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いじわる継母の心変わり~これまでの行いを猛省した私は、家族と仲良くなろうと奮闘する~  作者: 夏芽空


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【5話】深い溝


 夕焼けのオレンジ色が、緑あふれる大庭園を鮮やかに照らす頃。


「そろそろお夕食の時間だね。屋敷に戻りましょうか」

「はーい!」


 ミアに声をかけた私は、一緒になって屋敷の中へ戻る。

 

 それにしても……ふうっ……子どもの体力ってすごいのね。

 正直、舐めていたわ。……疲れたぁ。

 

 キッチンを出た後はずっと外で遊んでいたので、もうへとへとだ。

 足にうまく力が入らない。きっと今夜はぐっすりだ。

 

 そんな満身創痍ともいえる私に対し、ミアはまだまだ元気いっぱいな様子。

 もっと遊びたい! 、といった感じである。本当、すごいわよね。

 

 私もまだ18歳と若いのだが、これまでまともに運動をしてこなかったことによる違いだろう。

 今後も外で遊ぶ機会はたくさんあるだろうし、体力をつけておいたほうがいいかも。

 

 

 私はミアと手を繋ぎ、一緒に食堂に入る。

 先に席についていたリーシャとレオネル様は、それを見て愕然とした。

 

 なにがあったか知らない二人からすれば、びっくりするわよね。

 ミアとなにがあったかは後で話すとして……まずは座りましょうか。ずっと立ったままっていうのも変だし。

 

 朝と同じようにして、ミアと隣同士で座る。

 と、私を見上げたミアが満面の笑みを浮かべた。

 

「今日は楽しかったね、ママ!」

「ちょっと!?」


 テーブルに両手のひらをついたリーシャが、勢いよく身を乗り出す。

 

「こら! バネッサ様になんて口の利き方をするのよ! それにママって――」

「いいのよ。私が許可したの」


 話に割って入ると、リーシャは青色の瞳を大きく見開いた。

 その瞳は、どうして? 、と言わんばかりでいる。

 

「家族なのだから遠慮はいらないでしょ? それに私が、ミアと仲良くなりたかったのよ」

「……」


 リーシャは言葉を失っている。

 私の言葉がまったく理解できていないのだろう。

 

 まあ、そうなるわよね。

 

 これまでずっと自分たちをいじめてきた相手が、いきなり「仲良くなりたい」なんて言い出したのだ。

 理解できなくて当たり前だ。

 

「今日はママと一緒にクッキー作ったの! 今度はお姉ちゃんも一緒にやろ! ママの作るクッキー、甘くてとぉーーーってもおいしいんだよ!」

「…………いい。私はやらない」


 ミアからの誘いをぶっきらぼうに払いのけたリーシャは、下を向いてしまった。

 テーブルに乗せている両手をグッと握りしめ、力を入れる。


 拳を握ったリーシャが今、なにを考えているのか。

 私にはわからない。

 

 そんな私にできることといえば、対話を試みることだけだった。


「リーシャ。私はあなたとも仲良くなりたいと思っているの。だから話を――」

「申し訳ございません。気分がすぐれないので失礼します」


 ペコリと頭を下げたリーシャは背を向けた。

 私たちが座っているテーブルを振り返ることなく、食堂から出ていってしまう。

 

 ミアと仲良くなれたのだしこのままリーシャとも、なんて考えていたけれど甘かった。

 彼女との溝を埋めるのは簡単ではなさそうだ。

 

 でも、だからといって諦めはしない。

 

 必ずやリーシャとも仲良くなってみせるわ!

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