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 剣を握り私は戻るべきって。「あぁあのさ、良いスキルを持っててもな、使い方を知らなきゃ意味がないんだぞ。屋舎陣 かぬや。キミのスキルはなんだよ、お前は……、オマエあの格好良い勇者へついてくんだろう?」

「わ、私は……それは」


 ねぇ……、いつかはどうしてか、ここに来るのかなって。上定くんと、それで私はその時……。

 思いでもう一度奮起したな、剣閃をひらめかせるんだ。良い動きだ、そういう根性を持ってるタイプだし、確かに綺麗なんだよな。でも限界を超えなきゃいかないんだぜ。

 限界ってなんだろう、それは死なんだわ。



「くぅぅ……、でも死ぬって、死ってそんなのさぁ―――」

 強烈な敵、何度やっても倒せないよ。その筋骨隆々のホブゴブリンに突進を耐えきられちゃって野太い一閃で返された。

 私スキルだけだよ、今はスキルしかないのに。ぶっ飛ばされてしまい、突進効かないって、ねぇこのスキルが効かなきゃ。


 あぁ、こんな汚いところを墓標とするのかと。吐きそう、ツメの間にまで食い込むヌメった感触にはすぐにでも嘔吐しそうで、目の前には眼球の離れた異様な……。

 何を考えてるのか分からないよ、口もぜったい臭いし体も洗ってないし、私のどこ見てるの、人の皮っぽいのを被った化け物。

 一瞬さ、私その男の子を見やるの、助けてくれるなら身を……って、そんな事まで考えちゃってて。

 更に一閃が来て――「うぐぅうう!?」


 動けなかった、飲み込まれてるんだ。それを受け止めるんだよ俺が、驚く彼女へと「もう一度言う、お前のスキルはなんだよ――」

 彼女を後ろから抱いて立たせ。そうしてアゴを上げた。カラダへ指を這わしてビクンと跳ねて。


「信じろ、信じろって。お前を俺が一線級にしてやるよ! ただし、お前が後悔するくらい恥ずかしい事になるけどな――」

 その言葉に……、彼女は抵抗する指を「ホントだね? 私、アンタを信じるよ――? はぁ……はぁ……、私の能力は『万物推進』全てを試した訳じゃないけども全部全部が推進力になんの、分かる!?」


 あぁ……――、いや? それ多分だが、めっちゃ使いやすそう。



 水素でも電機でもガソリンでも光でも、一つのエンジンで使いこなせるって事じゃあないのか。しかもソレってまさか――、そう俺のこのアンテナが立ったんよ。

 道筋が見えた。

 そうだ、ならば俺のスキルは良いぞ。『異世界』でありちょうど――。



「アナタのスキルはぁ……異世界ですねぇ」「え、え? ナニそれナニそれ、それってすごいんじゃっ……!?」

 その無表情で言って来る褐色の少女へと俺は乗り出すよ、「それってまさか……、まさかまさか、無限収納とか次元突破のムゲン異世界送りで相手を封印したりするとかッ、そんな訳の分からん、なんせ定番の名前だカンムリだもん、異世界、それってやっぱ超弩級のォ――!?」


「いいえ? アナタは能力を変更し、パワーを初期に戻して……? 戻す。まぁもう一度構成し直す、そう出ていますね……」

「ん? え、そ、それって……ステ振り直し? ただの?」「ステ? まぁでもおおよそは分かってもらってるような……」


 その水晶をナデナデしながら黒髪のクレオパトラに宣告される俺くんは、まぁ勝手に名づけたんだけどね? それよりね?「いや……、でもなんかあるっしょ、クレオパトラちゃん、さすがになんか特典あるとかさぁ!? 強くなると指定した場所に神の息吹があるとかっ、なんでか振り直しは別の種族を参照可能とか――ッ」

 クレオパトラ?「全く上がりませんね。持ってる分で振り直す必要があります、ただ……」



 眉根を上げる。ただそれだけであると。その言葉に異様なほどに落胆し、とぼとぼと歩いていく少年は。それは本当にカスなのかと、確かに上司にも言われましたけども。異世界人だし訳が分からんで当然っていう、ナゼか首をすぱすぱする様子ですね。


 ただ変わった能力――思い過ごしでしょうか?



