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「うぅ、だから先生を寝かして欲しいの、昼間あのゴマ太郎と寝てたら寝られなくなっちゃったー……、マネージャーしといてぇええ!?」
「アンタよぉ少しはクラスをまとめろよ、なんで俺に一任してんだよォ!?」
「うぅぅお願い……お願いよぉ!? ゴマ太郎にそそのかされたの、アナタの管轄でしょう、責任とってぇえ!?」
この先生よぉ、ホンマによぉ!? もう29のくせにさぁ!?違うわよ、まだ29なんて子供よ、そーいう風にしてかないと活路ないのぉ。
「もうじゃないの――私ここじゃ永遠の29なのよぉお!?」
「どこの声優だよアンタ、あの人はそれ相応に結果出してんだッ、娘さんは20過ぎてるのに母親17さ」
ガチャ、えーと? 29歳独身、青春・純潔☆アイアンメイデン☆真っ只中さーん?
はぁぁ~~い☆ 死んでる死んでる、先生それ、死んでるから。
針のむしろに真っ只中で、全方位から刺されても、それでも心だけは強く。
それで明日のイベントの予定を聞いているんだ……、続くんだな。俺がヤルしかない。そうして俺らはそれに率いられた【高度な】部隊として知られてしまったんだよな。
初手の三十路地獄・処女カード発動に、力のパンチラ。選ばれし腐りきった異世界巫女。思いのほか生き抜く術はあるんだ。でも。
「ふんふん、そんな事なってんだな~? おぃ、でももう少しやれんだろう。特にさぁ、この分配形式はさぁ……もう変えちまおうぜぇ?」「あぁうんだけども、ここのリーダーはトモオくんの班だから」
それに偉く不満そうな顔をするから。特に役に立ってないその一部へと、そうして死ぬほど朝早くに起きて、起こされてだ、その眼は非常に不機嫌だよ。
「ふぁ~~あ? リーダーって、アイツがか? あのゴミみたいなぁ?」「それマジか……、俺らが変わってやるわぁ……、さすがに辛すぎるぅ。最初に掃き出されたってだけはあるのかぁ~?」
へへへ。
讃美歌がただよう朝日に笑う、その薄明りの空での見えぬ言葉に笑うから、「まぁ確かに……? 明確じゃないからね、ただ……」
「ういっすー」
俺くんがご到着だ、まぁ揉めてるわな、大体予想がついたわ。今まで城でやってきたのがこの俺っちにしたり顔で、太陽も見えないうちからお元気で。
「おぃともお、オマエまじで調子乗ってるらしいな。でももう終わりだよ終わり。いつも通り端っこ行ってろ~」
「おぅ、中山田」
あぁ思い出すな、コイツまだこんななんだな? お得意の顔を近づかせてきてさ。「なんせこちとらBクラスだぜ? レベルが違うんよぉ。2軍のダっサいのがマジで張り切っちゃってさ。ごめんなー? 生まれまで違ってさぁ」
こいつらはさっきまで必要とされてて、要は軍人もが認めるまでになったクラスの異世界スキルだ。
あぁうん、そうだよな、そう。思い出すよその顔。確か今日のような日だったよな、かかる灰色の雲。俺は少しクールタイムで廊下を歩いていた。
無表情なコンクリートに負けず反射するような笑顔とか、制服で気軽な挨拶と世界に馴染んだ会話。俺はきっと……浮いているんだろうなって。堅く平たい地面をこの足が打つたび寂しさが胸へとつく。
むしろカオは良くないけど仲良い様子の男女とかさ。横では次の彼女を探すと言ってる男を抜けて一人。今からでも下りそうな、更にグズつく様子の空を見やる。こんな寒さなのに。
「なぁなぁ、良いじゃんさ……良いじゃん良いじゃん」
「あの……、悪いけどさぁ。こっち本気でムカついてんだけどぉ――」
薄暗くもないのだけれど雰囲気暗めで話してるが、端でやってるよ、コッチ気づいてないし、まぁ……。あの中山田だわ。
ふーーん、よろしいね。って。
いや本当によろしいんだよな……。俺もアッチ側が良いけどな、ただアイツには絶対なりたくないんだぁ……なんて。軽く毒づくだけで。
あぁぁ……、
ん? え?
ア、おぃ――? いきなり殴るから……、ヒステリックに男が殴るから。
おぃおぃおいヤメロよォ、まじでぇ……っ!?
