石ババア
翌日、アムニは夜明け前に宿を出ていた。彼女は私の冒険者証を持っていった。あの迷宮を攻略するには、最低でもC級冒険者か、冒険者パーティにまでランクを上げなければならない。私はここで魔法の練習をするから、彼女はたった一人で働きに出るしかなかったのだ。
フェリシアは昨日と同じあの場所に立っていた。手の中で三つの石を放り投げている。大と中と小。私が来たのを見ると、ぽいぽいっと目の前に石をばら撒いた。三つの石はころころと私の足元に転がり、ぴたりと一列に並ぶ。
「今日も石なんですか……」
「当たり前でしょ。今日の本題はこれなんだから」彼女は手についた、実際には存在しない埃をはたいた。「自分の魔力を制御できないと、一生この石から離れられなくなるかもよ」
私は腰を屈めて石を拾いながら、心の中でこっそり彼女にあだ名をつけた──石ババア。毎日毎日石で人を痛めつけるなんて、これ以上ぴったりの名前はない。「……何を考えてるの?」彼女の声が急に数度、冷たくなった。
私は黙ってうつむいた。「別に、なんにも」彼女の目がわずかに細められる。あの藍色の瞳がまっすぐに私を睨みつけていて、私の脳天を貫いて、たった今のあの数文字をじかに読んでしまいそうな勢いだった。やばい、エルフって読心術でも使えるんじゃないの。彼女はしばらくじっと見つめた後、ふと、あの意地悪な表情を引っ込めた。笑ってはいない。ただ静かに私を見つめている。その場の空気が一変した。
彼女が口を開く。その口調はめずらしく真面目だった。「これから言うこと、ちゃんと覚えておきなさい」
フェリシアは手を差し出し、掌中を上に向けた。一団の魔力光が彼女の掌中に浮かび上がり、回転しながら、目に見えない器に湛えられた水のように安定している。「魔力を放出するっていうのはね、蛇口をひねるのと同じこと。水は流れ出る、これは簡単なことだよ」掌中の魔力光はなめらかに流れ、柔らかく均一に広がる。
「でも、魔導師である私たちは、それ自体が一つの大きな水槽なの。水槽の中にどれだけの水があるのか、蛇口をどれだけ開くのか、出てくる水流はどんな形なのか──これらは全部、あなた自身が制御しなきゃいけないんだからね」彼女は手首をひるがえした。魔力光はたちまち絹糸のように細くなり、彼女の指先に絡みつく。それから突然、膨張し始め、一つの完璧な球形を形作った。「そして、水が流れ出てしまえば、もうあなたの言う通りにはならないんだよ」彼女は湖面を指さした。
「重力がそれを引っ張る。周囲の魔力の流速がそれを邪魔する。まるで、あなたが川に水を注ぐのと同じ。水流は川の流れの向きに引きずられていく。この湖の魔力は乱れている。あなたの魔力は一度放出されてしまえば、あっという間に環境に鼻面を引っ張り回されるんだ」彼女は魔力を収め、改めて私を見つめた。その眼差しはこれまでにないほど真剣だ。「だから制御できないのは、あなたが弱いからじゃない。あなたがまだそこまで鍛えていないだけ──紊乱の中で、それでも自分の出力を安定させられるという境地にはね」
「じゃあ……どうやって練習すれば?」
彼女は小首を傾げた。あのいつもの嘲笑がついにまた口元に浮かんだが、今度は不思議と嫌な気はしなかった。「一番いい方法はね──」
彼女は地面の石に向かって、顎をしゃくった。
「反復訓練。何度も何度も、あなたの体が魔力の一筋一筋の重さを覚え込むまでね。初心者だってそう、上級魔導師だってそう。近道なんてないんだよ」
私はうつむいて、その三つの石を見つめた。大きな石は沈黙し、中くらいの石は粗く、小さな石は細かく砕けやすい。つまり、もし同じ魔力を注ぎ込むとして、注ぐ魔力が小さすぎれば大きな石は反応を示さず、注ぐ魔力が大きすぎれば小さな石は砕けてしまう。今回の課題の難しさは、魔力を等量に制御するだけではない。この三つの石に過不足なく魔力を吸収させる、ちょうどの〔定値〕を見つけ出さなければならないのだ。これからの旅のためには、小細工も使えない。こんなのいったい、いつになったら完成するっていうの? どうせこの石ババア、私を卒業させる気なんてさらさらないんだわ。
昨日と同じ。私は腰を屈め、一番小さな石を拾い上げ、掌中に握った。魔力がゆっくりと注ぎ込まれ、石の表面がかすかな青い光を帯びる。今度は、急いで二つ目に手を出さなかった。私はついさっき魔力を注ぎ込んだ感覚をじっくりと思い返し、もう一度注ぎ込む。それから、この石は砕けた。「ぷっ」フェリシアは一片の容赦もない嘲笑を漏らした。「君がいると、緊張しちゃうんだよ。あっち行っててよ」
「ほんとに? 弟子ちゃんはたった二日会っただけで師匠を追い出すつもり? 私、本当に悲しいよ、ううう~」彼女はまた石をいくつか投げてよこすと、ぴょんぴょん跳ねながら逃げていった。
魔力が体内から湧き出し、経脈を伝って指先へと流れていく。私は目を閉じた。それが空中でどう逸れるか、何に邪魔されるかは、もう考えない。ただ一つのことだけに集中する──流れ出るその一筋の魔力を、多すぎず少なすぎず、ぴったり私が望む分だけにするのだ。この過程は疑いようもなく退屈だったが、あの木陰の下の人影は、ずっとそこに佇んでいた。
石の表面がかすかな青い光を帯びる。安定して、均一に。罅割れはない。私はそれを置き、二つ目を手に取った。それから三つ目。大きさの違う三つの石が一列に並び、どれも同じ強さの光暈を帯びている。一つとして砕けたものはなく、一つとして光を失ったものもない。目を開ける。心臓が胸の中で、どくんと重く跳ねた。できたんだ。
夕陽の風はやはりもの寂しく、湖面を撫でていく。何かを連れ去ったようでもあり、それでいて何も起こらなかったようでもある。あの柳の木の下に立つ人ならざる者。その顔の大半は木陰に覆われ、表情は見えない。うつむき加減で、口の中でただ二文字の言葉だけを呟いているかのようだった。
「やっぱり」
この、本来なら風にさらわれてしまうはずの言葉が、私の耳の中へと飛び込んできた。私は好奇の眼差しで顔を上げ、彼女を見つめる。けれど目に入ったのは、あの余裕綽々の笑みだけだった。「四時間……なかなかやるじゃない、おチビちゃん。おめでとう、君はもう初心者の歴史を作ったよ~あの皇女様だって一週間はかかったんだからね。どうやら明日から、やっと新しいカリキュラムに移れるようだね」彼女は指を一本立て、尖った耳を楽しげにぷるぷると震わせた。「でも、いい気にならないで。魔力制御なんて、基本の中の基本に過ぎないんだから。本当の魔法は、まだその入り口にすら立ってないんだよ」私は彼女の、あの、明らかに嬉しいくせに平気なふりをしようと必死になっている様子を見つめて、私も思わず口元が綻んでしまった。
「わかったよ、石ババア」
「……あんた、今、あたしのこと、なんて呼んだ?」




