脅威
第27話
脅威
導入
ルークが1級と苦戦するヒュラの方へと駆けつける。
戦争開始51分後
ルークが強力な援助を行い、ヒュラ達の形勢が一気に有利に変わる。
ルークがやってきて早々に、小道の石を蹴り飛ばすように、1級メレピーを60体ほど機能停止させる。
戦争の展開がいきなり緩やかになる。
ルーク
「やあ、ヒュラ君だっけ?久しぶり。強くなったようだね」
ヒュラ
「あっ。こんにちは。久しぶりですね。
助けに来てくれたんですか?」
ルーク
「うーん、間違いじゃないけど、ちょっと違うかな。
とりあえず、この輪から抜けてさ、あの0級くらいのレベルのメレピー、あいつをみんなで協力して倒してみな。
僕、ここでこいつら適当に相手しながら見てるから」
ルークがヒュラたちに戦うように指示したのは、0級のメレピー、ネバナ3体を指さした。先ほどのルークの空を切る拳に最も近く、そして吹き飛ばされていながら、ダメージが少なかったメレピーである。
戦争開始51分後
ヒュラ
「1級100体の代わりに0級3体ですか?」
ルーク
「うん。美味しい話でしょ?」
ヒュラ
「あんまりそうは思わないですが」
ヒル
「俺らが勝てないのを見て楽しみたいんですか?明らかに無謀ですよね?なぜわざわざそんな事を………」
ザン
「どういう事だ?そんなにあの0級が強いのか?」
ルーク
「おっ、君察しがいいね。そうだな、実力的には、単純に言い切る事はできないけど、君たちに1級15体同時に倒してくれって頼んでる感じかな。それかC級上位からB級下位以下の隊員3人を同時に倒すくらいかな。まあ流石にこれじゃ酷だな」
ケラ
(この人は本当に私たちを助けてくれているの?
今のところめちゃくちゃなんだけど。もし、仮に敵にでも回れば、私達に成す術はないわ。)
ルーク
「だから、お手本を見せてあげよう。
なんなら、あいつら0級相当、うち2体はさっきの僕の攻撃の巻き添え喰らって、ああ見えて弱ってるから。
1番元気なあいつを倒すから、僕の戦い方よく見ときな」
そうやって、ルークは目にも止まらぬ速さでネバナに駆けつけていき、高速で茎を切断した。ネバナは大量の針をルークに飛ばしたが、気付くとルークはネバナの細い茎に大量の切れ込みを入れていて、引き裂かれるようにして開いたネバナは、ルークに風圧で弾き飛ばされて、地中の花ごと宙に浮いてぺちゃんこになった。
ネバナが花から大量の液状のものを垂らし、一瞬目の奥に青い光が走ったかと思うと、ルークに木っ端微塵にされていた。
ルーク
「はい、じゃあ次は君たち」
ザン
「ネバナが一方的にやられていて、ほとんど何もわからなかったんですけど」
ルーク
「ちなみに、僕もあいつの事あんまり知らないから、気にしなくていいよ。君たちの戦いから情報収集するから」
アレン(なんてやつだ!)
