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「ん~……、えーと、こうかな?」こう……。

 えとなが少しだけ頭を傾ける。何かを編んでいる、俺は靴をこしらえていて。小さな灯り一つ……。


 下手に何かを買う金もないし少しだけプラモデルをしてた分だけは得意だし。持って来てた革靴はすぐ駄目になった、こうやってだから草を編んで、ソールを作る。吸収力の大きい異世界のソールをだ。

 ただ丁寧ななめしをしないとすごい痛いんだわ、よくもこんなジャギジャギのが使えると思ったよな~。それで皮を仕入れて頑丈な糸を突き刺して合わせていく、2重のソールを何度も合わせて。


 こうしてやってはいるがな、何も知らなかったなと。普通はこういう雑用は――全ての自給自足――正に一から作るのは家族がいて初めて成立するのだ。親から子へ、兄弟からと。なーんにも知らない俺らは全員で必死になってた。

 母さん何してるかな……って。自分の技術の無さに頭をこすり更に上げていく、でも熱中する分だけ良いんだよ。



 そうしてふとエトナはその小さな仕切りに入り着替えて行くが、まぁ……光が見せるジャイアントすいんぐだよなと。彼女の個室。

 綺麗な肢体と柔らかそうなニクの曲線を描きだして。


「なぁ? 初めての頃、技術提供っつって渡した服とか帰って来るかな?」「無理だと思うよ~、フフフ」


 そうしてまた仕事へ出て。よっし……、草はそこそこかと。几帳面に記録を取ってる引田ひきだが、ただ少し収穫が悪い、伸びが足りないんだろうって。そういう日もある。

 だからその、今日は仕事がなかったと笑う職人と一杯ビールを付き合い。軽く夜を付き合う。


「なぁなぁ、明日の休憩は魚釣り行かねぇ?」「お、良いねぇ、気分転換がてら魚釣りに行くかぁ」

 朝の部が終われば、じゃあ少し息抜きに魚釣りに行ってくるわと。



「あぁ……? じゃあ私も行くね、まってぇ~……?」よっしょとー。

 マフを抱いた少女。全員で歩いていく、とりあえず休み時間でも色々している必要があるから。自給自足に近い生活は働いていない間も働いている、結構釣りしてる住民多いから俺らはもっと上流へ。


「いやっほーー!」

 飛び込んだ。全く……、遊びたいだけだな。うんまぁ魔力が切れたら充填という形である程度あそべる。えとなから貰った風の属性をもって川を激走だよ、かなり綺麗な川で魔物も少ないとされ。真剣に釣りを楽しむ面々も。

 あと何よりマフ防壁が効くからな。


「きゅいきゅい☆」

 風のを足につけてサーフィンだ、ちびっこい白いマフが潜ったり、可愛いカオを水面に浮かべて、牙をむいて襲って来たり。人間殺す位のがくるとマフ太郎が急いで逃げてくのですぐ分かる。愛玩動物ゴマフアザラシと小さくて可愛い少女が浮いている姿はなんとも言えない可愛いさ……あぁいや、滅茶苦茶だわ。

 メチャクチャ大きい2つの脂肪が水面へと顔を出すと全員が度肝をぬかれ、波と共に漂って。


「もっと揺らせ、ゴマ太郎!」「いけ、旋回だマフ吉!」

 マフ太郎が縦揺れするとボインボイン。横でもブルルん――っと。


 ゴマフアザラシの顔すらも埋めそうな大きさからドバっと水をすくいあげて先っぽから滴って。

 水で濡れた少女は太陽で光り輝き、美しい白肌との相乗効果で更に輝く。無垢なカオが少し冷たい水で気持ち良さげで。


「あ……。詩だぁ……」「やってんなぁ、アイツら」

 小遣い稼ぎにと、一番良かったのは音楽だったな。特に簡単に作れるリコーダーとかカスタネットでの。神事とかに呼ばれて学生音楽をやる、特にはエーデルワイスとか第九とか。

「ただし、エヴァだな?」

 明らかにチョイスがそうだと笑う、新劇とか旧劇とか。それで町へ繰り出してお金をもらったり。とりあえず俺らは俺らなりにやってるんだ。


「オマエさぁ、ちょっと分かれよ」

 早朝の炊事場、水でコネコネ洗って、やっぱ寒いなーって。水気を含んだ淡い青の世界でエトナの炎の石で整えながら「なんだよ、まだあるのか中山田よ」



「はぁ? 分かんないの、ねぇ……。本気でお前程度で良いと思ってんのか――」

 そう言って頑張ってすごんで来るから、鼻で笑って。「実力もねぇお前に言われるこっちゃねえよ」

 その桶で頭をこーんと、良い音したな。その瞬間目の色変えて殴って来て。


「おぅ!?」

「へへへ、どうだクソ。どうせエトナさんいなきゃなんもねえんだろぉ? だから俺の能力を先に教えといてやるよ、なぁ『全身同筋肉』だぜ。どうだ~? 後悔は先にしたいだろうよ~? そういうバカは面白いからなぁ」

