↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
酒鬼   作者: 半端者の柑橘系 
最終章
45/50

File.45 vsブレン


「ハァ……ハァ……ハァ……!」

道中で車が破損し、バイクを貸してもらった潜一。

冥本が“利用者”を殺したあの場所で何かないかと調べたが、特に何もなかった。


「クソッ!アテが外れた!」

ずっと走っていた訳でも、何か激しい運動をしていた訳でもないのに、“ここで冥本を逃したら終わり”という思いが呼吸をどんどん荒くしていく。


奴はまだ“利用者”を殺し続けているのだろうか。

もしかしたら、もう逃げているのか。


(考えろ……逆に利用者を殺し終(・)わ(・)っ(・)た(・)としたらどうやって逃げる)



────潜一くん!六本木あたりで“ゾンビみたいな奴ら”が暴れ出した!!こっちは警察のあんちゃん達と協力してなんとかするから心配するな!!



────堺だ。新橋方面に暴走した人間達とブ(・)レ(・)ン(・)と(・)思(・)わ(・)れ(・)る(・)人間を見つけた。


(ここから真っ直ぐ六本木に行くのか?いや……新橋か……でもそっちにブレンがいるなら合流するか?情報が少なすぎる)


そもそも奴の目的は“利用者”の殺害。

「櫻井!近くに冥本は!?」


サイバー対策課の櫻井に連絡する。

『えっと……あ!ありました!冥本はバイクに乗って行きました』


「当たり前だろうが、公共交通機関は使わないだろうな。アイツの事だ────カメラに絶対に引っかからないようにバイクのナンバーを外して行動するだろうな」


絶対……とは言い切れないだろうが、冥本は防犯カメラを避けるだろう。

警察や自衛隊は今の状況を収束させる為に戦っている。


「バイクに乗って行った方向は────ん?」


『はい……!え〜っと。お台場方面に────』

「……そこか」


『え?』

素っ頓狂な声を返した櫻井。

潜一の方に何があったのだろうか。


『潜一先輩?』


「あぁ。このチラシ……冥本────恐れ入るぜ」

彼が手に入れたのは、お台場付近のイベントを知らせる“チラシ”だった。

情報・根拠・知りたいこと・そうなって欲しいこと。


様々な思いが潜一に流れ込んでくる。


港区でのテロ、暴走人間、利用者と協力者、自衛隊、警察、制圧群、六本木、新橋、お台場の船イベント、バイクでの逃走。


潜一は作戦と考えたことを櫻井に伝え、バイクに乗る。


『なるほど……流石潜一先輩。私は冥本を探しますね』


「頼んだ!!」

バイクに乗り込み、ヘルメットを被った。

そうしてエンジンをつけて作戦の“要”に連絡を入れる。


「待ってろ冥本……!!」


─────────────────────

【新橋にあるライブ会場】


特異対策課の四人は、物喰い幹部のブレンを特定。

完全に追い詰めた。


冥本は近くにはいない。ましては利用者すらいないだろう。

『堺さん聞こえるか!?』


「潜一?どうした」

突入する前に彼から連絡が来た。

晴菜も迅も千景も「?」という表情をしている。


『そこにブレンがいたんだろ!?もしかしたらそっちに冥本が来るかもしれない!』


「何!?どういうことだ!?」

迅が思わず返すと。


『冥本の進(・)路(・)を(・)変(・)更(・)し(・)た(・)い(・)!!絶対にブレンを倒せ!!』


スマホから潜一の怒号に近い声が響いた。

彼が何を閃いたかはわからない。


それでもブレンを倒すために必要なことなら信じるのみだ。

「潜一さん?それで冥本が倒せるんですか?」


晴菜がどこか不安そうに零す。

不安そうな彼女の声に潜一は────


『あぁ!!最強の冥本様を倒すのは俺だ!!なんとかしてやる!!』


こうして潜一との通信が切れた。

彼の携帯からはエンジン音が常にうるさく聞こえていたところから、バイクに乗っていたのだろう。


「よし」

ライブ会場の非常用扉の前に立つ、特異対策課の四人。

ここをブレンが占拠している。


先に突入した警官は全員死んだ。

残るは彼らのみ。


