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「じゃあ、私スキルは全くの役立たず、それでもレシピは見れるから――」

 本のページ、何度しおりが挟まれたか、どのページだったかを知る能力。そこにクラスメイトの指差し確認、復唱機能付きで。


「どうだ、お爺ちゃん用の辞書と呼ばれた力、魔法は任せろ――」

 自動音声で炎が駆けた、そうして踊り狂うオタクたちもが躍動し、女神へと祈りバフをかけていくんだ。


「私はでは――、問おう、汝が我がマスターか!?」「ワンぅ!?」

 語り掛けるその声にオオカミが反射的に応えてしまうと、すると……体が光り始めて眩いまでになり、スキル・あんたが対象。これは応えさせた者を光らせる、ただそれだけだ。でも――「俺はその光を以てだぁ……1番戦いで光ってる奴を状態異常へと落とすぞ、目立つヤツへは杭をォオ! スキル『ウィーウィル・ロッキュー!』」

 じゃじゃジャン、と足で大地を撃ち鳴らし相手を痺れ状態へ。大物はこれで足を引っ張る、俺達は珍しいけれども、それだけでは全く致命傷にならないのを頑張って頑張ってつなげ、初手でなんとか敵を減らして見せるんだ。



 あとはへっぴりごしで格闘戦へと移行し、仲間を守るために必死にお鍋の蓋を使い、朽ちてる貰い物のすきやクワで持って戦う。

 空気はピリつき迫真だけれども、草を這ってたテントウ虫が飛んで蝶々が舞うのが俺の目に入っていて。


「鎧とか堅いのとか、そういうフィニッシュは任せろぉおお!」「頼む、頼んだリーダー!」

 力を巻いた俺のコブシだけが堅い敵をも突き倒す、仲間を守り、3体のモンスターを一気に千切った。それでもだ。

 そのとたん視界が……、体が揺れる。哀しみに満ちた、それは終わりを告げるのだ。


「あとは……任せた――」

 倒れ込む俺さん、この無双の力には限界があるんだわ。だって生まれたばかりの優しい力に包まれるんだ、ビクンと跳ねて「ぴ、ぴるぴるピーーーッ!?」

 お尻を上げて苦悶するから。立てない、立てない、頭が少し……、少しだけ、ネェ、お花が綺麗にぴるぴるぴ? おそりゃは高くてキレイだ、まるでママの臭いがぴるるぅ☆

 いや……、いや、何考えてるのか俺も分からん――結構続く、10分くらいは。ぴるぴる……ぴるぅ☆ お友達、頑張ってるね。ボクも頑張ってふもふも……、草をたべりゅの。 


 戦いの最中、その間にもなんとか処理する仲間達が、何人かがぴるぴるして犠牲を払ってでも戦う、奇想典外な能力で相手を圧し返す!



 これは戦闘に限ってのスキルの善し悪しを言うならば『スキル対比』というのを命名したんだぜ。前は長ったらしい名前だったようだが要は1人で1匹のモンスターを倒せるというのが基準であるのだが。

 F:無効

 E:スキル対比0,3

 D:スキル対比0,5~

 C:スキル対比1

 B:スキル対比2~

 A:スキル対比12~

 S:無効

 C以下は生産職以外に道はないと言われるほど、ニンゲン1対1ですら危ないおぼつかない。



「はぁ……はぁ……、今日も大変だったわねぇ……」ぴる……ぴるぴる……。

「まぁまぁ、それでもさ、あの2人がいれば間違いないわ」ぷるるる……。ぴるるぅ。

 最大火力たる彼女のおかげでなんとか相手を退散させたのは明白。小鹿たちが倒れている、スカート抑えて必死にな。超絶スキルのおかげで戦い抜けた、ケガ人だけが少々。


「ふーーー。でもやっぱお前らが柱だぁ、あの数とかお前らもう完璧だな!」「マジ、一心同体、マジ! 俺ら30人足らず……、DとC。生きてられるのはリーダーのおかげっ……」

「う、うん。でもスキル相性が良いから、それだけだよぉ――」

 顔を赤くする美少女は、俺をひっしりと守っていて。ウヒヒヒヒヒ!? アヒャヒャヒャ!? 無様な俺くんを大笑いしている中山田とかいう奴らをマジ睨みする彼女は、俺には笑顔で髪をとかして「スキルメイトだもん、私たちはそれだけで……。」

 ねぇ?


 いや、こっちも頭をかく。


 人生に新しい項目ができてしまいソレに順応する必要があるのだ。学生気分じゃいられない、目の前にヤイバが向かってきて全てが変わった。

 彼女はでも、昔なら考えられなかっただろうなと……。その美しく光る髪の毛、全てが仕上がった顔立ちと瞳が、優しい手で俺を守ってくれている。


 それでもやっぱ嫌がるな、と。俺の眼が少々ヤク中ばりにラリってたのが治って来たのを見てホっとして。


「やだ……。もうホント駄目だよぉ……」「でもしょうがない、俺らでなんとか切り開かなきゃぜエトナ。ただ、これでも騎士とかが処理してくれたんだよなぁ……」ぴるぴる……ぴるぴる。

 鳴きながら……鼻笛を吹きながら。これで幾ばくかは楽になるだろうなと期待するも。今日のあがりはたったの9000円、土地開拓チャレンジ2000円に魔物の討伐で7000円ぼっちだ。


 全員が苦しさに眉根を上げた。


 立てない俺を心配そうに覗き込み、仲間達に笑顔をむける少女が。

「もう私が介抱しとくから良いよ~」

 そうして、よっしょと頭を、俺の「よく頑張りました、今日は少しだけ、大胆にね……」

 膝枕が温かい。そこに寂しいのかマフ太郎も乗ってくるから更に温かい。


「ぷへー……、格好悪いの見せて、すまんなぁ」

「ううん、かっこ良かったよ、フフフ」

 とりあえず週一のお仕事は終了。全員が生き残れたし、スキルの相性だけで組まされたけれど、お互いがいると安心する。もうこれが数か月。



「ねぇねぇ、ともぉくん? 朝ご飯の用意が終わりましたよー」

 朝起きると少女がいて、一緒に目覚めを共にする、鐘の音が響く早朝。それは酸っぱいリンゴだけれど分け合って。

 その美しい唇が、朝の体操がわりに家の前で女神への祈りを。地平線を見ながら待つ、まつ毛の長いのが朝露でしっとして白い息を吐きながら……、赤くなった指を属性で温めてもらい。


「今日はどうしましょう~? お野菜とかはあるなら、うーん、やっぱりお肉かしらぁ」「あぁ、でも確か野菜ないから買わないとだわ、そうなると、後々ニクへ回すのがなぁ」

 二人で暮らすワラの家。棚の野菜を確認し、今日の夜は野菜くずのスープか、満足に食いたいなぁ……。なんて。

 苦笑い。しっかしこのリンゴも結構酸っぱいもんよな、後で知ったんだが原種に近いんだと。あのほら……、信州リンゴとふじりんごなんかはアレ、相当改良されてるらしくて。何も引かれてないって事は渋みや苦みが強くて。


「じゃあねぇ、ちょっとだけ……、なんともらった蜂蜜です!」

「おぅ!? ホントか――」

 あぁァ染みるわー……。涙出そう。一目散にかじった、久方ぶりの甘み、砂糖なんて高級過ぎて手が出ないから。うなずき合う。

 笑い合う。家事はお互いが初めてで、まだ高校生だったのもあるが1から作った愛着のある物ばかりで。


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