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No.98 王国騎士団と王宮近衛騎士団

 

 No.98 王国騎士団と王宮近衛騎士団







 就寝の準備に入る前に、コールソンさんよりヴィクターさんと私で、籠を返しに村に行く役割を与えられた。



 村に向かう籠の中には、ドルガニルのお酒が2本。先程、歩きながらヴィクターさんが仕込んでいるのを見ていた。果物のお礼だそうだ。

 どうやらヴィクターさんは、ドルガニルの酒屋で私の想定よりも、かなり買い込んでいたみたいだ。



 村長にお礼と共に籠を返却し、明日は深夜に出発を予定している為、お別れと野営地設置許可の感謝を伝えて村を後にする。


 その帰り道、コールソンさんの話にあった騎士団の事について、ふと気になった点を質問する。



「ヴィクターさん、伺っても良いですか?王宮近衛騎士団と王国騎士団ってどう違うのですか?」


「あぁ、説明していなかったか?レオニアには、国直轄の"王国騎士団"が国全体に配備され、地方にも治安維持の為に騎士団の詰め所が設けられている。村や町には自警団も存在しているが、それはあくまで住民で組まれた小組織で、その直ぐ上に王国騎士団がある」


「えっと、地域住民で作る安全組織と、更に国家公務員である王国騎士団が治安維持をしている・・・と言う事でしょうか?」


「コウムイン?は知らないが、文字通り国が作り上げた騎士団が"王国騎士団"だ。王宮近衛騎士団は、聞いて名の通り"王宮並びに、王都を警護する騎士団"になる。王宮、王都の中、周辺の地域の警護が主な仕事だ」



「王宮近衛騎士団はどうやって入るのですか?」


「まず、王国騎士団の入団希望者を募る。入団試験、入団、訓練、実務経験や様々な業務をこなし、優秀な人材がいた場合、王宮近衛騎士団に勧誘する。勿論断る事も可能だ。国全体、故郷、家族・・・自分が護りたい場所があり、王国騎士団への残留を希望すれば話は流れ、断った事への懲戒も無い。国を尊(とうと)ぶ志(こころざ)しに、違いは無いからな」



 成る程、スカウト制・・・。しかも、勤務地変更(てんきん)の打診を断っても、自身のペナルティー無し。


 何と言う、ホワイト組織。ギルドと同様、命掛けではあるが騎士団は、更に良い就職先の様だ。



「後は、そうだな。皆一律王国騎士団に入隊するが、実力とは別に家柄や、身内が王宮近衛騎士団に既に入団していると、比較的入り易くはなっている・・・らしい。が、詳しくは知らないな」


 血統主義!!───いや、当たり前か・・・王宮に携わるとなると、お家柄も重視されて当然だ。そこは、安全面でも品格面でも然るべき。



「ヴィクターさんのお家は、えっと・・・お父さんが所属されている?と言う話でしたか?」


「あぁ。父上は第一師団に所属しており、主に王と王位継承権第一位である第一王子の護衛も兼任している。その中でも父上は、王の専属護衛騎士の立場にある」


「専属護衛騎士!」



「後は、兄上が第二師団副団長を仰せつかっている。王位継承権第二位である第二王子の護衛を主な職務としている所だな。第三は第三王子(アル)の護衛並びに、王宮付近や王都内の治安維持。俺の所属していた第四と第五師団は、王都の内外問わずの治安維持と周辺の魔物討伐が主な役目になる」



「親子3人とも騎士団に・・・と、言う事は・・・他のご兄弟も・・・?」


 ヴィクターさんの家族構成は、両親と兄・弟・妹と6人家族と以前、聞いている。

 順当に行けば、弟さん・・・ひいては妹さんも、もしかすると騎士団関係に所属されているのでは無いだろうかと言う考えが浮かぶ。


 家族総出で騎士団という、華麗な武人一家・・・団服に身を包む、まだ見ぬヴィクターさんのご家族を想像する。



「いや、弟は剣よりも筆を握る方が向いていてな、領地経営の為に叔父の元で勉強をしている。妹も剣は不得手だ・・・魔力はそれなりだが、騎士団への入団は無いな」


「そうでしたか・・・でも、きっとヴィクターさんに似て、皆さん凄い方々なんでしょうね・・・!遠目で良いので、1度拝見させて頂きたいです」


「・・・?王都滞在中は、公爵家(生家)で休むつもりだ。遠目で無くとも、堂々と会えば良い」




 ────・・・一瞬、何を言われたのか理解出来なかった。遠目では無く、堂々と・・・?



「部屋数だけは多い家だ、メグミも一緒に利用すると良い。1人増えた所で、大差ない。勿論ウルも一緒にな」


「えっ!いえ!家族団らんの場に、ずけずけとお邪魔する訳には・・・!大丈夫です、王都では宿を取りますので!」


「・・・・・・居候生活には慣れているだろう、何を今更遠慮している?第一、王都の宿はそれなりに高いぞ。折角貯めた物を溶かす必要が何処にある」


「いや、ですが・・・5年振りの里帰りとなれば、積もる話もあるでしょう・・・!部外者が居ては何かと───・・・」


「言い方が悪かった。王都で問題を起こされると困る。基本、俺と一緒に行動する事」


「!!!・・・・・・・・・・・・はい、ご厄介になります・・・」




 つい忘れそうになるが、問題を巻き起こし続けている私に、拒否権など始めから存在していないのだ。



 王都に着いて諸々の事を終えたら、自由時間は設けて貰えますか?なんて聞く迄も無かった・・・


 悲しきかな・・・王都に着く前に、旅先での私の身の振り方が決まってしまった。




ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー




 野営地で4時間程仮眠を取った後、私達は深夜、静かに出発した。


 体力気力共に回復した私は、ヴィクターさんの教えをしっかりと心に刻み、昨日の飛行時間を超える事を目標に、再び暗い夜の空を自身の翼で飛ぶ。



 朝日が昇り、1度地上で30分休憩。それから昼辺り迄飛行。

 1度休憩を挟んだ事で合計11時間半、昨日の2倍近くも自分の翼で飛べる様になった。



 昼食を終え、王都まで残す所12時間前後。到着は今日から明日に掛けての、深夜になる見通しだそうだ。


 ここからは、出発してからずっと先頭を飛んでいたコールソンさんのワイバーンに代わり、ヴィクターさんとルベルさんのペアが1番前で飛ぶ事となる。


 風避けの魔法をずっと行使し続けて、さすがにそろそろ交代をした方が良いとヴィクターさんから打診があり、隊列の組み替えが行われた。




「メグミ、出発前に良いか?この先王都に近付くと、街や村が増えて人目に付き易くなる。その翼は非常に目立つから、スキルの訓練はここまでだ。ここからはルベルの背中に乗るようにしろ」


「分かりました!ルベルさん、ここから宜しくお願いしますね」



 ルベルさんの頭を軽く撫でてから背中に乗り込むと、背中の翼をしまう。


 エルドールへの移動の時は酷い乗り物酔いを起こしていた私だが、どうやら少しずつルベルさん酔いを克服しつつある。

 何故なら、この旅では一度も吐き気を催していない。


 船酔いは慣れないうちは酔いやすく、吐いてからが本番。乗っていると次第に揺れに慣れる。と聞いた事があったが、まさに今の私なのかもしれない。



 残りのフライト時間は先頭として、後方の皆さんに安心安全な道程をお届け・・・しているルベルさんヴィクターさんのお手伝い役として、周囲に気を張る係に勤しむ事とする。




 目指す王都は、もう間もなくだ────






 .




次回、王都到着になりますー!

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