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八八冒険記  作者: 夢形えいて
1章
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二人での御朱印巡り(sideマナブ) 03

 そうこうしているうちに、拝殿の前に着いた俺たちは、順に参拝をしていった。ユウとリンさんの参拝が終わったのを確認すると、前に進みお賽銭箱に賽銭を入れ、大鈴を勢いよく鳴らした。二礼二拍手し、お祈りをした後、一礼し顔をあげた。10か所目ということもあり、少し気が緩んでいたが、参拝をすると改めて気が引き締まる思いであった。

 「さ、そろそろ那智の滝に向かうか。」

 参拝を終えた俺たちは、那智の滝に向かうことにした。 

 「会長、あそこに日本一のおみくじって書いてるのがありますよ!」

 那智の滝に向かおうとした時に、ユウが拝殿のすぐ傍にあるおみくじの売り場を指さした。

 「ユウは、ホントにおみくじとか好きだな。」

 俺は、いつもの事だとスルーし歩き始めた。

 「会長、違うんです。あれを見てください。日本一なんです。」

 「日本一?」

 ユウの指さす方向を見ると確かに、日本一のおみくじと書かれた大きなおみくじがあった。リンさんによるとあのおみくじは、那智の滝の高さである133mに合わせて133cmの長さの筒になっているようだ。相談した結果、せっかくなので三人でおみくじを引こうということになり、売り場の方に向かった。

 売り場でおみくじの代金を払った後、順に日本一の大きなおみくじを引いた。

 おみくじの結果は、なんと三人とも大吉だった。人によっては先がある中吉が一番いいなんで意見もあるようだが、三人そろっての大吉は、もちろん幸運の証だろう。これからの八八の冒険の行く末を暗示しているようでいい気分になれた。

 おみくじをそれぞれそばの木にくくりつけた後、那智の滝に続く裏参道に向かっていると三重の塔が見えてきた。

 「あれは、那智山青岸渡寺の三重塔ですね。一層目に飛瀧権現、二層目に尼子十勇士と阿弥陀如来、三層目に千手観音菩薩が祀られているんですよ。」

 リンさんが、三重の塔の方を見ながら説明をしてくれた。

 「あ、あそこから那智の滝も見えますね。会長、リンさん那智の滝と三重の塔を背景に写真とりませんか。」

 そういうと、ユウは近くを歩いていた人に携帯を渡し、写真撮影をお願いした後、戻ってきた。俺とリンさんは何となく顔を見合わせた後、苦笑するとユウと並んで三人で写真を撮ってもらった。

 「会長、リンさん、いい感じで撮れてますよ。」

 ユウは、写真を撮影してくれた人にお礼をすると携帯を持って走ってきた。

 「ホントですね。那智の滝がきれいに写ってますね。」

 「後で、二人にも写真を送りますね。」 

 三重の塔を後にし、石段を下り那智の滝に向かっていった。石段を下りると飛瀧神社の鳥居の前にやってきた。

 「那智の滝は、飛瀧神社の中にあるんですよ。しかも滝そのものが御神体になっているんですよ。」

 「そうなんだ。参拝は滝に向かってするんですか?」

 ユウが、驚いたようにリンさんの方を見ていた。

 「ええ、そうですね。さ、早く中に入りましょう。」

 リンさんに促され、鳥居の前で一礼した後、境内に入っていった。鳥居をくぐり数分歩くと、那智の滝にたどり着いた。那智の滝の大瀑布を目にすると、その迫力に圧倒され、しばらく滝に見入っていた。 

