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アロットロールゲイン  作者: 池金啓太
十六話「その光を辿る先の」

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「ってことは一応戦闘用装備も持っていかなきゃなぁ……潜水用装備と、通常の戦闘用装備二種類持っていくか。言音、運搬は頼んだ」


「了解っす。でもその……能力者がいるってことっすよね?」


「人間かどうかは怪しいけどな。そのあたりどうなんですドク。能力者がその場にいた可能性はあり得るんですか?」


「考えにくいね。台風の時にその近辺で船舶は目撃されていない。ずっと前からその場所に潜伏していたっていうなら別だけど」


「念のため無人島に上陸して、索敵をしっかりして人間かどうかは確認しておきたいな。知与、その辺りは頼めるか?」


「大丈夫です。人間が確認できた場合は即座にお伝えします。その場合は……戦闘になるでしょうか?」


 いきなり即戦闘という形はとりたくない周介ではあったが、無人島にいて、なおかつ能力の発動らしき光景が確認できたという意味ではその場に人間がいた場合能力者である可能性が非常に高い。


 会敵即戦闘となる可能性も当然ある。だがだからと言っていきなり攻撃を仕掛けるということはしたくはない。何せ可能性が限りなく低いとはいえ、漂流して無我夢中で能力を発動したという可能性もあるのだ。


「人間が確認できた場合、いったん潜水艦を一定の距離まで離脱させてから再度上陸して行動開始。まずは会話を試みる。相手が攻撃をしてきた場合は反撃。制圧する。その時の前衛は猛、任せるぞ」


 人間が無人島にいた場合、大規模な戦闘行動を行っても問題はないだろう。周りの被害を気にしなくてもいいというのはこういう時にはありがたい。


 猛のように強力な能力を持ち合わせている者にとっては、特に全力を発揮することのできる数少ない機会だ。


「あいよ。今度こそ仕留めてやる」


 戦える可能性があるとわかったことで、猛は笑い、だがその笑みを一瞬で消して真剣な表情を作る。


 先日の台風の時には、戦えるだけの環境があり、なおかつ攻撃する機会を与えられたにもかかわらず仕留め損ねたのだ。次はない。それは猛も肝に銘じているところでもある。


「殺すなよ?必ず生かす事。骨を折るくらいは問題ないけど絶対に殺すな」


「了解大将」


「言音、対人用の制圧装備も頼む。非殺傷武器中心でな」


「了解っす。実弾は……どうしますか?」


「……各員の要望に従って装備はもっていく。実弾が必要だと思うものは言音に言っておけ。俺は……一応持っていく」


 それは周介の隊長としての義務感からくるものでもあった。万が一、隊員と相手の人間の命どちらかを選択されるような場面になった時、周介は引き金を引かなければならない。


 それは周介が散々、覚悟をしなければならないと言い聞かせてきたことだ。この間も、撃って当たっただけで、体に震えが走った。まだ周介は覚悟ができていない。人を殺すという覚悟が。


「で、人間だった場合の対応は良いとして……人以外だったら?動物とかだったら?」


「……ドク、その無人島には人はいないんですよね?」


「いないね。少なくとももう何十年も人は住んでいないはずだ。時折潮屋たちが植生の調査とかで軽く見て回ってるみたいだからそこは間違いないと思うよ」


「人が住んでいない場所にいる能力を保有した動物の場合、組織としての対応は?」


 周介の脳裏には、クエスト隊に所属することになったインコのノーンのことが思い出されていた。


 あれもまた能力を保有してしまった動物である。能力を保有した動物は基本的には危険だ。可能であれば、即座に殺処分することが好ましい。


 周りの人間に危害を及ぼす可能性もある。能力を使って何かをしだす可能性もある。能力の存在を露見する可能性を考えれば、殺処分になるのが基本だ。


 その考えに、周介としてはあまり納得はできていない。人間の都合で動物を殺すという考えにはどうしても馴染めない。


「基本的には、殺処分だね。この間のノーンは例外中の例外だ。そして海洋プラントに保管されているあれもね。海の底ならまだしも今回は島だ。人が入り込む可能性は十分にある。可能な限り、処分してほしい」


「その能力が組織の役に立つ者であった場合は?」


「その都度判断するって感じだね。君たちがその分、危険な目に遭うかもしれないんだよ?未知の能力に晒されるってことなんだから」


 ドクは困ったような表情を浮かべている。周介は少し目をつぶってから拳を強く握る。


「隊長はあんたなんだから、あんたが決めればいいじゃん。あたしらはそれに従うだけでしょ?我儘はいつもの事じゃん」


 周介の方を向くこともなく、瞳がそういうのに、周介は眉をひそめて抗議せずにはいられなかった。


「我儘って……そんなつもりは」


「そうっすよ兄貴。とりあえずあの鳥みたいに捕まえてみりゃいいじゃないっすか。あとは乾さんに頼んでみるのもいいでしょうし、やってみるだけやってみましょうや」


 気楽に言ってくれるものだと、周介は苦笑する。あの時から一緒にいた二人は、もはや慣れたものだと考えているようだった。


 能力を持つ生物。危険ではあるが罪があるわけではない。可能な限り、その命を全うしてほしいと、そう思ってしまう周介だからこそ、瞳たちは周介を隊長だと認めてもいるのである。


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