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「おぃ、アンタ……、1人で行く気か」

「ほっといて欲しいよ、ごめん」

「いや、そうじゃなくて偽看板だぞ?」「ウひゃあああ!?」

 大声で悲鳴を上げて斜面を転げ落ち……。


 そうして気を取り直して、ワラでいっぱいのを振って払い、その思い詰めた顔へと直して俺の格好を見てうなずくから。小声で。

 ちょっとなんで偽物なのさー……。そうだよな、俺が書いておいたから。いやアンタかーーぃ!?



 息を整えている。ただ気を取り直すのも早くて、その笑顔はだ……、異世界にまでも降り注ぐか、まばゆい瞳は流星群のように揺れて。男をドキリとさせる名手のような。

「ふぅぅゥ、   もうマジやられちゃったわー。それでさ……? もしかして同郷の人ぉ? 制服、それきっと5組のクラスの人だよねぇ? なんで隠しちゃうのかなー、もう」

 フレンドリーな感じで、怒ってるのか懐いているのか眉根をあげて。そう、間違えてかなんなのか少し大雑把に転移したらしいので隣のクラスとか上級生だとか下級生がな、あと教師以外の大人までも混じってたりするんだわ。


 だからあまり面識もないといった様子だが。向けて来るお友達感覚。その特徴的な瞳はくりくりッとしていて印章に強く、あと俺はその開かれた下を見て。



「あぁうん、危ないからさ? 子供ってダンジョン大好きなんよ、だから入るとまずいんよ。それでそう……、確か君は屋舎陣さんだったろ?」

「そう、そうだよー、何故ワタシん名前を? 屋舎陣 かぬや(やしゃじん かぬや)っていうよ、でも5組さんなら隣のクラスですらないよねぇ」

 そーりゃ知ってるさ、有名な名前だもの。学年でトップクラスだという話。この子が転移してるのはすぐに噂になったな……、階が違うクラスなのに100%知っている女子。


 なんせチアリーディング部の部長だったもんなぁ……。

 遠目に見てた通りで快活で嫌味のない感じと。その素晴らしい程に透けるボブのピンク髪を流してオシャンティーなおさげを並べる可愛さ。見た目はギャルで中身もギャルで、健康的な肌はピカッと光り外見はつよつよ、正直インパクトというなら誰にも負けない。

 気さくで明るい顔色と自信のある、いやあった表情でだ。



「でもダンジョンって、屋舎陣さん、アンタ残り少ない城内組だったろ、良いのかよ」

「うん、でもね。今は私……、強くならなきゃいけないからさ」

「あぁ、へぇ、それ、姫様は良いって言ったんだ?」

 うなずくんだ。むしろと言いかけて、まぁ、一人でお供も連れずに外へ出れているという事はだ。そういう事だな。

 それで話をしたけど、遺言という事で。



「ごめんね……、私、でもだけど悔しくて悔しくてぇ……。それでさーー、明らかに私のスキルが可哀そうでさぁーあ? この異世界に来た意味とか、ほんっと……」

 頭を抱えるから、ごめんねと、愚痴しか出てこない、「大丈夫だよ、全然良いさ」どうやらすごかったようだな。


「お姫さまにねぇ、目ぇつけられてて。私明らかに戦闘系なのに後ろの方とかに行かされてさぁ? 雑用しかさせてくれないんよなぁ……。ほんと、ずっとずぅぅっと。せっかく異世界に来てなんだよ……、なんなんだよーーって もう叫びたくて私」

「あと周りも、なんで。あんな悪意のある感じになってて、初めてでね……。閉塞感ってあぁいうんだって、人ってなんか、もっとこう……」

 悔しいよ。悔しくて。

 人間関係が濃密で大変だけどもやっぱり前向きで頑張ってて、でもだけど全然、周りは腹積もりばかりで、ドンドンと策略を知って、裏切られ。そうしてそれで貴族の渦へ飲み込まれ、息もできないって私――「でもね、一番は……、あの人がやっぱさ」

