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「ねぇねぇトモぉくーん? 私達もう3か月なんだよねぇ……。じゃあお祝いしようかぁ?」「へぇ? そうか。でもエトナお前もうこよみが違ったろう、全然だぞコッチは」

「う、うん、違っててもね、そうだよ~? もう3か月ですからぁ!」

 その顔に、まぁ律義にグレゴなんたらを計算で出してる奴もいるし、そうかもなと。


「それで一緒に買い物に行かないかな、私見たいのあるの~」「でもなんも買えないぞ~?」

「良いの良いの、一緒が良いよ……、ねぇ」

 突然の事だったが、今は穏やかでいられる。



「ねぇね、アレは邪魔になるかなぁ……」「あぁ、うん。小さいのが良いだろう。あの……、先生の置物はさ」

 そこに鎮座マシマシている我が担任教師どのの、その仏像というかお守りというか……。

 あの一件以来カノジョは困難から守る存在であり、特に強盗や盗賊から金や貞操を守る守護者として人気がある。とりわけ女性人気が非常に高いんだ。

 ただし、ただしだぞ、22までに手放さないと逆に呪われるともっぱら噂だけど。


「先生……、異世界に来て異人になっちゃったな」「しょうがないねぇ、えと……、うん」

 塗ってないその目の部分が白目に見えてるんだ、なんともだよ。名前は29つくも神。あ、これ、こいつ仲間に裏切り者がいるなと。

 所々で見れるその木彫りを視界に入れないようにしながら、でも手作りの物しかないから面白い、一個一個が味があるんだ。


 左のそこそこ綺麗なグラスは高級品で、次の耳鳴り羽という装飾はよく聞くな、緑があでやかで根っこの部分がメタリックでそそる。そのトゲの8色毛のモロウは綺麗だけども、何か異様で少しだけ土着の異様さを隅へと宿していて、先生、先生。そうして銀色の名のある皿が。どんな物もたった一つだし、先生も一人だ。

 木や石を削ったネックレスや高い物だと硝子とかやヨロイ装備などまで。



「やっぱ遠くから運ばれたのは面白いのあるなーー」

 装備力鑑定書なんかはもう男の子の夢過ぎるしな、能力見て触ってコンコンして装備力を予想するだけでご飯が食べれますぜ。するとふと彼女がして見せたイヤリングが可愛くてな、はしゃいでて。すると――。

「おー、それであれは隊商かぁ……」「いっっぱいだねぇ、何を運んでるんだろ~?」

 荷物が並ぶ、大きな行列がお城へ入っていくんだ。うず高く積まれた商品がパンパンに張った状態でずらりと。きっと酒や魔石や美味い食べ物に、砂糖か蜂蜜が詰まってるのかな。どんなスゴイ装備があるだろうか、でもふと――。


「お、綺麗だな……」

「あぁ良いだろう? それ特別で大特価なんだよ、なんせコッチの方角に持ち主がいるって出たからなぁ」

 歓声が上がる中、ふと、俺にはその緑の宝石が揺れて見えた。広がる上から下へとシュッと流れるようなペンダント。


 魔法世界だからか、それともそういうのが普通なのか。結構そういう理由で無駄に安い事があるんだわ。

 それは誰が占ったかとかどういう因縁なのかも聞かないのが筋でありまるでクジ引きと同じ扱いになってる。

 買えない事はないなと……、そう思わせるには十分だったんだ。それでどうやら縁結びらしいぞと、その美しい宝石にはブラックホールのような……。



「かなり良いぞぉ、ちょっと理由があってなぁ。強い強い力で結ばれるんだわ、きっと全てが上手く行く!」

「あぁいや、あぁ……、でも俺はなぁ、金が……」

「ここがチャンスだぜぇ? 吝嗇りんしょくも大概だ、お前さん一個くらいどうよぉ」

 大勢が熱狂している、目でやるその先。頭をかくんだ、でもやっぱり難しくて。何せなぁ……まだ俺は。


「おぅおぅ、悠長にそんな事してるときっと罰が当たるぜ? せっかくあんな可愛いのによぉ」

 問題は大きくて、あまりこの力は使えない事。あんまりデカい事は難しいわ、この不安定な時に。


 我ながら情けないが明日のパンの事を考えるとなと……。嬉しそうに帰って来たエトナとそのまま回るよ、楽しそうにその商店を見やって。でもやっぱりあの宝石が名残惜しかったんだな。

 それで城に入りきらないほどの荷馬車が待ってるのをぼーっと見てて、その威圧的なほどパンパンなのをただただ見やる。子供たちの楽し気で好奇心いっぱいの声とか。

 すると。


「ねぇ……、」アレ。

 見やるその王城には、そこで見えた人影にはな――「まぁ実際、かなり遠くへ行っちゃったもんな」

 でも十分だ。

 だけども正直身分格差は今まで以上だ、小さな幸せは小さいままで。すると目ざとく手を振って来るからな、前はクラスメイトだったがソレらはもう。



「きっと毎日楽しくしてんだろうな……、良いのばっか食べてるんだろうよ」「しょうがないよぉ、勇者さまだしね……。スキルって大事だもん」

「いや、えとな実際お前はさ……、お前だけは違うだろう」

「うぅん? 私はね、ココだけが居場所だよ……、ねぇともぉ君、私の居場所で……良いよね」

 すぐ抱きしめたいな、うん。可愛すぎるけれど彼女の事が心配であるのもな。


 そこには守りの騎士もメイドさん達もがいっぱいいるし、それが可愛いのなんの。正直あのメイドは反則過ぎるな――。カオが膨らむ、エトナに謝って歩いていくんだ。

 暗い話が多いよ。やれ兵隊が何人死んだだの、やれどこかの町が無くなっただの。


「唯一は勇者サマだろうなぁ~……」「あの方はどうだろうか……。すこぶる期待してたのに」

 ただ、あまり良い噂は聞かない、何人も侍らせており。自分の趣味全開になっただとか、非常にこう……、異文化過ぎてついてけないだとか。何人かが犠牲になったなど。実際問題、結果が見えれば良いのだが未だそのレベルにないようで。

 ヤツは悠長に俺の隣にいまだ熱心に手を振っている、コブシを握った。おぃ、アレ、勇者さまじゃ――!?

 騒ぎ始める、「俺がいまだにアイツに願わなきゃいけないなんて、なんて不平等なんだろな」


 隣の少女が手を引き。

 その眼が細まる。



 今日も大変だったなと。俺達はその世知辛い肉を口へ入れて、パンもかぴかぴだ、黒すぎるんだよ。

 それでもまぁ……。彼女は一番のスキル持ちだ。そうして可愛い。俺と一緒にいてくれる。


「また今日も夜勤、気をつけろよ、いくら王城だからってな」

「ありがとう。私はでも、楽しいよ。ともぉ君……」

 石造りの立派なお城。送り届けてやると少数から威嚇されて。俺はあんまり近づかないんだ、火もつけず歩いていく。

 寒々しい空気が。


 城下町は活気が溢れていて俺らの世界ではまず見れないような草っぱらに倒れ込んでる酔っぱらいが多い、リングがあるしそれで暴れる奴らが見えるんだよ、それを止めもしないし。なんとも中途半端な文明観。

 すると同じく火も持たずに深刻そうな顔をしていたからさ。そうして剣を持って脇道へ……。


 それが、一つの分岐点となるとは今は。

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