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八八冒険記  作者: 夢形えいて
1章
25/51

始まりの神社(sideシュン) 17

 アオイさんが語り終えた瞬間、僕たちは大きく息を吐き出した。壮絶な話を聞き終えた後、しばらくの間、身じろぎ一つできずにいた。

 アオイさんは、いまだ、話の余韻から抜け出せないでいる僕たちに近づくと

 「話は以上となります。」と告げた。 

 「貴重な話を聞かせていただきありがとうございました。」

 会長が代表してお礼を述べた後、僕たちはアオイさんに頭を下げた。

 「お初と徳兵衛とミツの御霊を鎮めるために、この祭壇が作られました。ミツの話を秘匿するため、一般に開放している境内にはお初と徳兵衛の慰霊碑しかないんです。この祭壇に、八八に関わる何か秘密があるかもしれませんね。私は、席を外しますので、考えがまとまるまで、ここでゆっくりとお過ごしください。」

 そういうと、アオイさんは部屋を出ていった。

 アオイさんが部屋を出ると、僕たちは立ち上がり、祭壇の前に並んだ。

 「これが、三人の慰霊碑。この、お初天神の秘密か。」

 会長は、呟くと慰霊碑の前で合掌した。僕たちも会長に倣い慰霊碑にむかって合掌した。

 合掌を終えると会長は、カバンから『八八』を取り出した。

 「みんな、ここで何をすべきだと思う?」

 会長が『八八』を手に僕たちを見回した。

 「あの、ここは神社なんで普通はやらないかもしれませんが、三人の冥福を祈るため、お経を唱えませんか。」

 ユウが数珠を手に僕たちを見回した。

 「ユウ、そうだな。『八八』も大事だが、あんな話を聞いたんだから、まずは冥福を祈るべきだな。」

 僕たちは、ユウの提案に賛同し、それぞれ数珠を取り出した。

 「じゃあ、いつもどおりやるか。ユウ頼む。」

 会長のかけ声のあと、僕たちは祭壇の前に並ぶと、ユウに続いて読経をはじめた。

 「仏説ま~か、・・・般若心経」

 小部屋の中に静かに持鈴の音が響いていた。鈴の音が消えると、僕たちは顔をあげ、改めて祭壇に向かい合掌をした。

 「さて、これからどうするかだな。」

 会長が、改めて『八八』をカバンから出すと、『八八』が淡く光だした。

 「もしかして、」

 会長が、慌てて露天神社のページを開くとそこには、見たこともない御朱印が現れていた。僕たちも慌てて、会長の元に駆け寄ると、露天神社のページを確認した。

 「御朱印だ!」

 「でた!」

 僕たちが、御朱印帳を見つめるなか、『八八』の淡い光は消えていった。

 「なんで、急に御朱印が現れたんだ?」

 「もしかして、さっきの読経と関係あるんでしょうか。」

 僕とユウは、おもわず顔を見合わせていた。

 「なるほど、そういうことか。」

 ヨシ先輩は、思考の海から浮上してきたかのように、目を開くと全て納得したような顔をした。

 「なにが、なるほどなんだ?」

 会長は、いまだ状況がつかめず、ヨシ先輩の発言にとまどっていた。

 「会長、この『八八』の仕組みが少し分かりました。みんな、もう一度、その椅子に座らないか。そこで説明をするよ。」

 ヨシ先輩の言葉に促され、僕たちは先ほどの席についた。

 「今回、俺たちは『八八』の中に載っていた神社の中から任意に一ヶ所目を選んだ。つまり、今回の結果に順番は関係ないということだ。」

 ヨシ先輩は、僕たちを見つめ、説明を続けた。

 「今回、アオイさんに声をかけてもらい神前試合を経て、露天神社の秘密を知ることができた。その結果、御朱印を得ることができた。これを偶然と考えるには無理があると思う。つまり、『八八』に記載された場所にはそれぞれ秘密もしくは、試練があり、また、それを導く存在もいるという事なんじゃないだろうか。そう考えるとこの一連の流れも腑に落ちる感じがする。」

 ヨシ先輩の説明を聞いた僕たちは、それぞれここまでの流れを思い返していた。

 「まだ、一ヶ所目なんだ、結論を急ぐのは待とう。ともあれ、この御朱印帳が本物であることが確認できたのは間違いない。」

 「そうですね。まずは、一ヶ所目のクリアを喜びましょうか。」

 会長が立ち上がると、僕たちも続いて立ち上がり、順に部屋を出ていった。

 この神社の歴史を知り、『八八』の重みを改めて実感した僕たちは、先ほどとは異なる顔つきで歩いていた。


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