チャプター3
達也は、テレフォンクラブ【コール】の一室にいた。
一室と言っても周りを薄い板で仕切られているだけで、天井は筒抜けになっていてプライバシーは無いに等しい。
畳2畳程の広さにソファーが一つ置いて有り、テレビには絶えずAVが流れている。
うす汚れた壁には、グラビアアイドルのポスターと、外人のヌード写真が所狭しと貼り付けられていた。
平日だからか、他の部屋に客は居なかった。
店に入って30分後、4番目に鳴った電話の女は饒舌でペラペラとよく喋った。サクラなのかもしれない。
だか暇潰しには鳴った。
女の名前は、渚。
24歳で、達也よりも4つ上だった。
くだらない話で、思いのほか話は盛り上がった。
まるで昔から知っている様な感覚におちいる。
受話器から聞こえる女の笑い声が隣で笑っている様に聞こえた。
「ねぇ、今から会える?」
一瞬、戸惑った。
テレクラに入ったのは、ただの時間潰しだった。
実際に会おうとは思っていなかった。
テレクラに掛けてくる女は、殆どがサクラだ。
会話の中身に現実味がなく、会う約束をしたとしてもリアルではない。
待ち合わせ場所に行く男は、ただの間抜けだ。
そう思っていた。
「ねぇ、聞いてる?」
「あぁ、聞いてるよ」
「ウチの服装は、黒のスーツに白いワイシャツだからね」
女は、跳ねる様に喋った。
嘘を付いている様に思えなかった。
女が、何故会おうと思ったのか判らない。
深くは、考えなかった。
ただの時間潰しだ。
電話を切って、待ち合わせ場所へと向かった。
間抜けな男だな?
違うよ、ただの時間潰しだ。
誰も聞いていないのに一人で言い訳を口にしてみた。




