結局俺は色々手伝っていた。
俺たちは魔王の元へ向かうが、今回は魔物を倒しながらゆっくり帰った。
ルナはどんどんレベルが上がるのが面白いようで、魔物を多く狩りたいようだった。
俺は魔物をルナの所まで引っ張り、魔物狩りをしてもらい、早めにルナを休ませるようにした。
スタミナポーションを10本つけるベルトは外してもらった。
皆のレベルが上がり、俺がおんぶすることも無くなった。
魔王の元に着く。
「ご苦労だった。後は、訓練の手伝いと魔の森の開拓だな。」
魔王は俺たちをねぎらった後、早速仕事を勧めてきた。
人使いが荒いな。
「魔の森は魔物を倒すだけで終わりにしたい。ウッドゴーレムもいるだろ?」
ウッドゴーレムだけではない。
馬を手に入れたことで、ステータスの低い者でも馬を使って開拓をスムーズに進めることが出来るし、馬を使い運搬の手間が減った分を、開拓に回すこともできる。
「分かった。魔の森の魔物を倒し次第、訓練の手伝いをお願いしたい。」
「訓練の手伝いは、ウインに直接みてもらったほうがいいと思うよ。」
「そうか、魔の森に行こう。」
「そろそろルナも強くなってきたから、みんなのレベル上げをする方針に変えるぞ。」
「次は全員のトータルレベルを200にしたいよ。」
「うん、次の目標はそれにしよう。今ルナのレベルが130、ベリーが156、エムルが184か。」
エムルだけ高いな。
エムルは最初から強かったのもあるが、魔法による集団殲滅が得意でレベルを上げやすかったのもあるんだろう。
経験値の多いボスは、ルナの安全の為に俺が狩っていたので、もう少しルナが強くなったらボスもルナに狩ってもらおう。
ルナが強くなってきたことで、これからは思いっきり魔物を狩れるようになってくるな。
俺たちは魔の森の北部の魔物狩りを終わらせ、オガの居るキャンプへと向かった。
「オガ、元気にしてたか?」
「ウイン、エムル様もいるだか!」
「オガ、久しぶりだね。」
「早速なんだけど、どんな感じで困ってるか見せてほしい。」
「おらたち3人で100人を連れて魔物を狩ってるけども、人が足りねーだよ。」
残りの二人はレベル30にも届かない斥候と運び屋だった。
「なるほど、教える人の数が足りないってことで良いか?」
「そうだよー。」
「思いついたのが、頑張り屋さんで周りのみんなを助けそうな人を100人ルナに選んでもらって、俺が山に閉じ込めて無理やり魔物と戦わせることだけど、できそうかな?」
教育者が足りないなら、増やせば良い。100人ほどスパルタ特訓をすれば後はオガ達で何とか出来るだろう。
「たくさんの人を一か所に集めて一気に魔眼を使うように出来ればいけると思います。」
「人は集められるよ。」
「それでやってみよう。今回は、俺だけで100人の修業をする。優しそうな人間は居ない方が良いな。」
オガは優しいし、俺一人で厳しくした方が訓練ははかどるだろう。
訓練一日目
ルナが選んだ100人とともに俺は山を登った。
「ウインさん、どこに行くんですか?」
「山の奥だ。」
「ここはどこですか?」
「ディアブロ王国を出たところだ。」
具体的なことは何も言わない。場所がわかると逃げようとして逆に、魔物に殺される危険がある。
「魔物呼び!」
俺はいきなり魔物呼びを使い、魔物と訓練生を戦わせた。
さあ、地獄の始まりだ
「うあああああ!!!」
「ぎゃああ!」
2日目の朝
二人の訓練生が起きられずダウンした。
「今日は厳しいです。」
「なるほど!寝巻のまま戦いたいのか!余裕だな!」
「いや!今日はもう無理なんです!!」
俺は起きられない訓練生を寝巻のまま引きずり出し手訓練場へと向かった。
寝巻の訓練生に武器をほおり投げ、魔物を呼び寄せて戦わせた。
「うあああ!」
「来るなあ!」
訓練生の悲鳴が鳴り響いた。
訓練生全員が気づいた。逆らってはいけないと。
「お前、寝巻のままで戦いたいなんてずいぶんと余裕だな!」
