這い寄れない混沌
俺は思わず、
受話器の通話部分を握って、
一旦通話を封じ、
妖精甲ちゃんに助けを求めた。
「ヤバいヤバい!
こいつ旧支配者の中でも、
かなり狡猾な奴だよな!?
まさにモンスタークレーマー!
しかも俺ここで、
かまぼこ扱ってる事すら、
知らなかったんだが!?」
『落ち着くだニャ!
一旦保留音流すんだニャ!
そいつは前から割とうちに、
似たような因縁付けてたから、
その義体に対応マニュアルも、
定型文入っているニャ!』
「そうなのか…常連なんだな。
ダイヤル回しで保留出来るな…」
『先ず喉に刺さった、
ナイアルラトホテップに、
魚の骨を提示させてから、
字幕表示してみるだニャ!』
「なるほど…失礼ですが、
喉に刺さった骨を見せて頂けませんか?
まだ刺さっているなら、
宇宙耳鼻咽喉科に…」
『これだ!』
ナイアルラトホテップは、
喉と言いつつ、
流木の様にねじ曲がった、
円錐状の頭から、
魚の骨を出した。
「失礼ですがそれは、
弊社で製造するかまぼこ原材料海水魚、
コスモスケソウダラではなく、
アーカム学園星狂気山清流生息の淡水魚、
宇宙ニジマスの肋骨です。
そもそも弊社の製造機械は、
骨を取り除いてから身を粉々ですので、
もし骨が混ざっていたとしても、
そこまで大きな骨は…」
『あー!鉱石入り小惑星が!?』
ナイアルラトホテップは、
宇宙の宝石商ぽい口実で、
電話を切った。
『やったニャ!
ナイアルラトホテップをやっつけたニャ!
もうサバゲー番長からオペレーター番長か、
カスタマー番長に改名したら、
どうかニャ?』
「いや電話対応は、
目標ではないし…
そもそもコスモスケソウダラや、
宇宙ニジマスて何だよ!?
字幕表示や定型文で、
咄嗟に言ったが…」
『地球人のお前に、
分かりやすい様にした意訳だニャ!
地球で言うその辺りのニッチて意味で、
生物学的には違うニャ♪』
なるほど…分かりやすい…
正式には旧支配者より、
よく分からない名前なのかも…
「そう思ってたら、
赤字データ消すの終わったぞ!?
次の仕事は!?」
するとイダ=ヤアー常務が来た。
「じゃあ次あんた、
作業所行って魚加工手伝いだよ!」
「つまりブルーカラー!?
俺ここでデスクワークやり続ける、
ホワイトカラーじゃないんですか!?」
「両方やる青白だよ!
ほら行きな!」
イダ=ヤアー常務は平手で、
俺の背中バンバン叩いて急かす。
義体は精密機械と思うが、
そんな荒く扱って大丈夫か!?
痛覚無いから振動だけ来るが、
ネジとか緩まないか不安…
ともかく作業所行く事にした。




