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「きんっも――。あぁ無理無理ぃ、中山田、お前らじゃ相手ならねぇわ~」するとだから、スゴイ頑張った顔になり俺へと来ててウデを掴みあげ。クラス全員の前で襟首持ってだ、「はぁ? お前、なんつった? ここ異世界だぞ、舐めてんのかよ」
「舐めてんのはお前だ、中山田。もうここは異世界だぜ」
そのじりじりとする様子に、クラスメイトは飄々としている。すると一人が何気なく。
「あぁ~、ごめんねー……、少し遅れたの~~。はぁ……はぁ……、今から頑張るからぁ、私と一緒にスキルメイト……」
だね。
うん。
それが俺を選んで、笑顔。異世界の魔力を見た、それは金色の光だった――。
とりあえずその美少女が目いっぱい働き始める宣言の、真打登場だよ。金色の柔らかな空気感。
「え、あ、あれってえとなさんじゃん!?」
そうだよ、彼女は同じクラスの加賀町 えとな(かがまち えとな)。
それはふわっとしてても落ち着いた、まるで生きるマイナスイオンのような雰囲気。
愛らしい笑顔。正に尤物たるを持っている少女で。
あと何よりもその発育豊か過ぎる乳房は誰もが2度見するしな。細くてこの上ない、指先までもしっかりとまとう美しさ。それに痺れて腕を離した間にスルっと俺を。
「じゃあ魔物退治は任せてね……、行って来きま~す」
その美しい彼女は、スキル強者だった。しかも俺の専属のな。「おぅエース、頼むわ!」「俺らが集めてる間まじで頼むぞリーダー、すまんな――」
仲間たちの声が響く。魔法のステッキを持ちて俺の横へひっしりと。ただ元から大人気だからな……。
「ねぇね……えとなさんっ、えとなさん! 分からなかったよマジ、俺らマジで心配してたんだよぉ。だって勇者に選ばれてアイツとかさ、特にあの上定なんか君の事を必死にさぁ……!?」
「そ、そうなんだ~……、えぇと。はい」ごめんなさい。
「俺らこんなゴミために墜とされたけどさ~、君に会えるって楽しみにしてたんよ。いや、こっち来なよ俺らの方がマジ安全だわ、何せスキルBクラスよぉ!?」
「俺なんてスキル対比6よぉ? ねぇね、一緒に城に帰るために頑張らない? 少なくとも強い奴らの方が安心でしょーーっ」へへへ。
えとなを前にして少し自虐するような顔だがでも、俺を見れば自尊心回復、全然イケると。
その押し出されようとする俺をひっしりと掴み、「あぁ……、えと。ごめんね。私もうあんまり付き合わないからぁ……」
それでも中山田がしつこくて俺をおしのけ「でもソイツあれだろう? ただのモブだよ、たったCクラスとかだったろうッ――」
「あ、あの、そうかもですけど、ごめんなさい。あまりそういうんじゃないからね、人として信頼してるの。あの……、アナタ達は私は」
好きじゃないんで。一瞬太陽が差し過ぎた。暁天の夜明け、だから聞こえないようでいて、その芯は。小さな帽子を抑えてそう言葉を切らせた少女は行ってしまうから。それはいつもの、昔の学校とは全く違い驚き、頭をかいていると。
「って事ヨ、主力はトモオとえとなちゃん。入る隙なんてないわ」「い、いや、でもなんか全然違く……」
「色々あったの、この2か月でね。あんたらは1からだわ、ともお君の言う通りキビキビ働きなさいね――」
そこそこの戦力が手に入ったらすぐに新人教育が始まるわ。自分達でワラを敷かせ家を作り挨拶回りをさせ、無理なら教育としてお空へぶん投げてやるから。あとそのままだと死ぬぞ、いや、マジでな。
「じゃあ、俺ら少しだけ前行ってくるー」「頼んだわよ~? アンタらが守らないとうちら死んじゃうんだから~」
うなずき、二人っきりで歩いていく。
そうして開けた異世界の大地の上、良い日差しだなと笑い合い、えとなと一緒に柵へと座って。
野イチゴを積んできたようで食わせてくれるんだ。酸っぱいわ、酸っぱい。えとなも酸っぱいカオ。
風が吹いている、暁の空。
「じゃあ今日は何しようかぁ~、えとなぁ」「うんお野菜中心でね? そろそろ切れかけなの~、お肉がもうないですね~?」
やれやれと頭をかく。
舞い上がる風はえとなの制服を揺らして大きな城とあいまって不思議な雰囲気を醸していた。目の前の森はなんとなく学校裏を思い出すんだ、なんて、二人は異世界だけども、制服同士。それと彼女の手の温もりは本物なんだ。
地平はどこまでも緩やかに緑と茶色を、ときどき人とかウマとかの彩りを混じらせながら伸びて広がって。地平に滲む光の放射が俺らから影を消して行く、体を這うようにして青い影がくっきり。線が下がっていって。
静かな城外は大工の声が時折風にのって聞こえる、他愛もないというか、いつも通り。そうして口ずさんで、幼くてオクターブが美しいままで安定する声、朝の讃美歌が終わった……。
「ともぉ君、じゃあそろそろ一緒に体操しよっか~」「おぅ、とりあえず準備運動だけは念入りにな」
異世界でのケガとはいえ回復が結構かなり高い。福祉ってのがほぼ無いからな、時折来る慈愛の王国部隊というのくらいしか望めないんだわ。
うんしょと、その軽すぎる程の美少女を俺が背負えば彼女も背負う。少し魔法の制御などが入っていてココで調子を見ていて。
その小さくて150にも届かない背丈においては少しだけ年齢までもが下がるよう見えるのは、結局は男の願いによるものかな。
あと股を開かせて。
「おっし、しっかりと柔軟な」「うーん、うーーん!? でもキツイよぉ……」「お前の魔法はそこがないもんなぁ、だから頑張れー」
苦手な柔軟は特にしっかりと、張りがあるけど柔らかい太ももがたゆんで。かなり息が上がっている、えとなは体力が貧弱だわぁ……。あとオッパイが激烈に揺れるんだわぁ~……、背中で背負うと横に何かが動いたのが分かるくらいで。90は確定なんだよ、汗ばんでいて……。
こくりと、水を飲む様子、そうしてコッチを笑顔で見て。
美しく淑やか(しとやか)な雰囲気で目線優しくてまつ毛がなびき。流れるロングの繊細な髪が異世界で更に輝くんだ、深い金色を秘めた。彼女は魔力を伴って更に可愛くなっていたんだ。
おーぃ、頼んだぜぇえ!
「おぅ、おっけー!」
軽く返事をし、するとすぐに相当数の敵が現れ始めたんだ。それを魔法で焼いていくから。それで彼女のスキルは「じゃあ頼んだぜエトナ、お前の『属性付与』でな。大体なんでも属性がつくと思えばいいよ、よしよし次はこれ使え、この石だぁ……」
「分かりました、ハイ、じゃあ、ハイ――」
彼女へと石を渡し全てにエンチャントしていく。しかも彼女は随唱と呼ばれる無詠唱の一歩手前の物、飛ばないけど呪文なしで次々とだよ、さまざまな属性を乗っけてくれるから。
そうだ、このスキルってかなり有能なんだわ……いやホント。
だってなにせ大盛りの白飯を300円で頼んだら魔法でえいやと鯛茶漬けやカレーにもできる、あまつさえ無料で、少し力めば牛丼にすらもなる。と言えば分かるだろう。あぁ……やっぱすげぇわ、茶漬け食いてぇ……しょっぱいあの感じが――。