「敵は会場内にたむろしている。奴の能力は分身を作る力だ」


「どうやら潜一君によると、透明化だけではなく“実体化”もできるらしいです。銃を持ったり喋らせたり」


堺の指示に千景が情報を付け足すと、彼女は扉を少しだけ開けた。


ブレンはホールにいるかいないか……それさえも分からないが、やるしかない。


「行くぞ」


千景は扉を強く叩き、会場内を軽く見た瞬間────


「よぉ」


ブレンによるサブマシンガンの武力制圧。

ドドドド!!!!と彼らがいる扉へと乱射。


急いで千景は扉から手を引っ込み、戦闘開始。

銃声が止んだ瞬間に、迅が反撃。


ブレンがいた所を的確に撃ち、彼を後ろに引かせる。

「行け!!」


迅以外の他三人が部屋の中へと入り、近くの遮蔽物に隠れた。

全員は表情を一切変えずにブレンをただ見つめるのみ。


ブレンはどこにいるのだろうか。

近くには巨大ホールへと続く道と真横には、一階へと続くまでの長い廊下がある。


この建物はかなり入り組んでいるせいで裏どりをしやすいが、されやすくもあるのだ。


「迅!私と一緒に先行して!!」


「了解」

ブレンはいない。

彼も堺達と合流して、千景と共に向かう。


千景達が入ったのは、右に曲がり角がある広い待ち合わせ室。


そしてあの中には大きい支柱がある。

「迅!!辺りを確認して追いかけ────ッ!!」


入り口の前にいる千景達を襲うように、扉付近へと発砲するブレン。


射線を切るために体を傾けた二人。

千景は堺に手振りで合図。


《横から回り込んで》


合図の内容を察した堺達は廊下へと走る。

「迅」


「あ?」


「行くよ」


「あぁ。分かった」


迅と千景は同時に発砲し、ブレンをその場に留めた。

そのまま反撃を許さず撃ち続ける。


こうして弾が切れた時、反撃に出ようとしたブレンだったが────


ドン!

右の廊下から銃声。


『千景さん。目標の首に命中しました』

彼女達の通信から、冷たい晴菜の声。

かなり遠い距離からの“狙撃”


確実に死んだ。

……本人なら。


『何かしらの抵抗するかもしれない。撃ち続けて接近しろ』

堺の指示に従い、千景と迅は銃を撃ち続けてブレンの遺体に接近。


撃てば撃つほど、ブレンから血が吹き出す。

そうして特に何も抵抗する事なく、二人の接近を許した。


「潜一の情報によると、ブレンの能力は撃てば霧散するらしいが……」


「つまり、これが本人?」


その時、突然痙攣したように動くブレン。

ピクッと一度だけ体が大きく震えた。


「!?」

二人は急いで立ち上がり銃口を向けた時に、迅に一つだけ考えが浮かんだ。


(……待て!!こいつが偽物だとしたら……本物はどこに────)


この戦いが始まる前。

潜一は冥本の能力が強化されている事を読んでいた。


ブレンの能力だって例外じゃない。

それは分かっていたはずなのに。


「千景後ろだ!!!」


「ッ!!」


二人が通ってきた廊下。

つまり彼らにとっての背後。


ブレンは音も立てずに、ただ“そこ”にいた。

「流石だな」


彼から鳴る軽い銃声。

パン!と建物の音を反響して、完全に静かになった時……


「“一人”逃したか────おっと!!」

同じ考えが浮かんでいた堺が元の場所に戻り、発砲。

姿勢を低くして別の廊下を走っていった。


そこにはもう逃げられる場所はない。

「大丈夫?迅────」


千景の目に映ったのは、首から血を吹き出した迅の姿。


壁にもたれて溢れ出る血を抑えている姿。

「…………」


自分の血まみれな手を見て、迅は静かに呟いた。

「じゃあな」


一瞬だけ千景は感情が漏れそうになったが、彼の目を見て抑えて、彼女も一言呟く。


「うん」


辺りにブレンがいない事を確認して千景は堺達と合流。


「……迅は?」

察したように聞く堺。


「死亡」


「続くぞ」

戦いは確実に終盤へと向かっている。

ブレンを倒せば……勝ちに近づく。


堺、晴菜、千景の三人は最後の戦いへと────臨む。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。