 「すごい滝でしょう。この滝は高さが133m、滝壺の深さが10mあり茨城県の袋田の滝、栃木県の華厳の滝とともに、日本三大瀑布と言われているんですよ。」

 俺とユウは、リンさんの解説を聞きながらも、まだ滝の壮大さに目を奪われたままだった。

 「マナブさん、ユウさん、もっと滝の近くまで行けますよ。」

 リンさんの後ろから滝に向かって歩いていくと、『お滝拝所舞台』と書かれた入口があった。そこで入場料を払い、中に入っていった。

 滝に向かう途中に『延命長寿のお瀧水』という水場があったので、初穂料を納め、那智の滝の霊水をいただくことにした。水場では、一人の男が先に霊水をいただいていた。

 俺が、リンさんとユウの後で、順番をまっているとその男が話かけてきた。

 「どちらからいらしたんですか?」

 「あ、大阪です」

 「そうですか。夏休みでもないこんな時期に那智の滝に来られるなんて、滝がお好きなんですか?」

 男が、親し気に話かけてきた。前の二人がまだ、霊水を飲んでいないことを確認し、男の話に少しだけ付き合うことにした。

 「目的は、熊野那智大社なんですよ。でもせっかくここまで来たので、那智の滝にもお参りしようと思って寄ったんです。」

 「そうですか。那智の滝を見に来たではなく、お参りに来られたんですね。私はここの地元に住んでるんですけど、時間があればこうして滝の霊水をいただきにきているんです。長年、霊水をいただいているおかげで、病気一つしたことがないんですよ。」

 「そうなんですか。じゃあ、僕もそのご利益にあやかってきます。」

 俺は、二人が霊水をいただき終わったのを確認すると男に一礼をして水場に向かった。男の話を聞いたからではないが、滝の霊水を口にすると身体の中が清められるような気分になった。俺が霊水をいただき、ユウたちのところに合流した時には、もうさっきの男性の姿は見えなくなっていた。

 水場から少し登ると、お滝の拝所に出てきた。そこで那智の滝に参拝すると元来た道を戻っていった。

 鳥居の近くにある売店でお土産を見た後、大門坂の駐車場に戻ってきた。宿に向かうため大門坂からバスに乗り、紀伊勝浦駅まで戻ってきた。駅のコインロッカーに預けてあった荷物を取り出した後、ユウが宿に連絡をしていた。

 「30分ほどで、宿から迎えに来てもらえるみたいです。後、部屋の空きがあるみたいなんでリンさんも同じ宿に泊まれそうです。」

 リンさんは、まだ宿を決めていなかったようで、俺たちが華遊という旅館に泊まると言うと、泊まった事がないので同じ宿にすることになったのだった。

 「じゃあ、迎えが来るまでそこのベンチに座って待っていようか。」

 俺たちは、タクシー乗り場前に設置されているベンチに座って迎えの車を待つことにした。しばらくすると華遊と書かれた小型のバスがやってきた。

 車から壮年の男が降りてくると、こちらに向かってやってきた。

 「ユウ様でしょうか?」

 「はい、そうです。よろしくお願いします。」

 ユウは、ベンチから立ち上がり男に挨拶をしていた。俺たちも立ち上がると男に対して、軽く会釈した。

 「お待たせいたしました。こちらにどうぞ。」

 男の案内に従って、順に車に乗り込んでいった。

 「本日はありがとうございます。こちらに観光で来られたんですか?」

 男は気さくな性格のようで、車が動き出すやいなや話しかけてきた。

 「ええ、そうなんです。熊野那智大社とか那智の滝を見にきました。」

 「今日のクジラ料理も楽しみにしてるんです。」

 俺の話に被せるようにユウがクジラの話をいれてきた。クジラ料理を楽しみにしてるのが、男にも伝わったのか、宿に着くまで二人でいかにクジラを堪能するかという話で盛り上がっていてた。

 俺は、クジラ料理談義に華を咲かせる二人の会話には入らず、リンさんから熊野那智大社の歴史の話を聞いていた。熊野那智大社は、話を聞けば聞くほど、規模も大きく由緒ある神社であることを認識させられる。明日の調査でもリンさんの力を借りることになりそうだ。しかし、リンさんに八八の事は伝えていないなかで、どこまで調査ができるだろうか。とはいえ、旅先で出会ったばかりの人に八八の事を伝えるのも躊躇われる。

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