「ちょっとなんでよ、ヒドィぃいいイイ!?」「いやそうだぜ、まじでやめろって! 女に暴力とかはさぁっ!?」
「ナニお前――、おぃ邪魔だ、大事な話してんだわ、ひっかきまわすな、このモブがぁあ!」
すごい力で押して来る。甲高い女と激昂する男、俺を挟んでやりあっているが「いやいや、ちょっと……、ちょっとォ」もみくちゃでも止めないとで。ホホが腫れてるしさ。
「この浮気男ぉお! だったら私も良いじゃんサ、なんだよォーー!?」
うっわぁ……、すんごい萎えるわ、こんなの止めたくないわー。意味が分からないな……。恵まれただけの性格悪いくそゴミと全く見る目のない女とか、俺を殺す気か――。俺を殺す気か。俺を。
俺……「ぐぅぅ!? 一旦落ち着け、とりあえず話あえって! 殴らなくても良いだろうよ!」
「黙れッ、くそ、くそ、クソッ!? おぃ、お前マジでキモいんだよ触んなよっ、どーせなんも分からねえゴミの2軍が、3軍、死ねッ! 女永遠に分からねえのに話しかけんなって、人生モブがぁ――」
思いっきり顔を殴られて。揺れて。コイツ、性格も悪いし二面性があって。むしろだからこそブーストかかる感じなんよな……。
2軍以下にしつこいし、顔が良くもなくて1軍の切れ端がプライドだけは高くて。
他人いじりが下手な癖に笑ってるからウケてると思ってるパワー馬鹿の奴。
「ヤメロって、良いから冷静になれよぉ!」
「ハァ!? 浮気されてんだぞコッチは!? テメェみてぇな3軍はさぁ、わきまえろ、お呼びじゃねえんだボケぇえ!」
ごつっと脇、アぁ――いったぁ……!?
腹をおさえるが、それでも結構痛いので女に行くのを防がねばならないな。少々揉み合う、すると教師がやってきて。
「はぁ……はぁ……、お前らぁァ……何やってんだァ!?」
すると途端にスンと――。よしよし、良くやった、さっさとソイツら片付けてよ。あぁ、いたた――挙動不審で、あんなにイキってたのに情けないその「い、いや……なんも、あの――、あの――いや。 相手から来たんですよぉ、俺ら付き合ってるんだからさ、守るのは当然でしょ、当然で」
な、なぁ?
なぁって――ッ「え、あぁ? うん――?」
ウソ、だろう?
反射だろうか、いや、でも、そのキモイのよりマシかって顔の女。ここでも通用してくんの? あとは沈黙だ、あっさりと切られたんだわぁ……。
はらわた煮えくり返る。あんなに嫌がってたのに今やスンとしてて、むしろ良い彼氏と彼女ですって感じで俺を。
「いやまぁ……、でもねぇ、相手の女子もそう言ってるしぃ……」
いやね、キミがそういうんじゃないってのは、言い寄られたとか煽られたとか、大体それは分かるけどぉ……。
ふーーー……。
そのムスッとした。あのさ……、俺はお前の事助けようと思ったんだ、とりあえず空気を入れる。何度も何度も。
まぁ……、でも。
「こいつ、マジで何考えてんのよ」
クラスに入った瞬間だった。まぁ……、やっぱりゲームやってた方が良いかなと。面倒な事に首突っ込むべきじゃなかったんだ、そもそもとして俺は不要だったんだ。
クラスの雰囲気はもう既に、いや初めから時すでに遅し。見やるゲーム仲間なんぞは言うまでもなく、っていうかさ、俺がそんな事する風に見えんのかと声を大にしてだ。
―――うん。
うん。
あとしかし元凶というか……、羊頭狗肉。本当にクラスが悪かったな。中学の時はモテなかったけどもそんなに悪くは「あのさぁ、キミ、オマエ――? 調子こいてるだろ? なんでお前みたいなのに可愛い彼女ができると思ってるんだよ、なんだ……この僕の大事な仲間に暴力とかぁッ!」
ががガと机が動く音、引きずられて。その雰囲気が変わった様子の、この最大の問題をだ。指揮官さまを仲間で必死に止めている。フリかそれともマジか。コイツ性格もヤバいんよな。
大体陽キャはクラスを明るくはしない、陽キャが適切で普通である場合のみ、明るくなる。
外れクラスだ、大外れ。ターゲットは俺。
「いや……、俺じゃないよ、上定くん」「はぁ? まだ違うっていうのか、女の子泣いてんだぞ、どう見たってそうだろう!? ナァ、それなら証拠出してみろよ、この負け組が――ッ」
「ま、まぁまぁ上定君……、仲間思ってるから分かるけどぉ、上定くん可哀そうよ~」
「彼女が好みだったんよ、相手される訳じゃないのにさー、いや~まじで勘弁してあげよ? な?」
オィ、お前も謝れよ――。
「……」「でもほら、見ろっ、謝ろうともしないだろう、こんなの放っておけるかよっ! ナァ――」その睨む目の奥、まぁ――、ムカつくがな。謝れという言葉に決して俺は屈さないが。それでギャアギャア騒いでさ。
なんかよく分からないマウントの重ね掛けを続け。
頭を振り払うように掻いて、それで携帯を見やる。向こうでは上定と中山田がコブシを合わせてるわ。
俺はコブシを握っただけで、笑ってて




