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定期試験。それは周介たちのような学生にとってはかなりの意味を持つ言葉だ。
限られた時間の中で正しい問いを求め続ける。といえば少々格好良く見えるかもしれないが、結局のところ自分がどれだけ勉強ができているかを示す指標でしかない。正確に言えば、学校側から提示されるであろう問題を予測し、与えられた問題に対する対応能力を見る場、というべきだろう。
故に、勉強が徹底的に苦手な学生でも、学校側から提示される問題が予測できているのであれば、高い評価を得られる可能性がある。
予想ができないものは満遍なく基礎を押さえ、応用問題を理解したうえで臨む。そうすることで高い対応能力を得る。
これは社会に出る前に、学生として学校側から与えられる、一種の試練のようなものだ。
とはいえ、学生側からすれば苦痛でしかない。
試験の結果が出なければ様々な不利益を被るのだ。たとえそれが自分のせいであったとしても。
周介の通う粋雲高校は進学校だ。当然大学への進学を前提にしている。
高校一年の段階から成績を上げておけば、推薦などを得ることもできるため学業に燃えている生徒も多い。
一方で部活などに精を出している学生は、スポーツ推薦など、部活動の結果如何によっては別の道も開かれるため最初からそちらに絞っている生徒もいるだろう。だがもともとこの学校に入学できる程度の学力を有している生徒だ。基礎のレベルが高いため、中学から上がったばかりの状態ではあまり差は出ないだろう。
最も差が出るのは中等部からのエスカレート組と、周介のように特殊な方法で入学してきた生徒だ。
正規の手段で入学していない周介は、学力という面では他の生徒たちに比べかなり遅れてしまっている。
毎日のように瞳に教えられ、少しずつましになっているとはいえ勉強というのは一朝一夕で結果が出るようなものではない。
この定期試験において、周介の今の位置が正確に出るのは間違いないだろう。
五大科目の国語、数学、理科、社会、英語。国語に関しては現国、古典、理科に関しては物理、化学、生物、社会に関しては公民現代社会、歴史、地理という形で別れている。
それに加え、保健体育、音楽、美術、家庭科、情報学などの科目も入ってくるため、一週間ずっとテストだったとしても一日最低でも三科目はテストがあることになる。
周介たちの学校は四日間テストがあり、一日四科目を行い、その時だけは午前中で終わるというテスト期間になる。
当然だがそのテスト期間の一週間前から部活動は休止となる。
「そこまで、これで定期テストはすべて終了となる。ほらシャーペン置け、今更変わらないから。さっさと後ろから回収しろ」
チャイムが鳴ると同時に、教師が手を叩いて全員の答案を回答させていく。当然生徒たちからは大きなため息と同時に、ようやくテストが終わったという開放感と、自らの出来栄えに絶望しているからか阿鼻叫喚とした声が上がっている。
「終わった……終わった……」
そんな中で絶望した声を出しているのは周介だった。当然今回のテストの出来はあまり良くはなかった。
瞳や他のクラスメイト達から出題の癖などを教えてもらったため、基礎と点数が取れる部分は押さえていたのだが、それでもやはり基礎力が足りな過ぎた。
受験勉強からも比較的勉強はしてきた方だったが、まだまだ基礎力が圧倒的に足りていない。中学からの延長線のはずなのにこれほど手ごたえを感じないテストも珍しいと、周介は机に突っ伏してしまっていた。
「おい百枝大丈夫か?」
「これが大丈夫に見えるか。ボロボロだよ。畜生、この学校のテスト舐めてた……お前らは?」
「俺らはそこまで。まぁ難しいことは難しかったけどな。でもようやく終わった!これで部活できる!」
「俺は今日は帰って遊びたい。ゲームやりたくて仕方がねえ。百枝はどうすんだ?」
「俺も今日は帰ってゲームとかやって頭を休ませる。知恵熱でそうだ」
周介は机に突っ伏して唸り声をあげている。せっかく学校のテストが終わったというのに爽快感は欠片も存在しなかった。
ホームルームの後クラスメイト達が意気揚々と帰っていく中、周介は少しの間ぼーっとしていた。
そんな中、近くを通り過ぎる形で白部が小さくつぶやく。
「ちょっと時間くれる?例の施設の話で」
その言葉に、周介は目を細める。まだ頭を休ませるわけにはいかないようだと、内心ため息をつきながら大きく伸びをする。
「……わかった。場所は?」
「ちょうどいいし、学食で」
「人が多くて話なんてできないだろ?」
「周りの人の話なんて聞いてないだろうし、ゲームの話だと思わせればいいから。とにかくきて」
「……了解。どうする?うちのチームも呼ぶか?」」
「まだいい。とりあえず情報共有だけだから」
「わかった。飯代くらい出すか?」
「万年金欠でしょ?気にしなくていいから」
情報収集が得意な相手だとこういう時につらいなと周介は苦笑してしまう。とりあえず、白部とともに学食に向かうことにしていた。




