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アロットロールゲイン  作者: 池金啓太
十六話「その光を辿る先の」

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「っていうか、白部が面白い格好してるって聞いたって言ってたな。誰から聞いた?」


 三人の笑いが収まったところで周介は先ほど手越が言っていた言葉が気になってしまっていた。


 まるで誰かから白部の事を聞いたようだったからである。一見してこの格好の少女が白部であると気付くことはできないはずだ。


「え?鬼怒川先輩だよ。あの人爆笑しながら教えてくれたぞ」


「……あの野郎……!」


 鬼怒川は周介がコスプレをしてるところは話さないという約束はした。だが白部に関しては何も約束はしていない。


 約束を破っているわけではないとはいえあまりにも酷い。あとで絶対に仕返しをしてやろうと周介は心に決めていた。


「あー笑った。やばいここ数年で一番笑ったかもしれねえわ。やばいぞお前それ。似合いすぎだろ。マジで女子じゃん」


「百枝……じゃない、ももちゃんすごいよ。ぱっと見全然わからない」


「そりゃどうも。お前らこんだけ笑ったんだからうちのクラスの見世物に来いよ。金落としてけ」


「おーいいぞいいぞ!面白そうだし。あれだろ?コスプレして写真撮ってくれるってことだろ?」


「いいね、あとで写真見せてやるよ!」


「この後はどうするの?また校内を見て回るの?」


「仕事だからな。とりあえず一通り回るつもり。お嬢様もいることだし?」


「お嬢様とか、言わないでよ」


 白部はお嬢様と言われて少し複雑な顔をしている。恥ずかしいのか、それとも嬉しいのか、普段と違いすぎるその表情からは彼女の感情を読み取ることはできなかった。


「んじゃまたな。人がいる場所なら正門から体育館にかけてのルートがいいぞ。あのあたりメジャーな屋台結構あるし」


「頑張れよももちゃん!まいちゃん!」


「頑張ってね。あ、ついでにポーズして?写真撮ってあげるから」


 あとで殴っても文句は言われないよなと思いながら、周介と白部はどのようなポーズがいいものかと考えてから普通に並び立つポーズと、スカートをわずかに上げて会釈するポーズをして見せた。


 他にもいくつかポーズをしたものの、その度に三人が爆笑したのでとっとと行くように蹴りを食らわせたのはまた別の話だ。


「畜生思い切り笑われたな。もう喋るなとかどうでもよくなってきた」


「いいの?女装してるってばれるけど」


「ここまで来たらもうなりきってやるよ。まぁ喋りまくる必要はないだろうけど、最低限喋るくらいならいいだろ。こんなもん楽しんだもん勝ちだ」


 周介はもう完全に開き直っていた。この場であの三人に出会えたのはむしろ良かったかもしれない。


 あのまま不貞腐れながら歩くより、楽しんだほうがよほど文化祭としては良いものになると確信できる。


 つまらなそうにするよりは、楽しそうにしたほうが祭りらしいというものだ。


「まいお嬢様も、こういう時は楽しんだほうがいい。おしとやかに魅了してやろう」


「……おしとやかっていうのがよくわからないけど、静かにしてればいいのなら楽だし。じゃあ……もも?メイドとしてお世話してね」


「あぁそうか、世話しなきゃいけないのか。かしこまりましたお嬢様」


 自分の胸に手を添えながらゆっくりと礼をする周介の姿は、メイドのようにも、執事のようにも見えたことだろう。


 通りがかりの生徒がそんな周介たちをカメラで撮っているのを見かけて、周介と白部は即座に看板を構えてポーズをとっていた。


「ほれ、お嬢様勧誘。俺大きな声出せないから」


「こ、コスプレ写真館!一年三組でやって、ます!コスプレして写真を撮ってみませんか!」


「いいよお嬢様、すごくいいよその恥じらい。もっと前面に出していこう」


 恥ずかしがりながらも白部が宣伝をしながらカメラに向かってポーズをとっているのを見て周介が白部の顔の近くでささやくように指示していると、白部はヒールのかかと部分で周介のつま先を踏みつける。


 思わず悲鳴が出そうになるのを必死にこらえ、周介と白部は再び素知らぬ顔をしながら人の多い場所に向かうことにした。


「やっぱももは変態。あぁいうこと平気で言うし」


「いや、俺は別に変態じゃなくてだな、あぁいうことを話すのが好きってだけで」


「現に今もノリノリで女装してるし。もともとそういう趣味があったんじゃないの?」


「冗談。俺はこういうのは勘弁だ。可愛い格好してるやつを見るのは好きなんだけどな。俺自身は格好いい方が好きだ」


 完全にメイド服を着こなし、歩く姿もかなり様になっている周介を見て白部は本当だろうかと懐疑的な視線を向ける。


 既に周介は女性らしいふるまいをかなり身につけつつある。普段瞳の操る人形や、瞳自身などから女性らしいふるまいや仕草を見ているためか、順応は早かった。


 声さえ出さなければ、今の周介は女性のようにしか見えないだろう。少なくとも少し目を離しただけで、目の前にいる周介が男だということを近くにいる白部でさえ忘れてしまいそうになるほどだ。


「お、すげー。コスプレだ」


「ほんとだ!可愛い!」


 男子も女子も関わらず、周介と白部がやってくるとそのコスプレの完成度の高さに感動したのか、少しだけ遠巻きにカメラを構えていた。


 そんなカメラを前に、周介と白部は互いに顔を見合わせた後で息を合わせたようにポーズをとる。当然、所属する一年三組の出し物の宣伝も忘れずに。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 鬼怒川先輩の性格が性悪過ぎる…… 自分だけが楽しければそれでいい。という性格が余りにも行き過ぎている感じがします
[気になる点] 鬼怒川の人の事を考えず自分が楽しければいいという行動によりドットノッカーなどの敵対勢力よりも嫌いになってきた。 あんな自分勝手な人に良く普通に周りが接していると思う。
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