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ウラニス戦記  作者: 7s9
第3章 第Ⅲ次戦

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策略

第28話




導入

ヒュラ

「ヒルっ?おい、ヒル?!」

クラルが我に返った。


ヒュラ

「ヒル、お前、戦闘離脱までどのくらい猶予ある?

超予測と予知は効くか?」


ヒル

「悪いが、俺はもう戦える状況じゃない。

見ればわかるだろうけど」


クラル

「君の超予測は君だけの問題じゃない。メレピン体なら、中枢器官さえあれば活動できるだろう?まだ諦めるには早い」

ヒル

「どれだけ持っても後1分だ。メレピン切れだよ。

こんな損傷受けてニューオンだだ漏れで、戦場に残れってのがおかしいだろ?」


ヒュラ

「提案がある」


クラル

「なんだ?」


ヒュラ

「単刀直入に言う。

ヒルの頭だけ切り取ってクラルが電磁系ステートでニューオン止めをする。

僕たち3人で互いに防御に徹しながら、なんとかここを逃れ、安全な地からルークと通信する」

ヒル

「俺に構うな。第一、戦場に安全地帯なんてない」


ヒュラ

「君たち2人が構わないならだけど、クラルがどこまでヒルを援護して、戦闘体を延命できるかがわからない」




山場1

クラルが直ちにヒルの体を頭から切り離し、体を蹴り飛ばした。

先ほどの敵の攻撃がやってきたが、ヒルを連れて走っているヒュラとクラルが敵の攻撃範囲から外れつつあるようだった。

敵は、分裂したヒルの体の方へ、空間ごと捩れるような見えない攻撃を喰らわした。

ヒルの体は木っ端微塵になってニューオンを流出しながら消え去った。


クラルは、ヒルの首元を布状の電気で覆い、布のようにしてヒルの頭と一体化させた。

クラルの手は、震えていた。

途中、ヒルの体が投げ出された方へ目をやって、頭を抱えていた。

まるで、自分がヒルを倒したかのような感覚に襲われていた。

かつて同じ事をしたかのような形相だった。




戦争開始2時間後 


ルークはステートメント発動により、攻撃のする方へと強烈な中距離衝撃波攻撃を送り込むが、ほとんど手応えがなかった。

だが、わずかな感触から、ルークは敵が空間操作的な事をしている事を察した。


ルーク

(これはたぶん意思系の第0世代だな。

空間的な攻撃多数であるところと、敵の実体が見えない辺り、相当な特殊性を備えているな。

と同時に、とてつもないフィールド消耗をしながらの賭けみたいな戦闘に持ち込んでいると考えて良さそうだ。

だとすると、直接の物理攻撃が決まるまで粘るしかない。

それが決まればこっちの勝ちが確定する。

逆に、それが通らなければ、負けが確定する。)










