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酒鬼   作者: 半端者の柑橘系 
最終章
49/50

File.49 BF

【湊・制圧群】


ヘリでお台場にあるテレビ局へと向かう湊達。

潜一と連絡が取れない。


もうどこで何をしているか分からないのだ。

しかし、心配している場合じゃない。


湊も彼らと共に戦うまで。

そうして屋上にあるヘリポートに着いた。


[許可は取ってある。入って閉め出される心配はない]


「はい!!」


[確実に社員じゃない奴が建物内に紛れ込んでいるだろう。探すぞ]


敵はまだいる。

[涼風。我々の盾になれ]


「了解です!!」


─────────────────────

【港区・青海駅付近】


冥本を追う潜一。

暁ふ頭公園に、歌手のライブイベントがあるらしい。

演出の為に、そこそこ大きい船などが何隻も停まっている。


お台場に向かう冥本。

それは防犯カメラに映っていた。


冥本も、誰もが思っている。

もう“根本を叩くのは無理だ”と。


バイクで一直線に走る。

すると、徐々にスピードが落ち……


「……!!クソッ!!」

迷わずバイクから降りて走り出す。

予想が正しければ、近くに冥本がいるだろう。


ならその近くにいた人間は────


「……………………!!」

やはり暴走人間としてパニックを起こしていた。

近くにいた警察や警備員、そして近くの一般人を襲撃したりして人数は少ない。


生きてるか生きてないか。

もう迷っていられない。


「ッ!!」

走りながら二発発砲。

ドン!!ドン!!と空に響く中、その一発が頭に当たり、暴走人間は死亡。


他の状況が、もうどうなっているかなんて分からないのだ。進むしかない。


海に面した工場などが良く見える。

潜一はどんどんあの公園が近くなっていくのを感じた。


(弾切れ……)


紅羽が大事にしていたこの銃。

湊に渡したものと、“これ”で最後。


リロードできる弾なんてない。

迷いなく捨てる。


「ハッ、ハッ、ハッ……!!」

胸が痛い。

このまま酸素不足で死んでしまいそ────


(酸素……不足?)

一つだけ、ある考えが浮かんだ。

冥本の『吸収』はもしかしたら…………


願望に近い考察。

それでも今はとにかくやる。


この足が使い物になるまで、潜一は冥本の所へ走り続けるのであった。


─────────────────────

【冥本】



「……ダメか」


今頃。

ブレンは何をしているだろうか。


戦っているのか、それとも逃げているのか、待っているのか。


船の確保も、会場の制圧も出来た。

十分以上、彼に電話をかけているのだが……ブレンは全く出ない。


“ダメか”

この発言の真意は至ってシンプルだ。


「死んだか。ブレン……」

様々な感情が押し寄せては消え、溢れる思い出を急いで今を見るために抑えた。


日本にいる面倒な利用者は全員削除済み、もうここに来ることもないだろう。


後は日本が暴走人間よって徐々に削られていく。

冥本の“手”を持った暴走人間は、ある程度の賢さを持って、今も仲間を増やし続けている。


そいつらを特定できない限り、奴らに勝ちはない。

「ログロ……ブレン。じゃあな」


そうして船に乗り込み、操縦席に向かった瞬間────


「!!」


キン!!と音を鳴らして、船の一部に“何者かが”穴を開けた。


狙撃────

しかもかなりの遠距離から。


少し遅れて、銃声が聞こえてくる。

完全に油断していた方向からの狙撃。


場所の特定に少しだけ時間がかかった。

(クソ……どこに────)


取り敢えず敵の狙撃ポイントから外れようとした瞬間に、二発目。


その一撃により、冥本の右手は粉砕。

漸く場所が分かった。


地図から見て北東。

巨大フェリー船内からの狙撃。


船の窓を開き、そこから狙撃したのだ。


冥本は知らない、狙撃者は……

元SATの隊長・秋元によるものだった。


「“三秒”稼いだぞ。潜一」


これで彼の役目は終わり。

後は────


「!?(なっ────)」

奥から走ってくる音。

急いで振り向いた先には────


「冥本ォォォォ!!!!」

完全に予想外の冥本。

そうしてそう叫びながら潜一は冥本に体当たり。


奴が銃を取り出すよりも早く、潜一は冥本と共に東京湾へと落ちていった。


─────────────────────

【海】


(やっぱり『吸収』は使ってこない!!余計なもの(海水)まで吸い込むからな)


潜一は動きの悪い水中で、冥本の銃を奪おうとするも、奴はその手を掴んで潜一を軽く吹き飛ばした。


どう考えても、奴の方が強い。

でも諦める必要はない。


(このまま『吸収』されないように銃を奪って俺を殺すつもりか……?)


「ッ!?」

冥本は潜一の顔を左手で掴み、そのまま右の肘で殴打。


(遅い遅い!)

潜一も両足で奴の首を掴んで深い所に落とそうとするが、それよりも速く、冥本は彼の腹を真っ直ぐ蹴り飛ばした。


泳ぐのも、殴るのも、冥本の方が速い。

海へと更に深く落ちたのは潜一のみ。


追いついた所で────────

(クソッ!!このまま殴り合った所で奴が絶対勝つだけだ。まだこっちを見てる。酸素にも余裕があるのか…………あ)


冥本が地上へと上がっていく。

首(・)を(・)抑(・)え(・)て(・)。


(そうだ────あんな怪物みたいな奴が、酸素を欲しがってる。生(・)き(・)た(・)い(・)と(・)願(・)っ(・)て(・)る(・))


奴を追いかけている時、酸素を欲する自分に重ねて、「海に飛び込めば、『吸収』されずに戦えるんじゃ?」と思った潜一。


今。

一つの賭けには勝ったのだ。


(死んだ人の体を吸収して、それを自分のものにしてしまう“怪物”が…………酸素を欲している…………)


そうして、最後の賭けへと挑む。

人(・)間(・)の冥本に。


「!?(なんだ!?急に重さが────潜一君か!)」


潜一は冥本の首を全身で掴み、抵抗しても全く離れない。


(まずい。このままじゃ────────待て)


一つ、考えが浮かんだ。

(今のこの進化した『吸収』なら……海中にある酸素“だけ”を『吸収』できるんじゃないか?…………このまま死ぬのか?)


そうして一つの考えに辿り着く。

(は!!

   は!!

    は!!!

      “興味”が出てきたな)


そうして抵抗をやめた冥本。

全ての能力に集中する。


(そうだ冥本。お前は……お前は!!!)


(教えてくれ潜一。俺は────)


(所詮人間の範疇だ!!!)(所詮人間か!!?)


二人の意思が、生物の気配が一つもない東京湾で────





なんとか頑張ってストック出来たので、明日そのまま投稿します。


ラスト。見届けて下さい!!!

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