 はへーー? なるほどぉ?「あぁ……、うん。ぐふっ……。俺はお前程度じゃ勝てねぇよ、中山田」


 だがなんとなく気持ち悪いな、筋肉一本一本が這って行く姿。ヤツの内部で攻撃態勢へ入ると質が変わる、うごめくようだぞ。ミミズが這うようにな、普通はそんなに大きくならないハズの首が太くなって手足もだ。


「スキル対比8だぜ、Bクラス。俺の力は人間を超えれるんだよ、魔物すら殺せる、レベルが違うってこった。なんせこの足裏ですら最強クラスだから、よぉ――」

 ただ跳んだ、それだけで3メートルは行く、全身が自分の最強たる筋力と同化するんだろう。正直簡単な掛け算でなら1,5倍程度とかだろうが動体視力や聴力なども上がっているハズで。

 首をねじりヤル気を見せて。

 その瞬間に超強化だ、そうすると「なんだ――コイツ」


 あっという間に回られたろう。迅雷の如し速度だ、お前が見えるとは思えないわ。そのまま軽いパンチで高速回転するのを3発。


「がぁあ!? な、なんだ、コイツ、なんだ。俺のはそんなちゃちなスキルじゃねえよ、一番接近戦に向いてるって言われたくらいなのに――」

 そうだな、恐らくだが――組技とか寝技になると無類の強さだろう、全身の筋肉が同じになるんならすんごい腹筋になるし太ももの動きも素早くなるだろうしその横移動も縦移動もブイブイ言わせてきたな。

 正直修羅だろうよ。


「ぶぇええ!?」はい、それに俺のストレートな。


 でもスキルじゃねえなぁ、これやっぱ。それは顔面狙う必要はないけどさ、まぁお勉強で。


「ちっ、クソ!? あぅ――!?」ほいほい、もう一発な「ぐぃ!? ぐぅぅう!?」

 血が出た。でも同筋肉、顔カッタいわ。

 よっし、俺の能力は3分で限界だが時間はたっぷりありそう。切り替えて無駄な動きをするんだ、正直足を使う相手にないが。

 アウトボックスだっけかぁ。

 一撃入れては相手はいなす、確実に正確に俺は。近づけないだろうな、イライラがすごいんだよ。


「あぁ、うぅ、コイツ。くそォ!? だが……、聞いたぞ、お前Dランクってよぉ、そんなハズレがヨぉ!?」

「そうだぞぉ? Dランクだよ~?」「じゃあなんでだ、スキル対比0,5のゴミが、人間未満のがなんでこんな事になって――ごほぉ!?」

 腹へと入ったな、一番堅そうな部分行ったが確かにもう人間じゃないわ。ただ「でもお前は弱い、ただ単純に能力が足りない。それだけだなぁ、中山田?」「はぁ……はぁ……、クソ、なんなんだよぉオ!?」

 すかぶる攻撃。必死にもう突進しかやれないのか、哀れだな。


 かわしてボディ! 崩れたら更にボディ!


 体全体が堅いが、その筋肉を分け入りミシシっとつき込まれるコブシが。確かにお前は体の旋回能力が良いな、背筋お化けでまるで凶器のような避け方してくる。ブリッジ回避も余裕で。

 そのスキル……、良い能力だけれどもお前は駄目だわ、分かったんだ。

 足を蹴り上げればかなり痛かったらしくて、「分かった、悪かったよ、もう……ヤメようぜぇ?」「あぁうん、ヤメるっていう判断は俺がするんだわ、お前は従う側だから」

 な――?


 一閃、かなり痛んでるんだろうけどなぁ、まぁ良いかぁ?

 ひたすら打って行く、コイツ、1ラウンド持たないな。



「お前さ、性格悪いんだからどうにもなんないって」「いってぇええ!? いってぇよ、やめろ、ヤメてくれぇえ!?」

 突然の悲鳴。あっさり倒れ伏せたか残念、だから腹に足を入れて浮かす、ふわっと……肘を墜として嗚咽させてそのまま固める素振りを見せれば立つから。

「ココは人の命なんぞ軽いよ……、だからなぁ、エトナに感謝しておけぇ、ボケぇえ!」

 あぁうん、よっわい。


 まーー、スッキリしたけど。あまりリーダーなのでこういう事しちゃダメだと分かるんだけど、性格悪くて良かったわー。ハハハ。

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