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八八冒険記  作者: 夢形えいて
1章
26/51

始まりの神社(sideシュン) 18

 露天神社を出た僕たちは、お初天神通り商店街の中を歩きながら、駅に向かっていた。

 「会長、もう、こんな時間ですね。」

 僕は、信号待ちの際に、携帯を見て時間を確認していた。

 「思った以上に、時間がかかったな。今日のところは、ここ辺にしておくか。」

 会長も少し疲れた顔で答えた。

 「会長、せっかく、梅田まで出て来たんだし、軽くどこかに寄って行きませんか。」

 ヨシ先輩は、周囲の看板を眺めてた後、僕たちを振り返った。

 「そうだな。ちょっと、今日の事の整理もしたいし、軽く寄っていくか。」

 この話の流れを予想していたのか、携帯で店を調べていたユウが、画面を会長に示した。


☆☆☆☆☆☆☆☆


 店に入り、席に着くとすぐにビールを注文した後、お品書きを見始めた。

 「この天ぷら、美味しそうですね。」

 「こんなのもありますよ。」

 ユウが、お品書きを見て楽しそうに悩んでいると、そこに、店員がビールを4杯もってやってきた。

 「お待たせしました。ビール4つとお通しになります。本日のお通しは、菜の花のおひたしになります。」

 入口近くに座っていたユウは、ビールをそれぞれに手渡した。ユウが、ビールを配り終わると、会長は、自分のビールを持ち立ち上った。

 「みんな、今日はお疲れさまでした。色々、話したいこともあると思うけど、まずは乾杯  をしよう。乾杯!」

 「お疲れさまでした~」

 ビールを一気に飲む僕たちの顔は、一つの仕事を終えた後の、爽快な表情であった。

 ビールを一口飲んだ後、改めてメニューを見て、店員に声をかけていくつかの品を注文した。

 お通しのおひたしをつまみながら、ビールを飲んでいると、店員が、注文した料理をテーブルに持ってきた。

 「こちら、春の野菜の天ぷら、鰹のタタキ、そして鰆の西京焼きです。」

 春の野菜の天麩羅には、タケノコ、ふきのとう、菜の花、アスパラガスが載っていた。衣がサクッと揚がっており、具材の白や緑も綺麗に映えている。鰹のタタキは、厚めに切られており、葱や大葉が刻まれていた。皿の端にはすりおろされた生姜が小盛りで載っていた。

鰆の西京焼きは、照りがある綺麗な焼き色と味噌の香ばしい香りが、食欲を刺激してきた。

 「店員さん、この山鶴を頂けますか。」

 「俺ももらおうかな。おちょこ2つにして。」

 僕がビールが入っていたジョッキを店員に渡しながら注文すると、ヨシ先輩もそれに続いて言った。

 「2人とも早いですね〜」

 「まぁな、ビールは水みたいなもんやな。」

 ユウが驚きながら言うと、ヨシ先輩は冗談まじりに答えた。

 「ちょっと思ったのですが、アオイさんって過去視使いなんじゃないでしょうか。それ で、僕たちの事を視て、あんな勝負をしたんじゃないでしょうか。」

 僕は、箸を置くと、三人に話しかけた。

 「確かに、あの酒は俺たちの過去を知らないと選べないよな。」

 「俺たちのこれまで絆を試すような勝負でしたしね。」

 僕の話を聞いて、会長とヨシ先輩も同じように感じているようだった。

 「でも、アオイさんはなんで、神前試合をしてまで、神社の秘密を僕らに教えてくれたんでしょうね。僕には、アオイさんがあえて教えてくれようとしたようにも見えました。」

 「ユウは、アオイさんとかなり親しげだったもんなぁ。」

 ヨシ先輩は、ユウをからかうように言った。

 「そんなんじゃないですよ。やめてください。」

 なぜか、嬉しそうに否定するユウを、3人はジト目で見ていた。

 「それにしても、まさか、露天神社にあんな、秘密があるとは思わなかったですね。」

 僕たちの視線に気づいたユウは、慌てて、話題を変えた。

 「それは確かにそうだな。次からもこんな感じで色々あるんだろうな。」

 ヨシ先輩は、山鶴を堪能しながらしみじみといった。

 「この御朱印帳、本物でしたね。半信半疑だったのですが、あの不思議な光景を目にしたら、もう疑う余地はないですね。」

 僕は、テーブルに置かれた御朱印帳を手に取りながらしみじみと呟いた。

 「みんな、飲みながらでいいので聞いてほしい。」

 会長は、自分のグラスを置くと僕たちの方を見た。僕たちは、グラスを置くと会長の方を注目した。

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