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いじわる継母の心変わり~これまでの行いを猛省した私は、家族と仲良くなろうと奮闘する~  作者: 夏芽空


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22/27

【22話】落ち込むリーシャ


 その日の夕食の席のミアは、すこぶる元気だった。

 ミアが元気なのはいつものことだけど、今日は輪をかけてご機嫌だ。


 理由はもちろん、これ。


「ねぇねぇ、ママ! ミアの魔法すごかったでしょ!!」


 隣に座る私を、キラキラとした瞳で見上げる。

 たくさん褒めて~、と大きく顔に書いてあった。


「ええ。びっくりしちゃったわ」

「ミア、これからもママのためにいっぱい頑張るね!」

「その調子よ」


 そうして頭を撫でれば、ミアは大喜び。

 ママ大好きー、と言いながら私にギューッと抱きついた。

 

 あぁ、もう。

 最高にかわいいんだから。ママも大好きよ。

 

 でもこんなミアも、きっといつかはお嫁に行ってしまう日が来るのだろう。

 子離れできる自信がない。今から不安だなぁ。

 

 とまあ、私のことは置いておくとして。

 今はそれよりも、リーシャのことが気がかりだった。

 

 ミアがいつもより元気なのとは反対に、リーシャはいつもより元気がなかった。

 魔法発動に失敗してからというもの、ずっと表情が暗い。出されている夕食にもほとんど手を付けていなかった。

 

「体調が悪いのか?」


 見かねたレオネル様が声をかけるも、

 

「……大丈夫です」

 

 リーシャは笑顔で答える。

 

 けれどもそれは、作られた嘘の笑顔だ。

 リーシャは無理をしている。

 

 理由は聞かなくたって明白。

 自分だけ魔法を発動できなかったことが悔しくて劣等感に苦しみ、ずっとそれを引きずっているのだろう。

 

 ずっと『出来損ない』と言われてきた私には、リーシャの気持ちが痛いいくらいにわかる。

 

 

 

 夕食後。私はリーシャの部屋を訪れた。

 ベッドの縁に、二人で横並びになって座る。

 

「急にごめんね。どうしてもあなたのことが心配で」

「ありがとうございます。でも私は大丈夫――あれ……どうして」


 また作り笑いをしようとしたリーシャの瞳から、涙がこぼれ落ちる。

 無意識だったようで本人も驚いていた。

 

 やっぱりだ。

 リーシャは無理をしている。


「私じゃ頼りないかもしれない。なにもできないかもしれない。でも、お願い。あなたの本音を聞かせて」


 じっと見つめると、リーシャは顔を俯かせた。

 小さな両手でスカートの裾をギュッと掴む。大粒の涙がポタポタと頬を伝っていく。

 

「私だってお母様にいいところを見せたかった!! 褒めてほしかった!! でも、ぜんぜんうまくいかなくて……!」


 痛ましい叫びが部屋に響く。

 

「このままじゃお母様をミアに取られちゃう! そんなの嫌だ!!」


 そっか。

 そんな風に思っていたのね。


 気づいてあげられなくてごめん。


「大丈夫よ」


 両手を広げた私は、リーシャを強く抱きしめる。

 

 私はここにいる。

 かわいくて大好きなこの子に、この思いをちゃんと伝えたかった。

 

「私はいつまでもあなたのそばにいるわ。ずっと一緒よ」


 泣きじゃくる小さな背中をさする。

 

 言葉はいらなかった。

 いつしか泣き止んで眠りに落ちるまで、ただずっとそうし続けた。

 

「おやすみなさい」

 

 ベッドに寝かしたリーシャのおでこにキスをして、私は部屋から出ていく。

 

 これでもう大丈夫。

 明日からはまた、いつものリーシャに戻っているはずだ。

 

 

 ――でもこのときまだ、私は知らなかった。

 これからリーシャの身に、大変なことが起こることを。

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