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アロットロールゲイン  作者: 池金啓太
十八話「変わるもの、変わらないもの」

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「一度話をまとめよう。マーカー部隊は混成部隊を標準とする。現段階ではトータス隊、ビーハイブ隊、ラビット隊の三部隊の中から選抜とし、その軸をラビット隊に仮定。そのほかに必要な場合は一時的にマーカーの地位を与えて現地で連携を促す……という形で問題はないか?」


 話が随分それ始めていたことに気付いて進行役を行っていたものが一度話をまとめる。


 全員が全員納得しているということではなさそうだったが、それでも現状、この試験の結果から言えばそういう方向にもっていかざるを得なかった。


「……葛城先生の推薦を受けた者が、そのままマーカーになるというのは……何というか、あの人の人を見る目はさすがというべきだろうか」


「実力面は確かに、大太刀部隊に匹敵するということはわかったが、それでも小太刀部隊だ。機動力があるのも認める。だがそれ以外に何かこう、強みがなくては……」


 ラビット隊に対して否定的な意見ももちろんある。そんな中で、ラビット隊を支持している人間の一人が小さく手を挙げる。


「……試験そのものには関係ないが、これを見てほしい」


 画面に映し出されたのは今回使用した自衛隊の敷地の復旧の光景だった。ビルド隊や製作班がかなり大規模にいじったために、元に戻すのにも当然それなりに時間と手間がかかる。


 かなりの人数が動員されているのだが、その人々の中で、動き回る巨大な機械の姿もあった。


 そしてその近くにはラビット隊の周介や瞳の姿が確認できる。


「……これは……復旧作業か」


「はい。ビルド隊、製作班などが主に行っていますが、この作業にラビット隊も参加しています。参加する必要はなかったのですが、彼らが自ら買って出たようですね」


「……彼らは小太刀部隊だ。こういう残作業も彼らの仕事の内だろう」


「確かにその通りですが、こういう部分があったほうが、一般人受けはいいのでは?」


 マーカー部隊はあくまで一般人にとって受けのいい部隊を作ることが目的の一つだ。ただの特殊部隊というだけでは意味がない。良い意味でマスコットチームになってもらうことが必要不可欠でもある。


 そういう意味ではこういった行動を取れる人物であった方が好ましくはある。


 ラビット隊を軸とするという考えは間違ってはいないのではないかという印象が、評価していた人間の中で広まっていく。


「それと、これも試験と関係のない話だが、試験二日目に例のロボットの試乗会を行っていたようだ。こういうことをできるような人間というのは案外貴重ではある」


 それは二日目の朝に行われたラビットγの最終確認中の光景だった。一人一人コックピットに乗せているのがわかる。


 これはほぼ隠し撮りのような形なのか、映像の解像度はあまり良くないようだったが、それでも周介がこのようなことをやっているということを全員が認識していた。


「装備に関してはさらに力を入れてやらねばならないだろうな。各部隊に関する装備の予算はどうなっているんだ?」


「えー……トータス隊ほぼなし、ビーハイブ隊も同じくほぼなし、ラビット隊だけがかなり使ってますね」


「……あんなものを使ってる時点でそれはそうか……だが発電などでかなり貢献してくれていることを差し引けば……まぁ……」


「とはいえこれから装備をさらに強化していく必要があるでしょう。今までやりくりしてこれだ。今後はマーカー部隊用の専用装備予算を作るべきだろう」


「装備に関しては製作班の管轄だが……少なくともトータス隊、ビーハイブ隊に関しては装備はほとんど必要ないのでは?」


「いや、トータス隊はともかく、ビーハイブ隊は多少装備を持たせたほうがいいでしょう。先ほどの戦闘でもそうでしたが、本人たちの戦闘能力が皆無というのは少々問題です。装備の取り扱いに関しては、訓練してもらうしかないですが」


「ラビット隊はもともと装備が豊富なところがあるが、さらに豊富になるということか……もとよりかなりの数を持っているが……活用はできているのか?」


「えぇと……現在、一般的に使用されている車、ヘリ、飛行機、船、潜水艇、それらを改良する形で作られているため、予算的にはそれほど……うまくやりくりしています。ただ、一番材料と予算を食っているのが、例のロボットです」


 周介たちが使う基本的な個人装備はともかく、周介が操るために作り出された特別製の潜水艇などは古くなり、払い下げになったものを再利用、あるいは廃船となったものを再利用するなどして構築されている。


 言い方を良くすればリサイクルしているということだ。もとより周介たちがよく運搬している廃材なども再利用しているため、材料費的にはかなり安く済んでいる。


 ただ、ラビットシリーズの建造にはそれなりに時間も費用も掛かっているのが事実だ。


 これだけ見れば製造を止めることも考えが及ぶのだが、その話題が出たのはこのマーカー部隊のための会議だった。


「あれは一般人の興味を引くいい的になる。さすがにあれを作るのを止めろとは……もう言えんな」


「張りぼてならばともかく、あれだけ動けるのを見た後では、そうなりますね」


 実際に周介が動かして戦闘をしているところを多くのものが見ている。装備をさらに増やしていけば間違いなく戦力になる。


 さらに言えば戦力だけではなく、宣伝としての効果も望める。今後組織が公的なものになるのに一役買ってくれるだろう。


「……では、方針を詰めるぞ。今後の組織がどうなるか、マーカー部隊は大きな役割を担っている。ここからが正念場だ」


 上層部にとってもこの会議は需要な意味を持っている。それぞれが意気込む中、周介は自分たちがどのような結果になったのかをまだ知らない。


 こうして、周介たちの選抜試験は幕を下ろす。


 今後の世界が変わろうと、周介たちのやること自体はそこまで変わらないのかもしれないが。


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― 新着の感想 ―
[一言] 「さすがにあれを作るのを止めろとは……もう言えんな」 ドク、大歓喜。
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