開始121分後


クラル

「強引な事をしてすまなかった。ヒル。

ヒュラのいう事に賭けてみよう。

何よりも、我々には時間がない。

こうするより仕方がないだろう。

ヒュラの案は妥当とは言えないが、この場においてはこれ以上の選択は存在しないと私は思う。

ここは仮想戦争だが、ここで負ければ事態は悲惨だ。

ウラニス7全体が地獄に見舞われる」


敗北後のウラニス7に焦点を当てる。

ウラニス7の民の苦痛な表情。




開始122分後

ルークが息を乱しながらヒュラに連絡した。

「おい、ヒルは無事か?すまない。僕の戦術ミスだな。

君の超予測は類する使い手がいて、あんまりあからさまに作戦に組み入れると敵に突かれやすいから、君を伏せていたんだよ。

悪いが、今戦場でその能力を発動できるのは君しかいない。

だから」


ヒュラ

「続きは言わなくてもわかります。ヒルは現在頭だけです。

胴体は先ほど消し飛ばされました。

そちらの情報ではヒルはどういう扱いになってますか?」


ルーク

「頭だけだって?こっちでは安否不明表示だ。

フィールド知覚でも、残留メレピンと区別がつかない」


ヒュラは、事の経緯を話した。

ルークはそれを聞いて、いつもの調子を取り戻したようになった。 


「そういう事か。なら、頑張って逃げ切ってくれ。

今回ばかりは、想定を超えてこられたな。

よくやった。引き続き任せた」



戦争開始123分後

ルークとピネトラが猛烈な戦闘を繰り広げ、両者拮抗する。



敵が、ルークを直接殴りにかかった。ルークは全速力で攻撃体制に入って最高精度の攻撃を敵の頭に集中して、ステートを直ちに発動させた。

敵は、ルークの攻撃で頬と首元を擦り、防御に踏み切ったようだが散乱した攻撃の余波で浅い切り傷を数箇所作った。そして、致命傷を回避して、ルークの腹に空いた穴に、直接捻れた空間を引き摺り入れるように拳を入れた。ルークの腹を貫通した空間の歪みが、衝撃を移動させるルークに無慈悲なダメージを与える。この圧倒的な敵を耐え凌げているのがルークの最大の強さを物語っていた。


隙を見たS級がルークに加勢してピネトラに攻撃を仕掛けるが、相手にすらされずに返り討ちにされる。




山場2



セルラ

「ルークが自分の方へ応援要請をしたって?冗談だろ。バカにしてるのかこんな時に!」






ルークとピネトラが激突する。

衝撃で地面が抉れた。

離れた場所にいるヒュラたちのフィールドまで揺れる。

「すごい……」

戦いながらピネトラが言う。

「相変わらずだね」

「国を持たない軍隊」


ルークは攻撃を受け流す。


ルーク 「それがバリリオンズだ。」

ピネトラ 「違う。」


ピネトラは一歩踏み込む。


「お前たちはもう軍ではない」

「BDCDOのもう一つの政府だ」


ヒュラが小さく呟く。

「BDCDO……。」


ルークは攻撃を返しながら答えた。

「BDCDO。」

「褐色矮星コロニー開発機関。」

「ウラニス7で最も古い統括機関だ。」


ピネトラが笑う。

「“機関”とは名ばかりだけどね」

ルークは頷く。

「実質は最高権力」

「国家同士の争いを調停し、コロニー開発を管理し、惑星全体の方向性を決める。」

「だから各政府は横並びなんだ。」



ピネトラは再び斬りかかる。

「そして、お前たちバリリオンズは」

「そのBDCDOから外交と軍事を任された」


ルークが受け止める。


「だから国を持たない」

「どこの政府にも属さない」

「ウラニス7全体を守るためにな」



ヒュラは改めて何を賭けた戦いなのかを、感じ取る。


「だから……隊長たちは国じゃなく、この星全体のために戦ってるんですね。」



ピネトラは一度距離を取る。

「だが、それが弱点でもある」

「国がないということは、守るものが多すぎる」


ルークは笑う。

「だから負けられない。」



二人のフィールドが再びぶつかる。


轟音。


ヒュラはその戦いを見ながら思う。


(これが……S級。)


そして彼はまだ知らない。


BDCDOという組織が、後にウラニス0とメレピン、そして宗教勢力メソリアの真実へ深く関わっていくことを。





引き


ピネトラと死闘するルーク


援軍要請を敷かれた他の隊とほぼ勝ち筋が見えつつあった本軍、中央の戦いが、勝敗決定間近で大きく風向きが変わる。


バリリオンズ陣営が、自分たちが置かれている状況を直感する。


中央へ紛れ乱戦しているケラとネラが、敵によって、中央へ誘導された事を悟る。


そこで、A級隊員とS級隊員が、敵の総大将の確認をしているのを、ネラは耳にする。



ネラは直ちに本部とルークに連絡する。


戦争開始127分時点


ネラ

「我々は、ハドラリアー軍の策略に、はめられたのだ!

主戦力を膠着させて戦力を削り、ルークをおびき出して足止めし、最高戦力のウラニス1,6のトップが中央に集まった軍を叩き潰すつもりだ!」



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