表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
32/40

32

 それはかき消すように進むし、踊る。実際色々とかき消さねばならないのだろうか、この社交界という泥沼は。

 するとドアがノックされて、それは開放であるものの、その睨みつける顔には言葉が思わず漏れる、なんという異世界の――「失礼します。 夜の当番となります、勇者サマの余郷よごう 上定かみさださま、是非にご参加を!」


「もう今日は良いだろう、休みを寄こせヨ、もう夜だぞ――!?」

「で、ですが……、お仕事はしてもらわねばなりません、アナタは勇者という大事な大事な使命があってです。夜はまた格別に」

「別に社交辞令だろうにっ……、あんなバケモノ程度で必要か、僕抜きじゃやれんのか――!?」



 その言葉に逆にイラ立つ様子の大人たちが、だがしかしだ、目の前の人間は勇者として活用せねばならない。どうしてもだ。だがどうだ、これを我々は誇れというのかと。

 ざわめく事もなく、ただただ足を一歩引いた、その音だけが石の世界へと木霊して。


「あの……、と、とりあえずです、落ち着いて下さいませ。休みというなら何をなされるおつもりかを。まさかまたあのような……? あの、良いでしょうか、貴族の娘などは体裁がありますので、アナタは一応」

 それに唇を噛むのだ。

 くそっ……、自由はないのかよ、こんな奴に説教されるのが。それでその癖全くまともにできないのに偉そうな。

 それは恐ろしいほどだったよ。この前なんかは聞かれて、3分の1は出席すると貴族に言ったんだよ、すると、は? だと。挙句には専門とかいうのを呼ぶんだわ、コイツらは本当に脳筋で頭の悪い……。それでもう足し算も不確かなら掛け算などは持っての外。実力もないが貴族とはそういうのが多いと思う。現に力不足だから僕達を呼んだんだよなぁ。

 それは呆れ果てるレベルだったんだよ。



 文明は遅れており食事はまずく全てが食べれた物ではないし礼儀は五月蠅いが思った以上に清潔さがないんだ。石鹸すらない使わない汚物がいっぱいいっぱい歩いているッ……。

 洗練さがない。だから人を触るのも嫌だし、正直……、僕にはコイツらが同じ人間とは思えないとしか。大体今話しているのはそもそも。


「お前らは大体さぁ……、奴隷なのだろう? 奴隷身分なんだよなぁ?」「そ、それは、はい――」

「じゃあ何故こんなにイラつくんだよ、イラつかせるんだ、この汚物がさァ――!」

「がは――!?」突然首を持たれ涙を流している、唇を噛み、すいませんと。そのまだ未熟なのを蹴って。でも彼らは異文化過ぎるんだと誰もがなんとか納得し。

 あととりあえず奴隷というのがあるのは良いかもしれないとは思うな。もう一発。



「はぁ……はぁ……とりあえずだ……、じゃあもう良いよ。かぬなさんを呼べ、屋舎陣さんを呼ぶんだ、一緒に行くから!」

「す、すいません。ですがその、屋舎陣さまはその……」少しだけ、歯切れが悪くて僕がきつく睨めば、「ヴぃーあい、ぴーを、あの、そんな方達は私達でもお声はかけれなくて、例えアナタでも駄目だと」

「五月蠅い五月蠅い……っ、ジャア呼ぶくらいは簡単だろうがァ!?」

 ガラス瓶を叩き割った……、こんな高級なのを――命に替えても弁償できない物を彼らはまるでオモチャのように扱う、「良いから呼んでくりゃ良いんだよ、お前ら異世界人じゃ分からないから――!」


