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 いつの間にか世界は進む。


「あ、そうだ、もうすぐ3か月だよ、ともぉ君。はす向かいのクルトさん、どうやらもうすぐ旅支度を始めるらしいの~」

「お、そうなのか? またじゃあ差し入れ渡さないとなぁ……。でもこの世界の人間はすごいわな、危ないのによく行けるわ」

「そうだねぇ~。ダンジョンの中で取り残された人達の、その魂の。もう引き上げられる事のない鎮魂をして回るんだよね……」

 怖いね―――。


 そういう商売というか、儀式対象者がいるんだ。まぁ身近にこんだけダンジョンがあればそういうのも必要かもなと。完全善意の商売だという。

 出かけついでにお隣の久田くだが育てた作物を収穫してやってて、ネギやカブ、あと豆類は必須だ。ほとんど貨幣を持ってないからこうやって自分で育ててく、俺らは全てを。じゃあ貨幣が欲しい時はどうするのかって?

 全員の家を回るんだよ、それでパンとか小麦とかで替えさせる。



「でも土が綺麗だ。こんだけ願いってのが見えると嬉しいよな~、へへへ。初めての時は土を整えるのは大変だったけどもさぁ?」「そうだねぇ……、あの頃の毎日のおまじないは大変だったねぇ、ホント。でも久田くんは農業するお家の出身だもんねぇ、嬉しそう」


 確かに綺麗に採ってやり土を払ってその曲がりくねったのを触ってると癖になるんだわ、すんげぇゴツゴツの感触と命を感じる強さで、「毎朝ミサに行ったらどやされてたのもな、俺悔しくってさぁ。でもなんとかなったわ、リーダーのおかげだもんなぁ……」「あぁ朝のクワ入れの時、最初マジで怒られたもんよなー」

 オタ芸さまさま。でも実際俺らが教会へハッピ羽織って突っ込んだ時は絶句してたもんな、でもああするしかなかったんだ。



 早朝5時のミサでは女神に祈り、その神聖な空気を持ったまま畑へ向かい土へと栄養を与える。栄養だ。魔法の力を大地へと与えて祈りと祝福を与えれば、俺達ヒトは大地への感謝を見せる為に一生懸命に土に這いずる。これが目に見えてるから厳しいんだわ、普通にどやされる。

 これができてやっと一人前。この手に握るひよこ豆が。その上で何人か農業に詳しいのがいたのも助かったしな。少しの異世界農業も悪くない、これでかなりよく育つ。





 やったぜぇ、賭けに勝ったぁ。

 おーう、良いなぁ良いなァ、やっとだなぁ!? ともお流石だぜェ。

 声なき声を上げる。黄金の湧き出る様子を前に。俺はふと見てしまったんだよ、小さな隠し財産を。それってハチミツを取る時の事だった、たくさんの蜂へと豪快に魔法で攻撃してて巣をも壊してる姿をだ。


 そうして知ったんだよ、蜜を取る為に毎回毎回壊してる事をな。

 でもだ……、現代ではそんな事してないはずなんよ。それでうろ覚えながらあのひし形みたいなのと、回転して箱から無駄に楽しいオモチャみたいな採取方法を思い出す。


「よしよーし、ハニカムばっちしだった、ケムリで蹴散らせ――」

 実はこの世界の蜂さん、結構かなりヤバい。なんせ森は奇怪なバケモノが闊歩するだけあって攻撃力がマシマシの激マシされてたりするから。突進がメインになってて自分が砕け散る代わりにフルプレートに穴を空ける、そーんなヤバいのが飛び回るのを前に、俺らは結構ヒヤヒヤだ。

 音は変わらずでブンブブンと。

 しかしそれは遂にきた収穫だし、何せこれで蜂蜜が採れるのだ、巣を壊さずに延々と甘い汁が来る。このおかげでだいぶと効率的になるはずで。



「よし、煙が終わる前に行くぞ、えとなの属性付与したのを被りまくって行く――」決死だ、そうして「お手ぇええ!」

 オタケ、ナイスだよ。俺らにはコイツがいる、全員が行った全匹が、全匹――!?


