デルト・プペフ
第20話
導入
サマンダー
「機械でプログラムした汎用型のメレピーの性能で、1級を超える戦闘兵を作る事は不可能なはずでしょ」
デルト
「甘ったれたウラニス7の諸君にいい事を教えてあげよう。
メレピーの中にも、我々のような民が使用するステレオに似た状況把握制御処理装置を、組み込む事ができるように改造された特殊なものがいる。
言ってみれば、こいつらは、規格外。
この雲型、クラッドもな!」
ナーク
「なんだと?」
デルト
「規格外メレピーは、ただの機械的なアルゴリズムにとどまらない自律的な知能を備えている。高度な戦闘用特化システムに基づき、戦闘時のあらゆる機能の大幅な性能向上を実現している」
マラルが合流したアレンに聞く。
この時マラルは、右腕を損傷していた。
マラル
「つまりどういう事だ?」
アレン
「要するに、俺たちが使う武装ツールみたいに媒覚強化機能を持った情報処理用の人工知能みたいなもんを組み合わせてるんだろう。
元々の怪物人形兵にそれらを追加で搭載させてる、ってとこだな」
山場1
クラル
「もし奴の言う通りなら、並の戦闘員では勝てない。
そもそもメレピーは戦闘用に特化して作られた兵器だから、我々が武装しても、威力や速度などは、不利にならざるを得ない。
メレピーは汎用で、基本は、行動パターンと弱点が明確にわかりやすく、知能と技の工夫次第で容易に対処可能。
だが、規格外の奴らは、それを補うような特殊なメレピーということになる。そんな奴らと真正面から戦うとなると、うまく立ち回れない限りは、原理的に勝利する事はできない」
ナークが機能停止間近のクラッドと最後の攻防を繰り返していた。
ヒュラがデルトに異議を唱える。
「他のメレピーより強いだけで、ただのメレピーだろ?
このでかい図体した汚い雲も、所詮、マイナス準1級の域を超えられないんだろう?」
デルト
「間抜けが。
あまりの強さに怖気付いて虚勢でも張ってるのか、それとも本当にこいつの恐ろしさを理解できていないだけなのか。
まあいい。お前ら全員すぐに消してやる」
ネラがヒュラを驚いた眼差しで見つめる。
「あの雲型が他のメレピーと同じだと言いたいのか?」
ヒュラ
「ああ。ナークがそろそろクラッドを打ちのめすだろう。
今回は初対戦で隙をつかれたが、データが揃って、対策さえできれば結局は他のメレピーと同じだろ。
ただちょっと強いだけだ」
ヒュラがこう言ったすぐ後に、ナークが超高速で普通の剣にフィールドを纏わせてクラッドのコアを真っ二つにし、とどめを指した。
ナーク
「ヒュラの言う通り、ある程度戦い慣れてるなら、このクラッドとかいうのも、他のメレピーと全くの別物ってわけではない。
ちょっと強いだけ、だと言えば、確かにそうだけど。
ヒュラは手厳しいな。
今回はいろいろ失敗したが、もう次はヘマしない」
山場2
開始27分時点
ナークは左腕の肘上を失い、腹と太ももに計6個の数ミリ程度の浅めの穴、右半身は半焦げ状態で、右足は切り傷が3本走っている。
開始20分後に残っていた34名、負傷者2名は、この時点で23名、負傷者9名になっていた。
ナークが直接率いるヒュラの隊は、全員無事で、ナーク、マラル、ヒル、サマンダー以外は無傷であった。
巨大ゲート発生により、クラッドを含む総勢10000のメレピーに侵入されたバリリオンズ所属のナーク率いる北東部4部隊。
ナークは、約30分の間その場に踏ん張ってできる限り戦力を温存するような方針で動いていた。
しかし、23分30秒時点でクラッドが総攻撃を開始し、攻勢に出たため、ナークが大幅に消耗して多くの傷を負った。
そして、隊員に手が回らなくなってしまった3分半の内に、8名が離脱、8名が負傷した。
ナークを除く22人の隊員は半径100m以内の円内に集まっていた。
そしてナークは円の中心から2.5km北北東に離れた地点にいた。
なお、人型はそのほぼ中間地点にいた。
ルーク
「ナーク。戦況報告を頼む。あの雲型を倒したのはナークか?
そこに人型がいると思うんだが、どうなっている?」
ナークはルークに状況を説明した。
ルーク
「へえ、マイナス準1級か。おもしろい。
こっちもメレピーの改造とかはやってるけど、そこまで強引に戦闘力を引き上げるような事はやってこなかったな」
ナーク
「奴らの戦闘データはどのくらい収集できましたか?」
ルーク
「どうやら総勢100,000体ほどのメレピーが戦線に動員されてる。
人型は、現在18人確認したが、うち3人はあんまり手応えがなかったらしく、B級上位程度らしい。
上位って言っても50〜100位くらいだよ」
ナーク
「中央はどうなっていますか?」
ルーク
「開始時点では、3人いたS級と、16人いたA級は、真ん中にいる10人のハドラリアーと、A級隊員たちを主に外側から取り囲む準一級または一級程度のメレピーと戦っていた」
「今は、5分ほど前にS級が1人離脱して、2,3分前に1人動員されてS級が3人ほぼ無傷。ハドラリアーは、人型が真ん中では3人増えて1人減ったから12人。そのうちの半数は手負いなんだが傷は浅い」
ナーク
「人型はどうですか?」
ルーク
「南部に2人現れたが、B級上位レベルで、ゲンマの部隊率いるB級大勢がほぼ無傷で倒した。
今ゲンマは中央に合流する手前だ。
南西部に現れた1人は相当やり手なんだが、ギークの隊の強者が複数で相手してて、かなり消耗させてるところにゲンマの陣営の一部が中央側の後方から挟み込んでる。
君のところに2人出現しているんだが、1人が出現した時点でS級隊員をそちらに送った」
ナーク
「メレピーの分布は………」
引き
ルーク
「ゲンマの陣営がメレピーを5000体以上、1級クラスの奴らを1000体以上倒してくれてる。
ギークの方も全部で3000体以上、君たちのところは2000体に届く手前だな。総勢100,000体のメレピーの1割を削れたところだ。
ただ、1級を超えるメレピーは君のところでしか報告されていない。
今そっちに中央から1級300体くらいがまとまって来ている」
1級300体くらいが向かっている方角は、ナークの陣営の隊員たちが集まっている方だった。
クラルとネラは、この時、敵の狙いが何であるのかわかって、ナークにこう伝えた。
「奴らの狙いはナークを孤立させる事だ。
ナークを足止めして倒しに行き、その間に他の隊員を殲滅するつもりだ!」
デルトは、0級メレピーのネバナを3体率いてナークにプラズマ弾を5発放った。