「余裕じゃないです!」
「なんだ、まだ元気じゃないか!寝巻組の二人は居残り決定だな!」
ウインは寝巻組をさらに追い詰めた。
さらに斥候スキルで体力に余裕がありそうなものも強制的に残らせて魔物と戦わせた。
3日目
「もう限界だ!!」
隣の訓練生が小声で注意する。「バカ!教官に聞こえるぞ!」
「お!愚痴が言えるとは余裕だな!今日はお前居残りな。魔物と遊べて良かったな!」
ウインは訓練生が何か言うと、話を聞かずに居残りをさせた。
言い訳をすればするほど訓練を厳しくした。
ウインの前で『はい』以外の言葉を言ってはいけない。
訓練生はこの訓練のルールを理解した。
7日目
訓練生の顔付きが変わってきた。
「ふん!」
「せい!」
「だいぶまともになったな!もっと魔物と遊びたい奴はどんどん規律をみだしていいぞ!」
訓練生は、一切反論せず、黙々と魔物を狩っていた。
1か月後
訓練生の甘えが消えていた。
ウインの斥候スキルで嘘も言い訳も通用しない。
そのことを痛感していたのだ。
ウインの口数も減った。
2か月後
訓練生の動きが兵士を思わせるものになり、ウインを上官のように扱いだした。
「おりゃあ!」
「せい!」
くまの魔物を訓練生があっという間に倒す。
ウインによって訓練の難易度は徐々に上げられ、訓練生のレベルも上がっていった。
3か月後
戻ってきた訓練生は全員兵士のような顔をしており、全員がレベル30を超えていた。
このことによって、ウインに逆らってはいけないという噂が広まることになる。
「はあ!はあ!ウイン、何をやったんだい?ナニをやったんだい?どんな素晴らしい訓練を受けたらみんなの顔つきがあんなに変わるんだい?僕を混ぜてほしかったよ。」
「かわいそうに、ひどい目にあったのよ。」
ベリーが皆を見る。
ルナは憐れんだような目で訓練生を見ていた。
ウインは最後に訓練生を一人ずつ魔王宮殿の応接室に呼び出した。
今は魔王城は使われず、西の町がディアブロ王国の中心地になっているのだ。
「レイ訓練生!!入れ!」
「は!」
まるで兵士のようにきびきびとした動きで部屋に入ってきた。
「今までご苦労だった。厳しい試練を乗り越えたレイなら、立派に活躍してくれる!この武具を受け取ってほしい。」
「これは?」
「作ったんだ。受け取ってほしい。」
「ど、どうしてここまでしてくれるんですか!?」
レイは今までの地獄からは考えられないようなウインの対応に驚いていた。
今まで鬼のように見えたウインがやさしく微笑んでいるのだ。
「さっき言った通りだ。厳しい訓練を乗り越えたレイなら、立派に活躍してくれると思った。だからレイにふさわしいものを身に着けてほしい!」
レイはこらえられなくなり、その場で泣き始める。
ウインはレイを抱きしめ、そして武具を渡した。
涙が出るのは今までの訓練の過酷さの裏返しでもあった。
「よく頑張ったな。」
「あ、ありがとう、、ございまずう、うう、」
こうして訓練生全員にウインの作った武具が配られ、オガの訓練生強化チームは大幅に強化された。
その後ウインは、大型船が停泊出来ないと言われては港を整備し、今度は船がないと言われて船を作った。
「おーし、やっと終わった!もうないよな!無いはずだ!今度は大陸の海沿いの未開地の魔物狩りだ!」
「ウイン!大変よ!今すぐ西の町に来て!」
「どうした?」
「ゴブリンキングがデイブックの港に進行してて、今すぐアーサー王国とディアブロ王国が出兵するみたいなの!」
「今までデイブックではゴブリンキングと小競り合いを続けてただろ?どうして今になって兵を出すことにしたんだ?」
「分からないけど大変みたいなの!今すぐ来て!」
俺とベリーは急いでディアブロ王国の西の町へと向かった。
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