「あぁそうだよ、じゃあ今すぐ書き換えてやるぞ『異世界』でお前の全てを書き換えるぜ」「エ、これ……、どういう――!?」

 そうだオレの能力はただ一つ。

 見える……、見えるな。これは人体に突き刺さったようなスキルが、その大き過ぎる力の源泉がさぁ。

 そいつの為に今はカラダが酷使されている状態で。でもそれに見合ったようになるよう俺はその力を振り直す事が可能で、オレが思い描く姿で再スタートする力を今。


「え、強い――もう強い? まるで私が私じゃないみたいで」すぐに彼女は周りの闇を吸い、そうして剣を翻したのだ。

 デぇええ「ヤァアアアアアア!」

 突っ込んでいく、そのスキルと合った能力へと変容させるから、強い。全くもってそのホブゴブリン程度の迎撃では揺らがないんだ、その岩を持つ手を千切ってみせる、岩ごと。更にゴリ押しの一撃で周りをも吹き飛ばす―――!


 木端微塵。


 正直女神がくれる能力はそのヒトに適しているかと言われればそうではない。ヒロアカみたいな個性こそは自分と言えるわけでないんだわ。現にその性格っぽい、なんていうなろう系は少ないだろう。


「よっしーぃ、一体撃破したー……っ、いやもう3体くらいかも? でも腕が痛くないんだよ、足も動くってー! ふっしぎー」

「そうそう、俺はそれを合わせられるんだわ、アンタの体は今変わるぜ、俺の元で異世界になる――」


 うなずく美少女。神が適当したのをフィックスするのが俺の仕事、これはでも限られるんだよ。すっごく狭い範囲でしか通用しない。

 そうして音の衝撃波のような物が走った、迅雷疾風。

 元々確かにAクラスでそれを書き換えたけど、アレはかなりすごいな、あれは本気ですごい「でぇえええええい!」万物推進、ばったばったと倒して行く、本気ですごい良スキルを持ってるって。

 更にスキル連打を、やっぱ無料だ。

 ダンジョンの上から降って来た雫が剣で切られて、真っ二つが消えて。



「水の、ファースト。圧縮の蒼縮そうしゅく――」

 水の力をエンジンにした圧縮で存分に斬り込む。それはまるで世界を縮めたような、異変、視界が歪むほどで空気圧が一気に変わるのだ、確かに海に入ったような重みが伝わるから。広域の敵が動きを止めている。そこへ一撃!

 そうしてお次は「光の――残影斬りぃい!」

 時速100キロ超はあるだろうに質量ある残像を持って相手をほふった。いや、なんだこれ。ホントに彼女は7色か、むしろこれはそんな感触ですらない。


 目覚めた姿は文字通りに目が覚めるような動きで、その強烈な突進を支えるべき腕は折れる事はなく、その異常な速さもまた足が吸収しきれてて、更に強く強く踏み出させ。


「多分……、体がもたなかったんだ。F1エンジンを積んでてもレゴのタイヤじゃ意味ないんだ、ただし……、だ?」

 その8体目を倒した、走り出す。なんなら壁を走ってって天井を踏んで更なる奥へと、その敵のど真ん中へ「オィ屋舎陣さん、俺のは短期間だけの振り直しだからなーっ、3分だ、あんまり自信持ちすぎないようにー!」


「うんうん、いっくよーー!」

 10匹のモンスターがあっという間に散って「はぁ……はぁ……、でもまだあと2分はあるかなーって? もう少しだけ行こう? ねぇも少しだけ深く潜れるかもね、行くよ、行こうよー?」



「その前に。君は……、屋舎陣さんは俺の言う事を聞けよ。この能力の事を知らないだろうっ……?」「うん、うん、分かったー。その代わり裏切らないでよ? えーーと、じゃあ、アンタともっちで良いよねぇって? ともっちぃ!」

 斬撃で切り裂きながらも、ノリノリで。それにうなずく、いやともっちは……どうだ?

 まぁでも丁度良いのが釣れたかもな、何せしかも城内組で美少女とは都合が良すぎるんだわ。この汗が似合うギャルの、その引き締まった肉体美と揺れるスカートの良さ、そうして自信のあるクリっとした目はこの世界でも極上の。



「そうだな、じゃあ行ける所まで行こうぜ屋舎陣さん、S級美少女のダンジョン初攻略だ――!」

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