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アロットロールゲイン  作者: 池金啓太
七話「山と大和の名残」

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 調査。周介たちがどのような調査活動ができるのだろうか。そんなことを考えた時、知与の存在を思い出す。


 彼女の索敵能力はそれなり以上に高いことは現時点でもわかっている。そうなるとそれを確かめるために、あるいはその実力のほどを確かめるために参加させようとしているのではないかという点だ。


「知与の実力を測るために候補に入れてるってことか?」


「私としては別の方だと思ってる。山岳地帯で登山道もないような場所だから単純に現地までの移動をメインにしているんじゃないかと思ってる。ちょうどヘリでの移動ができるようになったし?」


「できるようになったって言ってもまだ万全じゃないんだけどな……山岳地帯とか怖いんだけど」


 適切な高度を取らなければ山岳地帯では常に墜落の危険が付きまとう。特に誰かを降ろすとなればかなり高度を下げる必要も出てくる。


 周介としては可能な限り山岳地帯は避けるか、高高度による飛行を推奨したいところではあるが、現地が山岳地帯ともなればそういうわけにもいかないだろう。


「あとは……気になることもある。調査と同じだと思うんだけど」


「何?なんかあんの?」


「調査って言う名目だけど、どういうわけか、大太刀部隊にも出動準備がかけられてるっぽい」


 大太刀部隊の出動準備という言葉に周介は僅かに眉を顰める。大太刀部隊は戦闘専門の部隊だ。そんな部隊の人間が出動要請をかけられているというのは穏やかな話ではない。


 なにか理由があると考えるのが自然だ。具体的には敵の存在を匂わせる何かがその場所にあるということになる。


「それは、どの部隊が?」


「まだわからない。選定段階で、しかも一つの部隊を丸々派遣って感じじゃない。各部隊からそれぞれ選抜して……って感じ。普段の動かし方じゃない。何かあるとみるべき」


 周介に部隊選定の基準というものはよくわからない。ある程度状況に応じて適切な能力を持つ人間、あるいはチームを選抜するのが基準であるということはわかる。


 だがそれはあくまで事前準備ができる依頼に関しての話だ。


 急を要する場合であれば現地に近かったり、現場に行くことができたりといった、行き当たりばったりな配置をすることもある。


 とはいえ、今回の場合であれば計画が練られているということは少なくとも事前準備ができるパターン、つまり適切な能力を持ったものが抜擢される可能性が高い。


「戦闘を想定した配置をされるって可能性が高いってわけか。いや、俺らが移動専門の配置になるなら戦闘はないのか?」


「そういう可能性もあるけど、私だったら、まず相手の移動手段とかを潰しにかかる。足を潰すのは基本」


「だよなぁ……間違いなく狙われるよなぁ……ドクに装備をちょっと整えてもらうように頼まないと」


 周介たちの装備は戦闘用のものではない。だが最低限の戦闘が行えるようにカスタマイズはできる。


 そういった、機動力重視でありながら戦闘も可能になるという意味で、周介達の装備は随時改良が施されている。


 パーツの付け替えなども含め、常に変化しているためある程度の状況には対応可能だ。だがそれもある程度でしかない。本職の戦闘部隊が出張るような状況下でどこまで対応できるかは周介たち次第ということになってくる。


「白部、その施設?の情報と出張る大太刀部隊の情報が分かったら教えてくれるか?それによって状況が多少は見えてくるかもしれないし」


「了解。でもあんまり期待しないで。今回の動きは……ん……」


「ん?どうした?」


 白部は何か考えるようなそぶりをして目を細める。何か思い当たる点があったのか、それとも何かに気付いたのか、一瞬目を伏せてから周介の方に視線を向ける。


 一体どうしたのだろうかと周介が疑問符を飛ばしていると、白部は小さくため息をついてから首を横に振る。


「何でもない。とにかく情報があったら流すから。そっちもそっちで情報を聞いたりして見て。大太刀部隊に知り合いは……あまりいないかもだけど」


「うん、大門さんとか古守さんとか、あとは鬼怒川先輩くらいしか……あとは福島と十文字か」


 周介の周りにいる大太刀部隊は限られる。そもそも周介自身が大太刀部隊ではないのだから無理のない話だ。


 時折訓練をするにせよ、関わっている人間以外とはそこまで話をしない。時折運搬などで受け取りなどの際に話をしたりもするがその程度だ。我ながら情報収集能力が低いなと、少し情けなくもなってしまう。


「ただ、話をしすぎるのもよくない。噂って結構バカにならない。話をしすぎると、口の軽い奴って思われることもある」


「ん……それもそうだな。とりあえずチームメイトには話して……あとはどうするかな……ドクあたりに問い詰めてみるか」


「それがいいと思う。実際あの人が関わってるのは間違いないから。悪い意味でだけど」


 悪い意味というのがどういう意味なのか周介には分らなかったが、ドクが関わってあまりいい意味であることの方が少ないのでは、と思ってしまう。


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