山場1
戦争の勢いが緩まり開始から約1時間が経過
ヒュラ達は戦闘技術や技の応用などの実戦的な事をルークから多く教わる。
ヒル「来るぞ!」
ナーク隊が一斉にフィールドを展開した。
ヒュラもアーム剣を構える。
その声とともに隊列が動く。
先頭のメレピーへヒュラが斬り込んだ。
一体。二体。三体。
勢いよく倒していく。
「よし!」
その瞬間だった。
横から別の個体が飛び出す。
「ヒュラ!」
ルークの声。
ヒュラは反射的に剣で受け止めたが、体勢を崩す。
ルークが一閃。
メレピーの腕だけを切り落とした。
「……焦るな。」
「すみません!」
ルークはメレピーから距離を取る。
「今、何を見てた?」
「敵です!」
「違う。」
ルークは周囲を指差した。
「敵”だけ”を見てた。」
その瞬間。
別方向ではネラ達が包囲され始めていた。
ヒュラの顔色が変わる。
「まずい!」
「それが戦場だ。」
ルークは静かに言う。
「一体倒すより、一人助ける方が戦果は大きい。」
地面から巨大なメレピーが飛び出す。
クジラ型のホエーラだった。
ヒュラは反射的に大技を放とうとする。
「待て。」
ルークが制止した。
「そんな相手に全力を使うな。」
「でも!」
ルークは足元の岩を蹴る。
岩がメレピーの感覚器に当たる。
一瞬だけ動きが止まる。
ヒュラ
「そこだ。」
ヒュラが跳び上がる。
一撃。
急所だけを斬る。
巨体が崩れ落ちた。
「……倒せた」
ルークは笑う。
「技で倒したんじゃない。」
「考えて倒した。」
さらに前進。
隊列が少し乱れ始める。
ルークはヒュラへだけ聞こえるように言う。
「覚えておけ。」
「戦場では技より応用だ。」
「敵は教科書通りには動かない。」
「だからお前も教科書通りに戦うな。」
ヒュラは黙って頷いた。
直後。
二体のメレピーが左右から挟み込む。
ヒュラは一歩退く。
さらに一歩。
ルークは何も言わない。
ヒュラは周囲を見渡した。
風向き。瓦礫。味方の位置。
そしてメレピー同士をぶつけるように誘導する。
激突。二体の体勢が崩れる。
「今だ!」
ネラとケラが追撃する。
ヒュラは最後に一撃だけ加えた。
ルークは満足そうに笑った。
「それでいい。」
「倒した数じゃない。」
「勝った理由を覚えろ。」
山場2
ヒュラ達ナーク陣営以外、特に中央本戦
始めこそ、かなり穏やかな戦いで様子見していたが、徐々に激化。ルークがデルトを倒して5分後くらいから双方が本格的に戦闘するようになる。
一方、ゲンマ、ギーク達の地域では、中央にほとんど合流して、削り合いをしていた。ややバリリオンズ陣営が優勢に思われたが、抑え込め切れずに島の縁へと向かったメレピー達が、再び隊形を整えて、一部折り返した。
ゲンマ、ギーク達は、挟まれる形となるが、最外層で戦う下位層のC級隊員多数が、ゲンマ達による前衛とメレピーを挟み込んでいた。
0級メレピーは他にも多数いる。各地にA級隊員等も配置され、最外層のC級隊員達も包囲の輪を狭め、徐々にハドラリアーが追い詰められているかに見える。
他方では、中央でルークがハドラリアーに威圧を与えながらも、戦場全体に気を張っていた。この頃、ウラニス6陣営の戦況とトップを含めた人員配置が判明した。
引き
ルーク
「北東部のメレピー制圧も、人型の片付けも大体済んだ。
この辺りを狙う人型も拡散して、中央の戦況もなんとか持ち堪えてる。中央本陣には、南部からの軍も合流してる。
戦いも大詰めだ。仕上げに行こう」
戦争開始2時間後
ルークが皆に呼びかけ、そこに残ったC級11人と、B級1人。うちナークの隊、ヒュラ達の9人は、マラルとサマンダーを除き7人が残る。敵の本陣まで約1.9kmだった。
ヒル
「ルーク‼︎」
ルークはヒルにいきなり自分の名を叫ばれ一瞬で事態を把握した。
交わしたはずだったが、ルークの左腕がゴムのように捻れた。
そして、ルークの左腕を直撃した目に見えない攻撃は、方向転換して満身創痍のアレンを戦闘離脱させ、ケラの左足をもいで、クラルとヒュラとヒルは吹き飛ばされた。
敵の攻撃が再度ヒュラ達の方へ向かう。
ルークはそれをある程度封じるが、不十分であった。
その攻撃が向かったのは、ヒュラとヒルとクラルであったが、ヒルが2人を庇ったために、2人ともこの攻撃で傷を作る事はなかった。
ヒュラ
「ヒル、ありがと…」
衝撃が収まり、目を開けて頭を上げ、ヒルを直視した。
横でクラルが唖然としているのが、見なくてもすぐにわかった。
ヒルは左半身が消え去り、右半身と頭だけのカカシと化していた。




