1級メレピーの大群
第22話
導入
ナークが人型1デルトプペフと交戦を続け、度重なる大量のプラズマ弾の攻撃で疲弊しつつあった。
足止めを喰らいながらも、ナークは確かに敵に近づき、ヒュラたちのいる方へと向かっていた。
デルトプペフ「しつこいな」
ナークが横へ飛ぶ。
直後、数十発のプラズマ弾が地面を穿った。
轟音。
土砂が舞い上がる。
ナークは煙の中を駆け抜け、針状に形成したフィールドを一斉に放つ。
しかし、デルトが手を振る。
電磁場が歪む。
針の軌道が僅かに逸れ、プペフの周囲を掠めて地面へ突き刺さった。
「まだ届かないか……!」
ナークは歯を食いしばる。
それでも、少しずつ距離を詰めていた。
敵を倒せなくてもいい。
ヒュラたちのいる地点へ近づく。
それだけが今の目的だった。
一方、ヒュラたちの部隊は、明らかに限界へ近づいていた。
マラルが肩で息をする。限界に近づきつつあった。
「……後、何分耐えればいいんだ?」
クラルが戦場全体を見渡した。
山場1
クラル
「後35分は耐えなければ。それに、後5分もすれば1級メレピーが300体攻めてくる。
22名の隊員のうち、8人は負傷している。9人いたB級隊員も3人が離脱、2人が負傷している。
無傷の14人は我々の隊の6人と、B級4人、新人でC級上位の4人。1級メレピー300体を倒す事は到底敵わない」
一体のスコーピアが跳躍した。
ヒュラが反射的に前へ出る。
剣を振る。
スコーピアの鋭い腕がヒュラの頬を掠めた。
ヒュラは身体を沈め、懐へ潜り込む。
一閃。
胸部を斜めに切断。
しかしスコーピアは倒れない。
ヒュラは二撃目を叩き込み、コアを縦に切り裂いた。
「一体……!」
直後、背後から別のスコーピア。
ヒュラは振り返る。
間に合わない。
その瞬間、クラルのフィールドがスコーピアの腕を弾き飛ばした。
「前だけを見るな」
ヒュラの記憶の断片が蘇る。
誰かの後ろ姿がクラルと重なる。
以前も同様にして誰かが助けてくれたような。
デジャブに似た感覚だった。
「……ありがとう!」
ヒュラはそのまま回転し、スコーピアの腹部を横薙ぎに切り裂いた。
コアが露出する。
そこへ蹴りを叩き込み、距離を取る。
「一体ずつ確実に!」
だが、倒した二体の向こうから、さらに十体以上が現れる。
ネラ
「さっきまで乱雑に戦闘していたメレピーと違い、明らかに計画的にこちら側を殲滅しに攻めに出ている。人型も本部が確認してるだけで18人いるが、それだけとも限らない」
ヒル
「悪いが、人型に構ってられる余裕なんてない」
ヒル
「考える余裕すらない」
アピソを射撃する。
「1級メレピーは、俺たちでは5分持ち堪えられれば上出来だ。
ナークが人型との戦闘に耐えると期待して新たな合流地へ逃げ込むのが妥当だ」
ヒュラがスコーピアを切り裂きながら言う。
「サマンダーのステルスとヒルの超予測があれば15分は耐えられるんじゃないか。
ネラとアレンの電磁気技の連携で敵を撹乱して引き付け、僕とクラルとケラでとどめを刺しに行く。
その他の隊員は知らんが、僕たちが先陣を切って敵をばらけさせ、あとはB級を中心に他のC級隊員で連携して散らばったメレピーを倒せばいいじゃないのか?」
山場2
ケラがアンテを蹴り付けながら言う。
「私たちの実力で300体の1級メレピーにそれが通用すると思う?
2級メレピーでも、ここの隊員全員が無傷で初めてうまく行くかもしれないような作戦だわ」
クラルがスコーピアを切り裂きながら言う。
「だがヒュラの言う通り、こちら側にも策を打つ手立てはある。
それに、わずかでも勝算はある以上、ただ逃げ切って耐え凌ぐより、一か八か攻めに出る方が得策だろう」
ネラ
「僕も似たような事は考えていた。
ただ、前戦に出る者を、中長距離で後方支援する者が必要だ。
それと、各戦闘ポジションで互いの戦闘力を補い合いながら戦闘できる事と、敵が狙い通り分散する必要もある」
ネラがアンテを射撃する。
コアを的確に打ち抜いた。
ネラ
「数では敵に利がある。
こちらの連携が通るような、僕らに都合の良い経路や合流地設定もしておいた方がいい。
少なくとも、僕らが互いにあまり分散しない動きを取りながらでも、敵をある程度は引き離して、その流れを誘導できる事がこの作戦の前提条件になる」
戦争開始から30分後まで
引き
マラル
「俺がおとりになって全員の逃走経路と合流に必要な時間を確保する」
アレン
「お前、何を」
マラル
「別に理にかなってるだろ」
ネラ
「僕たちに時間はあまり残されていない。
マラル、もし本当にその気でないなら、その役割は僕にも代わりが果たせる」
マラル
「お前じゃ火力と中距離多方面への攻撃力に欠けるだろ。
遠距離攻撃可能で戦況見極めができる電磁系能力者のネラがアレン、クラルと共に万全の状態で戦場に残る事を天秤にかけりゃ、俺がいっちょ大爆発かまして全員生かして離脱するのが得策だ。
そのくらいは俺でもわかる」
マラルが爆弾を作り、辺りのクローを一掃する。
隔系の第二世代能力者のマラルの爆発力の火力は圧倒的な破壊力を持っていた。




