキツクなーい?
ひそひそひそ――、チッ――。
「仕方ないですね……、ほら。まぁお手付きですしね」
先生、ありがとうございます。綺麗な先生。僕は、とりあえず運動するんだよ。戦力だしな、戦力だもん。でも女の子にも勝てないけどな、スキルなしじゃなんもできないんよ、いやホント。
「うらぁあ!」ドスン!「ふぅーー、アナタ、そんなので泣いててどうするんですか?」
声……声が、ね、ゲフゲフ、ご、ぉぉォ――何度投げられるか何度殴られたか。いや、そんな優しい物かよと「じゃああと基本を徹底、2回行きましょうね」
無理無理無理無理ぃ――!?
逃げる僕を捕まえて、毎日なんだよ、そんなに弱いのが面白いかよ。お前ら――「ははは、マジよわ~~っ」「男に今まで体力では馬鹿にされてたけどさぁ、こーんな弱いのとかマジで良いのぉ? ほらほらー!」「この……」
女に殴られるのは屈辱的だ、屈辱過ぎる。男も笑ってる。でも助けてくれないしゼッタイ顔は狙っては来ないけれど上手い事殴られてる、いじめられてるんだ。
僕のそのカオに呆れたような顔してて。
可愛いけど性悪な少女達を見やるよ。いやなんでこんな状態になるのかさっぱり分からん。前の僕はさ? 学校一可愛い子と付き合ってる時ですらも女子は色目を使ってきたはずだが、なんだこの……ナンダ。
異世界――。
ひたすら受けるだけの僕は涙を流して立ち上がり……、あの、本当に解法は無いんだよ。
ただただボコられるので休みを頻繁にするからまた馬鹿にされるボクは。
「実戦が全てだぞ、全員何かをつかみ取れーー!」
流派とかないんだって、この人らないんだわ。中世剣術の流派って聞いた事ないもんな確かに。
流派がない、ボッコボコにするしか練習がない、あえて言うならば中世流派は『ボコす』だ。
いや、いや、マジでどうしろと言うんだって。ルールは急所を攻撃しない、あと突然人体が欠損する攻撃はしない。以上だ。一応ルールだけは守られるんだよ、なんせアイツあれやんのか、って周りがなると怖いから。ただ教本も無いしさぁ、こうやったら殺せるんじゃね~? のオンパレード。
顔面ヒット、回復をするしか。
しかしまだ良いんだ、それを呼ばれるまでは。




