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アロットロールゲイン  作者: 池金啓太
十六話「その光を辿る先の」

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「なんじゃこりゃ。随分と混んでるな」


 猛は大学の出し物が一通り済んだ後、周介たちの高校の出し物を見るためにやってきていた。


 一年三組、周介の所属するクラスの出し物だけでも見て、あとは適当にぶらつく予定だったのだが、今一年三組の教室の前は妙に人が多かった。


 並んでいるのもそうだが写真を撮っている者も多くいる。あとは、妙に携帯を見て話し合っているものが多いというところだろうか。


 他のクラスもそのおこぼれにあずかるように客足を伸ばしているように見える。なんにせよ、周介の所属する一年三組が妙に盛況であるというのは事実のようだった。


 やっているのは、コスプレをして写真を撮る『コスプレ写真館』なるものだった。店側ではなく、客側がコスプレをすることができ、その写真を撮ることができるのだという。


 回転率は悪くはない。客の着替えるスペースをかなり無理矢理増量しているためか、教室内はかなり狭くなっている印象を受けるが、人の移動するスペース、コスプレ衣装を見るスペースは十分に確保されているようだった。


「っと、大将は……いないか……」


 扉の隙間から教室の中を窺うが


「お客さんですか!?すいません、並んでもらえますか?あっちの方が最後尾で」


「あぁ、すまん。このクラスに知り合いがいるもんで挨拶だけとでも思ったんだけど、いないみたいだ」


「知り合い?あぁご家族の方、です?」


「あぁいや、ちょっとした知り合いってだけだ。他にも何人かいるんで、見て回ってるだけだよ。邪魔したな」


 猛はそう言い残して別の場所に移動していく。少なくとも、今世話になっているラビット隊の面々に挨拶程度はしていくつもりだったため、その一歩目から躓いてしまうことに自分の運のなさを感じていた。


 校舎の窓から外を見れば、あちこちに立ち並ぶ屋台や、自分たちの出し物を見てもらおうと呼び込みをしているものが目立つ。その多くがこの写真館の中にあるようなコスプレをしている者だ。


 軍服、執事、メイドにお嬢様、チアリーダーに看護師の格好までより取り見取り。一瞬そういう店に来たのではないかと錯覚してしまうほどである。


 少し前、数年前に自分もいた校舎を懐かしみながら歩いていると、何人か見知った顔とすれ違う。


「お?宇佐美じゃないか?」


「ありゃ先生。お久しぶりっす」


 当然、そういう人に会えば話も弾む。担任や世話になった教師と会えば、ちょっとした雑談なんてこともしてしまう。


 懐かしさ、そんな感傷に浸るつもりは毛頭なかったのだが、数年前でも覚えていてくれると嬉しいものだった。


 今は大学に行っている事。そして将来の仕事は何にするつもりか。そんな話を知り合いの教師と何度もする間に、時間は思ったよりも進んでしまっていた。


「あ、宇佐美さんだ。ちーっす」


 教師との話が終わった時、話しかけてきたのは福島だった。近くには手越と十文字の姿もある。


 見知った顔がやってきたことに、猛は少し安心してしまっていた。


「大学の方は良いんですか?あっちはこっちよりも派手だって聞きましたよ?」


「金がかかってるからな。その分いろいろできるってだけだ。こっちも結構派手になってるじゃねえの」


「まぁ、バックアップがあればそれなりにやれるってことでしょうよ。今年は特になんか派手って感じしてますけど」


 バックアップ。それがどういう意味をしているのか、猛は何となく予想していた。


 この学校は組織の支援も受けている。そしてその組織の支援をしている人物がいる。そして、その娘が今ちょうどこの学校に通っている。


 そこから繋がりを辿れば、そういう風に考えても仕方がないだろう。


「ま、その辺りはあまり突っついても仕方ねえわな。あぁそうだ。悪いけどよ、うちの大将知らねえか?挨拶だけでもと思ったんだけどよ、クラスにはいなかったんだよ」


「大将?ってあぁ百枝の事ですか。百枝は……今はちょっと……」


「あぁ、あれじゃわからねえだろうな」


「むしろあれで気付ける人の方が少数でしょ。俺らはヒントがあったからまだわかったけどさ」


 三人は苦笑しながらどうしようもないだろうと話し合う。猛からすればいったい何が起きているのかもわからなかったが、周介が妙なことになっているということだけは察することができた。


「なんだよ、大将は今かくれんぼでもやってるってのか?」


「あぁ、確かにかくれんぼかもしれないですね。あれを見つけられたら、飯でも奢りましょうか?」


「あ、いいねそれ。俺見つけられない方に賭けるわ。ありゃ無理だ。向こうから見つけてもらえない限り見つけられねえよ」


「なら、百枝と関係者にはメール送っておくよ。これから宇佐美さんが探しに行く。見つからないようにしてくれれば、ご飯奢るって」


「おいおい、勝手に話進めんなよ。そんなに隠れるの上手いのか?」


「今日の十七時まで……あと一時間半。見つけられたら俺らが奢ります。見つけられなければ、宇佐美さんのおごりでどっか飯ってことで。どうです?」


 挑発的な三人の顔に、猛は笑う。


「舐めんなよ?これでも一応は同じ部隊だ。見つけ出してやろうじゃねえの」


 三人全員がタイマーをセットし、周介を探す時間を定める。二日目の今日、周介を探し出せるか否か。勝手に話を進められた周介も、最初は苦笑していたが、了承のメールを全員に返していた。


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