 その少年がいさめようとするが、相手がかなりのスキル持ちである事。あとやはりその分だけ持て余す事も。

 少しこの城でも浮いている彼をなんとかしようとメイド達が複数、するとそこへ。



「あ――?」

 いそいそと帰ってくれば? でも目の前にカレがいて見てて。そのカオはまるで本当の王子様のような、そうして服すらも今や。

「や、やぁ、はぁ……はぁ……どこへ行ってたの? 屋舎陣さん、どうしたのかなぁ……っ?」

「あぁ、少しぃ……? お庭でねぇ? それでワタシ練習してたんだー」あはハ「あ、そうなんだ~、呼んでくれれば良かったのに、僕もすぐ行く所だったんだよぉ?」


「えぇ悪いよー、悪い悪い。だって疲れてるだろうしぃ、上君かみくんはね……、上定君は。いっつもしんどそうだもん、休憩してるじゃん」

 まぁダルいだけだよ、一日でも休みたい。なに世界……? そんなの知るかよってな。

 正直だがこの屋舎陣 かぬやという希望があって良かったわ、もしいなかったら絶望だったろうな。何故か一番目にえとなさんが抜けた時はどうしようかと思ったが、もう世界なんて壊してしまえとまで。

 さっさと邪魔は消えろと、僕は彼女の腰を持ち。


「例えそうであってもね、キミだけは特別だよ。僕が勇者の一行を率いるとしてもキミは特別だ」

 真摯な言葉と眼差し。気が多いと結構聞くけど全く見えないよねって。学校では仲間からも信頼されていたし「そ、そっかぁー、嬉しいなー……」とろりとトロけるような顔をしそうになって私は。

「あ、あぁー……、でもそうなんだぁ? でもでもホント、上定くんって夜は厳重に人払いするのになー? でも私の事わざわざ待っててくれたんだなぁ……」


 可愛いメイドさんを横目に見ながら。その言葉に非常に困った様子で彼は、ただそれでいて確かに嬉しそうにするから……私が、そう思われているんだろうなって自分でも思うので顔を隠すんだけど、熱くて。止められないんだよ。私のへったくそ。



「何か、良い事あったかい? 少し前まではカヌヤさん、すごく落ち込んでいたと思うけど」

「あぁ……、うん。ソッチは、それはちょっとだけねぇ……。ふふ。だってもうすぐだよ、きっともう一度一緒にやれるって私さ……っ」

 言うなって言われてるけども気づかれちゃって、それが嬉しいし、あと一緒に共有したいって気持ちも。

 でも待ってて、上定くん。まだナイショ。

 僕はうなずく、そのウソのない笑顔に安心したんだよ、可愛らしいそのウインクに。彼女は可愛いし元気をくれるんだ、この汚物のような世界で。

 白亜の石の間、王子然とした男と美しい出で立ちの少女がいて、その美男子は手を伸ばし。


「あぁでも心配させないで。僕はキミだけを守るよ、君さえいれば良いんだ。例え世界と引き換えにしてもキミは守る――」

「あぁ、うぅん、そこまでは……」顔を赤らめた、彼を見れない程にそれは「でも私は私で、ね、自分くらい守れるようにならなきゃだよ。自分の為になんだ。それでねそれでね? 簡単に強くなれる方法見つけたんだーっ」


 少し笑顔が戻った彼女へ。まぁ調子が良くなったならばと。それでも彼女には無理をして欲しくないがな。別にそれで誰が死んでも良い、クラスメイトだろうと知ったこっちゃない。急いで部屋に帰ってくその美少女の後ろ姿に。



「でも簡単に……? なんだろうな、そんな事があるんだろうか。でもまぁ異世界だしなぁ」

 だから守ってやりたいが、ただ、幾ら自分でも庇いきれない事情もあるしな。なにせ最大の問題があるにはある。今や僕を抑えつける権力はこの美貌ゆえに。




「姫様、姫様……。城の外郭、夜勤の件にて配置換え要請が来ておりますが。あと城への持ち込み申請で不審な額のものがありまして」

「はぁ? でもそのような事をわざわざですの……?」

 しかし示されたのは、うなずくから。白銀の髪を撫でて唇を噛みしめ苦虫を潰し切り。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