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約束

品性は「買えない」

だけど「売れる」


人は窮地に陥ったときに人格がわかるらしい。

ようやく自分が起きてきて10月10日から今まで「俺」がやったことを振り返る。


ひどい残状。

なりふり構わず、暴れ回っていた。


他人の同情をいただけるように、浅ましく振舞う様はひどく滑稽で、かつそう見えるのを前提にしてあり、大変狡猾だ。


かろうじて警察への供述などに嘘はないが、立ち振舞いなどは相手からの憐憫を引き出そうとしている。


ここまでくると、体重が落ちたこと含めて「俺」という悪魔が全力で可哀想アピールのために自分自身を作り変えたのではないか、とぞっとしている。


「美味しい食べ物食べて落ち着いた?」

「ああ、ありがとう」


元配偶者の「あの子」に食事を奢ってもらう。

本来なら、それだけでも十分なのに、さらなるベネフィットを引き出そうとしている俺がいた。つまりはお金を引き出そうとしている。


確かに契約書作成に遺言書保管など履行することはするしかない手続きを提示しているが、無関係な人に今回の被害を撒き散らかす行為を取ろうとしていた。


品性に欠けるどころか、人としてあってはならないことをしようとしている。自分が起きてきて気がつく、品性の「売り方」。


詐欺事件にあったからと、犯罪者と同じように品性まで「売り払って」、それでも神の御許がいただけるとは思えない。


人はこの世界で「魂を研鑽する」。

この世界の主役はいつだって「自分自身」。


その魂を汚そうが、磨き上げようが、それは自分自身の「選択」に他ならない。


被害に遭い、我を失い、品性を売り払った。

だけど金のために自分自身を「裏切る」ことだけはしたくない。


「食事、ありがとう。美味しかった」

これだけでいい。あやうい自分ではあるものの、ようやく目が覚めてきた。まだ、大丈夫。


とりあえず、追加でアルバイトか残業を増やそう。

水曜日からはしゃかりきに働く。


机の上にある、白いうさぎのぬいぐるみに約束する。

次は間違えない、と。

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