表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
酒鬼   作者: 半端者の柑橘系 
間章
26/29

File.26 特異対策課

「私達には…頼れる“参謀”がいるからな」

不敵な笑みを浮かべたのと同時に階段状に積まれたコンテナを走る。一つのバイクが。


バイクのライトが夜の闇を切り裂いた。

敵味方問わずに全員が上を見る。


「…千景!?」


一瞬の閃光に彼女の顔が見えた迅は、驚きのあまり口があんぐり開く。


「グッ…!!」

千景はバイクを離さず着地の衝撃を和らげる為に敵の方へと車体を傾けドリフト。


彼女の足が地面に擦れるが無視。

傾ければ傾けるほど……


(敵の銃弾を防げる!!!)


「クソ!!」

「当たらねえ!!」


バイクの底に弾が当たる事で軌道がずれ千景には当たらない。


同時に、ドリフトが終わる前に楓と迅は動きだす。


ライトのお陰で敵がはっきりと見える。

「これなら…片手でも行けるわ」


奥の敵二人の腕と肩を撃ち、行動を封じるが……

ドドドド!!と迅達がいる所に敵は乱射。


「残り四人だ!!気を抜くなよ───ッ…!」

楓の片手や左耳がズキズキ痛む。


残ってるだけありがたいものだが、痛みと片手限定の射撃のせいで安定しない。


「千景!!こっちだ!!」

急いで彼女はバイクから降り滑り込む様にコンテナ裏に隠れた。


「ッ…!だぁっクソッ!」

顔を出そうとするもそこを何発もの弾丸により動きを停止させられる。


問題は残り四人。

奥のコンテナに隠れてサブマシンでの圧倒的な制圧力。


狙いもそうだが純粋な火力の豊富さが物凄い。

何発もフルオートで撃っているはずなのに底が見えないのだ。


「千景。堺は?」

楓の一言に千景は彼から命じられた作戦を思い出す。


───────────────────

【数分前】


エンジンを鳴り響かせ、千景はバイクに跨る。

堺は少し奥にある高台に目を通していた。


「よし、このまま突撃して撹乱しろ」


「堺さんは!?」


「このまま目の前にいる二人を制圧しても、残りの四人は今度こそ遠距離勝負に入るだろう。そうして撃ち合ってもこっちが弾切れになるだけだ」


そうして堺は高台を指差す。

「そこから俺がスナイプする。ライフルによる狙撃は九条さんにやって貰うつもりだったが…臨機応変だ」


堺は真っ直ぐに千景を見て語る。


「もし二人を制圧したら、何がなんでも明かりを灯せ!!」


「はい!!」


─────────────────────


「光…この闇にか!?」

思わず叫ぶ迅に深く考え込む楓。


堅実な彼らしからない“賭け”に近い作戦。

どうする?


(光…楓さんじゃあるまいしなるべく永続的にやった方がいい…どうする!?)


コンテナ裏。

そんな武器も光を灯せるものも何も……


「……あ!!」


「なんか閃いたか?千景!!」


そう問う迅に笑いながらあると答える彼女に、倒れている敵の武器と今も佇んでいるバイクを指差した。


()()を狙う」


二人に作戦を説明。

彼女は倒れていた敵から手榴弾と閃光弾を取り出す。

迅は閃光弾を構える。


(堺…頼んだぞ)


「今!!」


敵のいる方へ真っ直ぐ閃光弾を遠投。

強烈な閃光と爆音を放った瞬間、楓と千景が飛び出し…()()()()()()()


二人が狙ったのは燃料を入れるタンク。

バイクからガソリンが吹き出た時、迅は引き続き手榴弾をそこへ投げ、爆発。


再び爆音を響かせガソリンから引火した。


───敵も慣れてる。恐らく光源が入った瞬間に、攻めてくるだろう。


堺の予想通りに敵は動揺せずに身を乗り出し発砲準備。


勢いだけではないテロ組織の経験だろう。


───だからこそこっちも負けじと身を乗り出せ。そしたら敵は気づく。


「射撃中止!!辺りを探───」

リーダーの様な男が指示を下した瞬間に…彼は地面に倒れた。


その後、こだまの様に銃声が聞こえる。

誰がそんな事をしたかなんて考える必要もない。


「フッ…」

楓は敵の方を見つめ、ゆっくりと笑った。


そして…

高台から姿勢をうつ伏せにしてスコープを無機質に覗き込む堺。


息を半分だけ吐き、止め、撃つ。


コンテナの右側に潜んでいた二人の制圧に成功。

 

ガソリンの引火による“明かり”は諸刃の剣。

敵は堺の狙撃位置を瞬時に理解し射線を切った。


「九条さん!」


「片手でも当ててやるよ」


笑みを浮かべた楓。

弾丸が彼女の近くに散らばり、頬や腕に掠るも無視して集中する。


「…ここ」

静かにそう呟いた。


二発。

連発する事なく落ち着いて発砲。


震える手を鎮め、目の前にいる敵を………仕留めたのだった。


ドサッと倒れる音が聞こえても、


「…………………………」


戦いが終わったというのに、千景はコンテナ裏からずっと構えていた。


そこから敵は出てくる事なんてないのに。


「終わりだ。千景」


「……え?」

迅の声を聞いて漸く戦いの終わりを悟った千景。


「九条だ。任務は成功した、犠牲者もなし、合流求む」


確保した人員から、日本に残る仲間達を聞き出し特定。同時的且つ多発的な確保により、テロ組織ロブストは壊滅。


日本警察は成し遂げた。


─────────────────────

【三年後】


「久我原迅。お前を“特異対策課”に任命する」


そんな命令を受け、今ある部から異動した迅。

新たな仲間との交流に期待を胸に膨らませ部屋に入る。


…が。


「「あ」」

堺が…椅子に座っていた。


「堺サン!?」


「……メンバーは明かされたハズだ。知らなかったのか?」


「あぁ…いやそれは……会ってから色々話そうと思ったんですよ?本当デス!!」


「お前っていう奴は…」

呆れた様に返す堺に嫌な予感がした迅。

もしかして……と呟く。


「千景も…もしかして課のメンバーですか?」


「そうだ」

当たり前だろう。

そう言いたげな堺だった。


そんな事を話していながら千景がやってくる。

「はぁ…あいっ変わらずうるさいね…」


「はぁ!?なんでいるんだよクソ女!!」


「こっちだって命令じゃなかったら断りだったよ!!」


二人の様子にため息を吐く堺。

せっかく楓がわざわざこの課直属の上司になってくれたと言うのにこの感じだとは……


事件の後、彼女は上層部に抜擢。


現場に出ないという彼女にとってある意味の死刑宣告にも近かったが、国を守る為に苦渋の決断を下した。


無事だった堺に全てを託し、後は裏方に回るのであった。


いまもこうして鳴り止まない喧騒も平和の証なのかもしれない。


「!?あ!」

勢いよく扉を開けて部屋に入ってきた工藤晴菜を見た三人。


次期“楓”として期待される彼女との遭遇。


特異対策課は今日も…能力者からこの国を守っていく。


……最期まで。



















間章:特異対策課編 完。


第三章:〇〇編。


お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