 あぁぁ解けたあとはもう、なんかな。なんか。その間に素早く棚を引き抜いて確認すれば。


「オィ俺ちょっと、教会行ってくるわ。見といてくれーっ!」

 属性でも防ぎきれずオタケも逃げてくしトイやんも行った。

 俺とエトナは逃げて逃げて、その箱を……。少し汚いけどしっかりと蜜がしたたるのを。向こうで川に飛び込む音。



「やっとだなぁ~」「はぁ……はぁ……、うんうん、頑張ったね~~っ」

 そうしてお先にと、2人してニンマリその金色の味をいただくから。それは正に独特の味だった……、異世界ハチミツはびりっと最初はナマ胡椒にも似た、看過できないほどの刺激を感じるが、深い味わいがなぁ……。違う。

 追い蜂蜜が基本なほどなんだ、すると濃厚な舌への張り付きとともに酸味が熔けて行き逆にカラダの弛緩を伴う程のあまーーーーーくッ、、 なる。幸せ。


 少し俺らも舌が異世界になったか。極めて甘く、極めて刺激的。


「ハチも強いけど特殊な臭い玉も強くて良かったよな……、教えてくれたサクレタさんに感謝だ。でも編み物とか大変だったろうけどエトナ」「うぅん? 私はぁ……、楽しかったよ。喜んでもらえるなら~って」

 一生懸命縫ってて、細い手指と揺れる金色。なんかすごい可愛かった。そのついでにくれたのがこの手袋だ、ほつれたその手袋を手にとって、「また言ってね、私が縫ってあげるからねぇ?」


 そうだな、じり貧生活の中で本当に生き残れるかどうかを、得る物も分からないのに箱を必死にさ、頑丈に仕上げてたのも今や笑えるさ。

 笑みが熔け合って。そうしてビリっと、あま~~~~~~~~~~~~~ぃ。



「前祝いのミードだよ、いっぱい飲みなーー!」

 祝い酒だ、この刺激と甘みのアンサンブルを発酵、凝縮させた時の味わいはもはや格別。炭酸をも超える刺激が味わえて、クラスメイトたちが熱狂の渦で踊っているんだ、俺の周りにも仲間がいっぱい来てて。吉田さんが色づくグラデの黒髪を払い。


「これで蜂蜜が安くなりますよ。恐らくは半額は目指せるのです、やったーー!」

 住民の、特に商工会議所とでもいうべきギルドらが大声を上げた。トモオ・ユニオンの成果だよ、異世界力の結果を見せれるし更なる調和が図れるだろう。



 それで、書簡が。えーと、なになに~? ともお、貴公に森の一部の所有を認める。これは森という試練と精錬の場へと責任の一端を持つ事であり、選ばれ――。女神に背く事ないようこれからも精進し、品格を持ち。

「ともお共同体として女神に尽くせよ、か。よっし、これで俺らは蜂蜜っていう特権を貰えたからな? 定期的に採取可能だぜーー!」

 これでうちらの砂糖需要はそこそこ満たせるか、教会が渋った森の所有も成功したし。


 まずは1箱で5キロ収穫したんだよ、値段にして5万円。

 日本だと1キロ800円とかだがこっちは1キロ1万だ、そういう値段。そこから王の1割と寄付に、あと蜂蜜を取り扱う業者へ、それと上納含めれば3万ってところか。



「現物現物、私ハチミツ現物ゥ――ッ!」「いーや現金だ、リーダー、今俺は肉が喰いたい!」

 りーだーーッ!

 とりあえず巣箱自体の販売もしていく予定だ、それはハチだからそう容易く近づいて来ないし防衛線にもなるだろう。


 色々な事を少しずつでも広める必要がある。



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