 なるほどな。あとやっぱこの美少女との会話でもよく出てくる、あの名前が「特に上定かみさだくんがね? やっぱ一番でさぁ……」



 久しぶりに聞いて、イラついたが。でも何度も出てくるからな、まぁ当然だとは思うが城内組だし。

「上定くんさぁ……。 もうなんかそこもムカつくんだよねー……はぁ~~ア……。私が知るのは、いつも優しくて気配りもすごくて、全員を引っ張るリーダーでさー? 上定くん……、全然違う、仲良くしてくれてたのにって」

「そ、そうか……? あぁいやでも……、階は違ってたろうにキミ、もしかして1年のクラスメイトとか?」


「ううん? でも出会ったんだよ……、出会ったの。その時もすっごくてさぁ? フフフ。聞いて、もう入学式ん時よ、もうなんかクラス分けの発表でさー、一緒だと思っちゃったんだよねぇ。なんでかそれで喜んで自己紹介までしちゃって、後で大笑いだよー」

 その後もだからそれで盛り上がって話が深まったらしいんだ。桜の季節、たった入学のその10分でだ。そうな、すごい青春って感じするわ。ムカつくか、前ならムカついてたか。いや、今もさ。その流星の煌めく瞳は。



「力くれたよ、だって不安だったからさぁ? すっごくその時。んで私の顔見て上定くんさぁ、むしろここで仲良くなったんだから先生に直談判してやる――ッだなーんてね。本気でしててねー? それがなーんかさ、幸せで、幸せって程じゃないけど、でも……。うん。今は周りに流されてくの見てがっかりだよ……って、まぁこんな環境で我がまま言う私もさー、なんか情けなくてェ……」

 情けなさ過ぎるよ、ホント。


 その純な瞳に涙が映る、クリっとした瞳が揺れて。なんとなくイラつきを抑える為に俺は、「あぁ、でもさ? そんな、もう異世界なんだ、あいつの話程度でさ。前見ようよ、こんな事で死ぬ気でダンジョン行くのか? むしろ気にしない方が……」

「そうでもないよーっ、そうでもないっ……!」

 ヤケで言ってるのかそれとも。



 ただ俺は何気にすでに結構な相談を受けてたのでこういうのは聞けるようになっていた。もう少し聞いてくれるー? ってのにも、うなずき、すっごい聞いてくれるじゃんって声に笑顔で。揺らされてあいづちを。寂しいんだな。


「だってそれで挙句、ワタシさぁ~ぁ? 変に貴族さまに気に入られてさー? 物珍しいって、それで嫌がったらしつこくて、どうしても嫁に来いってさーぁ? それで姫様にまでゴリ押しされた っていうか明らかにハメられかけてんのよ私ーーぃ!?」

 ギャルという独特なテンションの、しかもこんな美少女は初めてだったろうな。まだ話は見えないが妙にエロいし分からずもないなと、そこは。

 頭をかきむしって、顔はまぁさぁ……? 個性って事で良いけど、その人マジで臭いフェチすぎて怖いんよ……私の脇とかマージ必死なんよー。って、いや、分からんでもないな。あの汗の飛ぶ姿は、チア部のハツラツとした姿をフラッシュバックしてしまうし。可愛い衣装なんよ、笑顔が元気くれるし。

 どうやってるのかガッツリとまだネイルしてるし。

 万華鏡のように変わるカオが。

 ただまぁ、この世界では王様がオレらの親権を持ってるから。



「でもでも、やっぱそこはハッキリと助けてくれたよ。やっぱかっこ良かったなーって。はぁ……ぁ――。でも今の上定くんもそうだけど、なんか変わっちゃったなー。私はなんで……」

 うん。

「戦わなきゃなって――」

 なんとなく力強く自分の中で結論を噛みしめた様子。色々愚痴っててもだ、とりあえず彼女は本気らしいなと。女ってこんなだわ。

 見返したいらしい、どうやってかスキルを育てて逆転を狙っているんだ。こんな所にまで来て……、まぁそうかと。少し俺も思案していて。

 すると話の途中。



「あぁ、モンスターが……。俺らの気配に気づいたかよ」

 目線をやる、それは良いスキルを持っているらしいが、どうだろうかと思い俺は。するとすぐにヤル気で剣を抜いてて「守ってあげる、見せてあげるから、お礼も込めてさ?」

 今はそのカノジョは鎧も結構良いのを持ってて、それと制服とでもうだいぶと学園ファンタジーなのだ。ブレザー揺れる。

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